「静か……だ…な」


今まで聞こえていた、ざわめきが。
消えたような気がした。


ふと、窓を見ると。

雪が降っていた……。



白く……儚く

穢れ無き新雪……



それは。


……姉上を…思わせる………







僕が初めて…雪を見たのは……

姉上に連れられた王宮の庭園だった。





「カイン!見て!雪よ、雪が降っているわ!」


姉上は。

凄く…はしゃいで。

ドレスの裾を翻しながら。

雪の上を…クルクルと廻った。



「ゆ…き……?」


僕の呟きに。

慌てて姉上が言葉を繋いだ。


「そうよ、カイン…これは雪と言うの」
「……雪……」
「ええ。白く儚い…穢れ無き…雪……」



その言葉を聞いて。

僕が…思った事は。

雪は……


「姉上に…似てる……」
「え…?」


…何を…言ったんだ?

僕は……?



何だか…

急に頬が熱くなって…




「…カイン?」
「…………」




姉上の呼び掛けにも答えられず。

僕は…

俯いてしまった。



「ごめんなさい、カイン!寒かったのね?部屋に戻りましょう?」



姉上は。
僕の頬が赤くなっているのを。

…寒さのせいだと思ったらしい。



どうしよう……?

これじゃジークの…

苦い薬を飲まなきゃ…いけなくなるよ?




……でも。


姉上が。

ずっと傍に…

居てくれるかも……?



そんな事をボンヤリと考えていたら。
益々、姉上の顔が曇った。



さっきまで…
あんなに嬉しそうだったのに。



姉上に。
笑って欲しくて。

僕は…
慌てて姉上に聞いた。


「ねえ…姉上。姉上は…雪が…好きなの?」


姉上はキョトンとした顔で僕を見たかと思うと。
小さくクスッと笑った。


「そうね。雪は大好きよ。でも……」
「?…でも?」


問い返す僕に。

姉上は…とても綺麗に笑ったんだ……



「カインの方が、もっと好きよ」
「!!」



……どうしよう?

僕……

さっきより頬が…熱くなってる……?



やっぱり。

ジークに薬を貰わないと…ダメかな?








そう。

あの日から。



僕は。

…姉上を。

一人の女性として…
意識するようになったんだ。



あの時。

僕の事を好きだと言ってくれた姉上は。

弟に対して…

言ったのだろうけれど……



だけど…僕は……!



「さあ!カイン=マクリール。全ては明日……!」



明日。

僕は即位する。


そして。

あの雪の日に。

姉上に言えなかった言葉を。

僕は明日…

打ち明けよう。



「例えそれが…姉上を…穢す事になったとしても……」





新雪に。

足跡を残すように…

僕は。

姉上に…

僕の痕を残そう…………












え〜・・・妄想200%と言う事で(汗)
今回珍しく姉上が喋っております。
余り姉上の台詞は作りたく無かったんですけどね〜
皆さんの中の姉上像を壊したく無かったのもありますが
管理人の姉上像を押し付けたく無かったので(苦笑)
まぁ今回は多めに見て下さい・・・とか言って次も
姉上が喋ってたら・・・あは・・ははは・・・ヤバイな・・・





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