■ピロートーク(1)
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「いけ!……上手い!!……フツーここ一番であのコースに投げられるかー?……ああ凄い、凄いよN茂さん!!シビレル!」 「うるせぇ、俺にだって出来らぁ、これくらい。……おい、土井垣。お前、何のためにココに来た。いいかげんにしろ、メジャーリーグ中継なんか見てたら朝になっちまうぞ!」 「ああん?ああ……最後まで見るわけないだろ……あ!……ああ!……ふー、ファールか」 「……手に汗握ってんじゃねーよ、ったく、あーあ、TVなんかつけるんじゃなかった!」 「お前さ、そんなにあのチャンネルが見たいんなら自宅で契約すりゃいいのに。どうせケーブル入ってんだろ?追加料金払うだけだろうが」 「もう加入してるよ。でもな、こういうシチュで見るからいいんだよ、一人じゃオカズにしかならん……お前と見たいんだ、土井垣。お前と一緒にな……やい、なに耳掻いてんだよ」 「モミアゲを耳元にくっつけるな、痒いだろ……よっしゃ!ツーアウト!」 「てめぇ、邪険に払いのけやがって。……襲うぞ」 「きわどい!うーん、ちょっと浮いたか……キャッチングでカヴァーしてやれよ。……うわっ!なんで消……わっ……こら」 「処女じゃあるめーし焦らすんじゃねぇ」 「バカ、ボタンがちぎれるだろっ、俺はTVを見てただけだ!」 「うるさい口だ」 「む。……うう……ん……。……ぅ………あ。…………………あ……おい。よせ、シャワー浴びてないぞっ」 「気にしねーよ。……お前のにおい、好きだぜ」 「!?……!!!!は、離せ、あっちいけ!コノヤロ!」 「ははは、耳まで真っ赤でやんの」 「くそっ、また女みたいだとか言ってバカにすんだろ!」 「女の恥じらいはもっと色っぽいぞ。計算されているからなぁ。そんな、近所の銭湯の湯船で女の子の同級生と鉢合わせした小学生、みたいな反応しねーよ」 「俺は子供の頃、銭湯になんか行ったことないぞ」 「そりゃ不幸だ」 「温泉なら……ああ!……はぁ……やめろって……そんなに激しく……ぁ……あ、よせって」 「………………。やめて欲しいのか?」 「……ぁ……ぁ……ずっと……触ってるくせに。ぅ……もっときつく……」 「………………」 「なぁ。……なぁって、小次郎。なぁ、さっきみたいに……」 「さっきみたいになんだ?」 「……わかってるだろ……」 「わかんねぇなぁ」 「クソッ、お前…………く、くちで……な?」 「ふふっ欲張りなこった」 「ああ!……ぅ……ぁ……くっ……」 「……。お前ばかり愉しむな。俺もしてくれ。お前はそのままでいい、俺がそっちに……う、上手く、なったな……」 「……。な。早く、してくれよ」 「せっつくなって」 「………む……ぅぅ……ん……」 「…………ぐ……むぐ……ぐぼ……」 ……………………………… ………………………………… 「ケホッ!コホッ!コホコホッ」 「…………。ほい、ティッシュ」 「…………うげぇ。不味!うひゃぁ、あちこちついた!」 「相変わらず不器用だな」 「そんなこと言われたって避けられるもんじゃ、……お前こそなんで顔が汚れない?……!……!!……」 「自分でフッといて赤くなるな。そんなに気持ち悪いもんか」 「きったねーだろーがよ!……すまん。その……気持ち悪いんだ、俺、玉子の白身とか苦手だから、昔から」 「ぶははははは!白身が苦手か、そりゃすまなかった。……まだついてるぜ」 「何処だ?……おい舐めるなよ!へ、平気か?!」 「元は自分のもんだ」 「そりゃそーだが。おい、ははは、くすぐったいって、む…………」 「……………………」 「……ぅ………………はぁ」 「……フフ、口の中で混ざったな」 「混ざったって子供になんかならんぜ、バーカ」 「わかってるよ。……わかってら、そんなこと。当たり前だろーが。……うるさい口だ。…………」 「…………………」 「…………………」 「……悪い、俺やっぱうがいしてくる」 「色気のねぇやろうだな、相変わらず」 ……………………………… 「あれ?ルームサービス、なんか頼んだのか?」 「タバコ」 「やめたんじゃなかったのかよ!」 「うるせぇな、1本だけで後は捨てる」 「口直しならうがいしてこい。ガムとかないか?」 「……心が欲しがってんのさ」 「ニコチンは脳のレセプターを根本から変えてしまうらしいぞ。もう脳みそがタバコなしではいられない状態になるそうだ。まさに中毒だ。だからな、1本でも吸わんほうがいい、また禁煙地獄に逆戻りだ、やめておけ!」 「お前はなー。……心配してくれてんのか?」 「当たり前だ!お前に早々引退されたら楽しみが減る、大事なライバルだからな」 「お前なぁ。……土井垣だなぁ、まったく!」 「へ?」 「楽しいよ、お前といると。……好きだぜ」 「?何言ってんだ、バカ。……だ、抱きつくな、ルームサービスが来たらどうする!!」 |