私の名はジーク=イーヴェイン。

人は私を……


マッドサイエンティストと呼ぶ。



 

 

ジーク博士の危険な日々

 





「出来ましたよ!」


試験管の中には可愛い卵達。


「これで、あの子達の喜ぶ顔が見れますね」


すると。

私の独り言に応える者がいた。


「あ〜らジークったら!また怪しげな物、作ってるの?」


……口調は、こんなんですが。

皆さん、騙されてはいけません。

こー見えても。

れっきとしたですからっ!



「フラン。怪しげとは失礼ですね。この発明は人類にとって画期的な……」
「ストーップ!言い訳は良いわよ。どうせ、あの双子ちゃんに頼まれたんでしょ?」
「!!……聞いていたんですか。はぁ……立ち聞きなんて良くないですよ、フラン」
「あのね〜……聞かなくても分かるわよ。アンタが人に頼まれてホイホイ返事するのって、あの子達だけじゃない?」
「おや?よく御存知ですね」


私が笑ってみせるとフランは大きく溜息を吐いた。



「あ〜〜〜もうっ!だから心配してるんじゃないの!」
「…?心配……ですか?」
「そうよ!アンタ、世間様で何て言われてるか知ってるの?」
「……さぁ?」
「……知ってるんでしょ?天才的頭脳を持ちながら道義心の欠如も無い科学者」
「…………」
「奇怪な発明をして世を騒がせるマッドサイエンティスト!…それが世間でのアンタの評価よ」


呆れたように首を振る。



「……人に何と言われようと構いませんよ」


フランを見つめ私は言いきった。


「私を信じてくれる。私を必要としてくれる。そんな人が一人でもいてくれさえすれば……ね」
「何、言ってんのよ。アンタが言う事を聞くのは、あの双子ちゃんだけじゃないの」
「うっ……」


図星を指され息を呑む。

フッ……伊達に長い付き合いではないと言う事ですか。



……そう。

卵の依頼は可愛い双子の子供達。



幼子のお願いに。

私は、この卵達を創り出したのだった。





「ジーク!もう出来たぁ〜!?」
「ダメよ、カイン!最初は御挨拶からでしょ?ジーク、こんにちはぁ」


けたたましく鳴り響く扉の音と一緒に。

飛び込んで来たのは二人の子供達。



「あらあら。噂をすれば影ね。こんにちは、お姫様に王子様」
「わぁ〜っ!フランだぁ!」
「こんにちは、フラン!」


さっきまでの毒舌も何処へやら。

フランは姿勢を低くし幼子に微笑んでいる。





この幼子達は私の研究に投資をして下さっているマクリール財閥の御子息、御令嬢。

そしてフランも。

警護の任についている。

フランは普段はオカ…ごほごほっ!

……じょ、女性のように見えるが剣の達人だ。

風貌がコレなので人に理解されず腕を振るう場所が無かった。

それは私も同じで。

万人の理解を得られず、研究費の出資者を探していた。


そんな中。

私達二人を寛大な心で出迎えてくれた上に膨大な出資をしてくれる人が現れた。


それが、この子供達の御両親でありマクリール財閥だったのだ。


財閥の御令嬢、御子息。

この二人を私達は姫と王子と呼んでいた。






「ねぇねぇ!今度は僕に剣を教えてよ」
「え?どうしたの、いきなり?」
「エドガーが剣を習い始めたらしいの。だからカインも習いたいらしくて」
「あら、そうなの?」
「うん!だって…エドガーが『お前には無理だろうな』って笑うんだ……」
「カイン……」
「おやおや」



眼を細めて二人の話を聞いていたフランだが、とても怪しい笑みを浮かべた。


「ふぅ〜ん。そんな事を言う子には…お仕置きしなくちゃねぇ」
「フラン!?」
「なぁに、ジーク?」
「……人の事を言えるんですか?貴方だって充分、道義心が欠如していると思いますが?」
「煩いわよ、ロリコン!」
「ロ……?!フラン!」
「違うとは言わせないわよ?お姫様の顔を見てはデレデレとしているクセに」
「なっ!?そ、それは貴方も同じでしょう!?」
「当然よ!こんな可愛い双子ちゃんなんだから!ね〜え?」
「「???」」


幼子達は首を傾げ私達を見上げていた。


「分かったわ、王子様。私が、みっちり教えてあ・げ・る♪」
「わぁ〜い!!」
「良かったわね、カイン」
「エドガー坊ちゃんに負けるんじゃないわよ!」
「うんっ!!」



はぁ……。

まったく、彼ときたら。

本当に自由な人ですねぇ……。


頭を抱え、溜息を吐いていた私に。

小さな手が白衣の裾を引く。


「ねぇジーク。私も教えて欲しいの」
「はい?何をですか、姫?」


膝を着いて姫の目線と合わせる。

ああぁ……なんて可愛いんだぁ……!!


トリップしかけた私に姫が更に止めを刺す。


「カインが剣の練習をして怪我をしたら大変だから。お手当ての仕方、教えて?」


小さな両手を組み、小首を傾げて上目遣い……

ああ!

姫っ、何処でそんな大技を〜〜〜っ!?


ベシッ!!


「うっ?!」
「ホントに危ないわね!」
「…た、助かりましたよ、フラン……」



姫の可愛さに危うく昇天しそうになりましたよ……

まぁ……私とフランは逝きたくても逝けないんですけどね。



「そうですね。じゃあ、これから薬草のお勉強をしましょうか?」
「はいっ!ジーク先生!!」
「!?……」
「……アンタ。鼻血出てるわよ」
「…放っておいて下さい」


自分でも危険を感じてるんですから……はぁ。



幼い双子達は。

剣と薬草の話で盛り上がり卵の事は忘れているようですね(涙)



まあ、良いでしょう。

今は色んな事が楽しい時期です。

この卵の事は次回と言う事にしておきましょうか……ね。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

え〜・・・すみません、パラレルです(汗)
好む方、好まれぬ方、おられると思います。
殆ど、勢いで書(描)いたブツでして・・・。
挿絵も誰だよ?なジークだし(涙)

管理人的には続きそうなんですけどね。
どうしようかな?
アンケートでも取ってみようかな?
それによっては続いてみたり・・・(苦笑)

現代パラレルの上に双子も子供だったり。
王宮とは完全な別物になってます、ハイ。
真っ当な恋愛話になるかは謎ですね。
それもジークが色んな意味で危ないヤツになりつつあったり・・・(滝汗)
フランの口調も彼らしくないと思いますが、そこはパラレルと言う事で。
流してやって下さい〜(土下座)

 

 

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