あいつを誘ってヴァールの森に遊びに来たら。
……雨に降られた。



あいつは、ずぶ濡れになっちまって……!
風邪を引かせる訳にもいかねえし。
雨が止んで直ぐ。
慌てて城まで送って行った。




「姉上っ!?」
「カイン?」



オレがあいつを城まで送ると。
カインが血相を変えて飛び出して来た。



「どうしたんだ姉上?!……ずぶ濡れじゃないか!」



あいつを引き寄せ。
全身ずぶ濡れの姿を見るなり眉を寄せた。




「あ……カイン。あのさ……」
「……ロデル」




オレが慌てて声を掛けると。
……凄い目で睨まれた。





そんな気がするのは……オレの気のせいか?




「あのね、カイン。出掛けていたら雨に降られちゃって……」



あいつが事の成り行きを話すと。
カインは深く溜息をついた。



「……そう。心配したんだよ?姉上……朝から部屋に居なかったから……」
「ごめんなさい……カイン……」



カインの言葉に。
あいつはシュンとしちまって……



あいつが悪いんじゃないのにっ……!



「お、おいっ!カイン!!あのな……」
「ロデル!」



オレがまた、慌てて声を掛けると。
カインが遮るように声を掛けてきた。



「なっ、なんだ?」
「……ありがとう、ロデル。姉上を送ってくれて」
「あ……!いやっ!オレが付いてて……悪い事したな?」
「……いや。雨は……ロデルのせいじゃないよ」
「カイン……」




カインはオレを見た後、あいつの腕を引いた。




「きゃっ!」
「ーーー!!お、おいっ!カイン!?」




カインは少し屈むと。


あいつを……


軽く抱き上げてしまったーーーーー!!




「おっ……降ろしてカインっ!私は大丈夫だからっ!!」
「……ダメだよ、姉上。こんなに濡れているのに……早く身体を温めなくては」
「カ……カイン?お、おい?」




我に返って慌てたオレに。
カインは笑って言った。




「ロデル。……姉上を送ってくれてありがとう」
「い……いや。オレは別に……」
「今日はこれで。……失礼する」
「……あ」





それを聞いたあいつは。
オレに振り向き慌てて手を振った。



「ロデルっ!ごめんなさい……あのっ……今日はありがとう」




それを聞いた途端。
情けないけど……オレ。

凄く嬉しくなっちまって……
思わずニヤケちまった。




「お、おう!じゃ、じゃあ……またな!」
「……姉上。……行くよ」
「ええ、カイン」




……まるでカインは。

オレとあいつが話すのを振り切るかのように……

足早にあいつを抱えて行っちまった。




「カインのヤツ……どうしちまったんだ?……オレ、やっぱマズかったのか……?」




あいつに好きだと告白して。

それにあいつも応えてくれて。



……凄く嬉しくて……




……だけど。

オレが悪かったんだな。

調子に乗ってた……と思う。



だからカインも……怒ってるのか……?



カイン、あいつの事
スゲェ大事にしてるみたいだし。




「……いや!オレだって!!」




あいつの事は大事なんだ!

大切にしたい……と……思ってる。




「あ〜〜〜っ!やっぱ今日は失敗だぁ〜〜〜っ!!」



これでカインが。
あいつにオレと逢うのを止めたりしたら……!



…………………………

…………………………(汗)


「絶対ヤバイってぇーーー!!」





わーーーどうしようオレっ!?



いくらオレだって、これくらい分かる。

次期国王で。
あいつの弟でもあるカイン。

そして、あいつは。

この国の王女で。



……………ホントに……………………………

………………………ヤバイ………………(焦)




「どうすりゃいいんだ〜〜〜っ?!」






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……どうしたのかしら?




カイン………


何か……怒ってる………?








「カイン。もういいわ。降ろして?」
「……ダメだよ、姉上」
「私は大丈夫よ?唯、服が濡れているだけだから」
「……」
「カイン?」




……何が。

大丈夫なんだ?

……姉上



少しも大丈夫なんかじゃない!!


僕が……!

僕がどんな気持ちで!!

……姉上を待っていたかなんて……




姉上に……分かるわけがない。




……ロデルと出掛けて。

僕は……凄く……不安になって……

僕の心は……少しも



「……大丈夫なんかじゃない!」
「カイン?」
「姉……上……」
「どうしたの、カイン?」
「姉上……!!」




……ああ……



そうやって……

僕を心配する
姉上の顔は……




ロデルを見る時の顔とは……


……違うんだ…ね……?




どうすれば。

どうすれば姉上は……



僕だけを。

見てくれるんだろう?



ロデルを見つめる……時のように。



ひとりの…

女性の瞳で……




ああ……!

胸が……焼け付きそうだ……!!




「……カイン」
「!?」
「ごめんなさい……カイン」
「あ……ね…うえ?」



姉上は……

僕の胸に顔を埋め…




……そっと。

僕を抱きしめた。




唯、それだけで。



僕の荒れ狂う心は。

……簡単に静まってしまう。




「ふ……」
「カイン?」
「……姉上……」




姉上は。

僕にとって……






痛みを与える毒にも

癒してくれる薬にも

……なるんだね?





でも。



それさえも。



僕は…

手放せないんだ……




「……姉上。このまま部屋まで行くよ」
「ええ。……ありがとうカイン」




このまま。



このまま姉上を……

……奪えたなら……!



どんなに僕は。



……幸せだろう……?







外では、また。

雨が降り出していた。



今夜は嵐になるだろう。





そして。



僕の胸に


降り続ける雨も……









胸の中に。

荒れ狂う嵐を抱え。


僕は唯。


姉上を…


抱きしめずには……いられなかった……



















ロデルが出ると暗くなりませんね。
でも後半、暗くなっちゃったけど・・・(汗)
まぁカインサイドだから仕方が無いか。
明暗、分かれちゃってるし・・・
お互い立場も背負ってる物も違うしなぁ。
因みに「雨」の小話と繋がってます。
この後、続くかどうかは・・・管理人の気分次第と言う事で(苦笑)









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