Nov.08.11 by 管理人
「新部長が来られるのは、たしか今日ですよね」「うん、そうだね」 「どんな人なんでしょうね?」 下泉は思案した。正確な噂を伝えてよいものか。あまりにもひどい噂ばかりだったから、正直、逃げ出してしまうんじゃないかとさえ思った。ここは現実を直視してもらうのが、一番ベターだと判断する。 「けど、これから大変だよな」 「そうですよね、企画も三人だけですし、わたしもがんばらないとだめですもんね」 香坂は新人らしく、元気のある声で言った。華奢な腕を曲げて出てこない力こぶを作って見せる。 下泉はそれを見て笑った。 扉がノックされる。香坂が「はい」と高い声でそれに答えた。 中肉中背の男が入ってきた。下泉は桑原だろうと思った。噂通りたしかに男前である。噂の最終兵器はいがいにも普通の男に見える。が、とたんに素性を表した。きざったらしく「部長席はどこかね?」なんて香坂に声をかける。 そして桑原は二人を呼び集めると、おほん、と咳払いした。
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