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2-5
「新部長が来られるのは、たしか今日ですよね」
「うん、そうだね」
「どんな人なんでしょうね?」
 下泉は思案した。正確な噂を伝えてよいものか。あまりにもひどい噂ばかりだったから、正直、逃げ出してしまうんじゃないかとさえ思った。ここは現実を直視してもらうのが、一番ベターだと判断する。
「けど、これから大変だよな」
「そうですよね、企画も三人だけですし、わたしもがんばらないとだめですもんね」
 香坂は新人らしく、元気のある声で言った。華奢な腕を曲げて出てこない力こぶを作って見せる。
 下泉はそれを見て笑った。
 扉がノックされる。香坂が「はい」と高い声でそれに答えた。
 中肉中背の男が入ってきた。下泉は桑原だろうと思った。噂通りたしかに男前である。噂の最終兵器はいがいにも普通の男に見える。が、とたんに素性を表した。きざったらしく「部長席はどこかね?」なんて香坂に声をかける。
 そして桑原は二人を呼び集めると、おほん、と咳払いした。


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