窓を叩く音に視線を上げると。

雨が降り出していた。








今日は朝から。

姉上に会っていない。




「何処に……出掛けたんだろう?」




最近、姉上は

誰かと出掛ける事が多くなっている。





「フッ……。誰か……じゃないな」





そう。

僕は知っている。




姉上が。

休みの度に。


……誰に逢うのかを……



それに気付いた時。



僕の……胸の中にも

……雨が降るようになった……






『姉上も一緒にきて欲しい。なんとなく、勉強が捗る気がするからさ』




こんな事……言わなければ良かった。


……だから。

だから姉上は……!




僕が姉上に。

一緒にきて欲しいなんて


言わなければ。





姉上と彼が。



仲良くなる事も無かったのに……!





僕は唯、姉上に。

傍に居て欲しくて。


だから。





付き添ってもらっていた……だけなんだ。






こんな事に……なるくらいなら。



「一人で出向いた方が…良かったよ」




姉上を。



失くすくらいなら。



……僕が一人で……








『僕は恵まれている。足りないものは何一つ無い』




そう思っていたけれど……



「……馬鹿だな」



全然、足りないじゃないか?



「姉上が…さ」






姉上が足りない。



いつも僕の傍に居てくれた姉上。

なのに今は……






「フ……。何が『幸せ者』…なんだか」






外を見ると。

いつの間にか。

雨は止んでいるようだった。






「……姉……上……」









この胸に。

降りしきる雨だけが。



止むすべを……知らない。














く・・・暗っ!
甘い話が書きたいくせに何でまたこんな・・・(汗)
あ〜〜〜!
でも思いついたら書かずにはいられなくて・・・(←病気)
姉上のデート相手ですが出しておりません。
・・・が!
雨のイベントって言ったら・・・彼しかいませんよねぇ(苦笑)





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