俺は今、考えている。


それは。




「……何故…此処に……」


知らん女が………寝ているんだ?





「ん……あ……エドガー様……」



エドガー…様…だと?



「誰だ?お前は?…何故、此処にいる?」



俺の放った言葉に。

女は息を呑んだ。



「エ…ドガー様?……何を…御冗談……」
「冗談?俺は本気だが?」
「……っ!?」



笑いを貼り付けた女の顔が。

俺の言葉で歪んでいく。



「エ…エドガー様っ!わ…私、何か気に障る事でも…?!」



女は俺に縋りつきながら顔色を失くしていった。



「…放せ。俺に触るな」
「ひっ…!!」



信じられないものでも見るように。

眼を見開き首を振っている。



「お前が出て行かないのなら。…俺が出て行く」
「!!まっ、待ってくださいましっ!」
「…………」
「わ……私、帰ります…か…ら…」
「……そうか。なら早くしろ」
「…は…い…」



俺が息を吐き出す頃には。

女は全裸に衣類を纏い。

慌てて部屋を出て行った。




「なんだったんだ……?」



髪を掻き揚げると。

部屋にある鏡が眼に入った。


「これが……俺…?」



……そうだ。



先刻から俺が考えていた事。

それは……




「俺が一体……誰かと言う事だ」



そう、俺は。


どう言う訳か。


記憶を失くしたらしい。



「……何て事だ……」



深い溜息を吐きながら。

床に散らばっている服を拾う。



「いつまでも。…こんな格好で居る訳にはいくまい」


ひとりごちて身支度を整える。


ふと感じた。

この服を着る事に違和感が無い事を。


「…なるほど。これは俺の服なのだな」




鏡の前に立つ。

金色の巻き毛をし、赤い衣を身に着けた男。


「これが俺…か?」


フッ……


「まあよい。そのうち思い出すだろう」


この部屋に居る事自体、違和感が無いのだ。

俺が調べなくとも。

俺が誰かなど分かるだろう。




それに。


誰かが教えにやって来るかもしれんしな。




「先程の…女の事もある」



さて。

どんな奴が来るのか。


「楽しみだ」


口角を上げた自分に驚いた。


記憶という物を失くして。

心細い、怖いと言った感情は。

俺には全く無かったからだ。


「フッ…それがエドガーと言う男……か?」




クックック……!

腹の底から笑いが出た。

実に愉快だ。



何だ?


この…解放された気分は?




「ハッ…ハーッハッハ!!」

椅子に深く腰掛け大笑いする。


気分が良い。




すると。

いきなり扉が、けたたましく開いた。


「エドガーっ!?」
「?」



そこには。

栗色の髪の……

青いドレスを纏った女が居た。





……なんだ?


この…女は……?




顔面蒼白になっている女の顔を見ていると。


胸の奥が……酷く痛んだ。


!……痛むだと?





記憶を失くした状態ですら。

何も感じなかったというのに?





……この女は。

俺にとって。

何だと言うのだ?



先程の女も。

同じ様に顔を蒼くしていたが。


……気にも留めなかったというのに?





「どうしたの?……エドガー?」
「…何がだ?」





女が俺の側に近寄ってくる。

前髪で見え隠れする瞳が。

不安そうに……俺を見つめる。





我知らず。

その女に……

手を伸ばしていた。





その時。




「エドガー!」



伸ばした手を止め声のする方に視線を向けると。



眼の前の女と。

同じ容貌をした男が一人。

立っていた。





男は。

靴音を鳴らし女の手を取った。



「姉上……エドガーを呼びに来てくれたの?」
「ええ。あの…廊下で話を聞いて…」
「話?」



男が女に話を促すと。

女は俺の方に視線をやりながら話し出した。


「……そうなの。エドガーが…お付き合いされている女性に……」
「付き合い?誰がだ?…俺がか?」
「エドガー?」



女の口から。

俺が付き合っているなどと……言われるのは気分が悪い。



あの女と付き合っているなどと。

思われるのも不愉快だ……!



「あの女は…関係ない」
「え?」
「無関係だと言っている!」
「あっ!…ご、ごめんなさい……」




俺が語気荒く言い捨てると。

女は下を向いてしまった。


…何故、下を向く?


何故、俺を見ない?



その瞳を…


俺に向けろっ!!


「おい」


腕を伸ばした俺の前に。

白い服が立ち塞がった。



……あの男だ。



「エドガー。姉上の事は許して欲しい。悪気は無かったんだ」
「カイン…。エドガー、ごめんなさい!私…失礼な事を言ってしまったわね」
「……いや。別に構わん」



謝って欲しい訳じゃない。


俺は唯……

俺の側に来いと。

……言いたかっただけだ。





「そう…良かった。姉上。さあ、執務の時間だ。行くよ?」
「ええ、カイン」
「エドガー、先に行ってるからね」
「……ああ」



女の手を引き。

男…カインと言ったか?

部屋を出て行く。




扉が閉まるのを見届けて。

大きな溜息が出た。






「何だと…言うんだ?」



あの女を見た瞬間。


身体を駆け抜けていった…衝動……は?




名も知らぬ……女。


だが俺は。


この女が。


……欲しいと思った。




そうだ。


あの女が欲しい。



「……フッ」



可笑しなものだ。


「この考えに違和感を覚えんとはな?」



記憶を失くす前も。

同じ事を考えていたのかもしれん。






だが必ず。



「……手に入れる」



必ず……!




「……さて、何処で待っているのか。探さんといかんな」



鏡に映る俺は。


楽しげに笑っていた……。



















え〜・・・何を目指しとるんじゃ己は?と。
自分で首を捻ってます(汗)
いや最初に思い浮かんだのはエドガーが記憶を失くしたらどうなんだろう?でした。
余りに文句ばかりカインと姉上に言うもんだから腹が立っちゃって。
「エドガー、お前も記憶失くしてみろ!どんなに大変か分かるはずだ!!」なんて。
思いつつ書いたわりにはエドガー・・・困ってませんでしたね?(滝汗)
彼なら記憶を失くしてもオレ様な態度は変わらないような気もします。
性格もあるんでしょうけれど・・・(苦笑)
あ!どうしてエドガーが記憶を失くしたかは深く考えないで下さい!!
「コイツ、ノリで書いてやがんな?」くらいに思って頂ければ・・・え?だ、駄目ですか?
・・・辻褄あわせに続きを書くやもしれません。







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