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2-8
 実際企画部に割り当てられた経費は、会社の存続に大いに貢献できるだけの金額だったことは下泉も知っていた。社長の頭の中では、『部長職の解雇は無理だろうから、他の部署にでも降格させて--経済がよくなれば、また企画室くらいは作ってもいいか』と、いったプランがあったに違いない。前部長の田村の顔が浮かんだ。
「今の社長は穴だらけだよ。こんなご時世だし会社が傾いても仕方ない。ただ、このままで終わらせるようなことはしないよ」そしてにっと笑って「社長にもいっしょに不幸のランデブーを踊ってもらおうかと思ってるんだ」
 下泉は何とも言えずに、うなずくしかなかった。噂で聞いているイメージとは少し違う。少しばかり好感がもてたのだが、ただ、最後には「よくもまあ会社の近くでこんな悪巧みを考えるものだ」と呆れた。

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