「何で、お前がいなくならなければならないのだ…」
暗い部屋の中、呟くように口にした。
“何か”を知り、殺された事ぐらいは解る。
その“何か”が軍部に在る事も…。
「俺は、どうしたらいいんだ。なぁ、ヒューズ…」
雨の音が響く。
あれから、何日過ぎただろうか…。
夜が来ると…。
いや、雨の降る夜には彼のぬくもりを思い出してしまう。
彼は、此処にいない…。
ベッドに横たわり、天井を見る。
最後に彼と“寝た”のは何時になるだろうか…。
そっと、服の下に手を滑り込ます。
胸元を軽く撫で回し、下半身を直に握り込んだ。
「ん…っ」
小さく身体が跳ねる。
何も、これが初めてなわけじゃない。
彼がいなくなってから、何度も行われていた行為…。
「んんん…っ!」
ビクビクッと震わせ、自らの手に白濁を放った。
乱れた呼吸を整えるように肩を上下させながら、それを見ていた。
「どうして、お前はいないんだ…」
そう口にした。
涙が一筋、落ちていった。
いなくなってから気付かされる。
どれだけ、彼に頼っていたか。支えられていたか。
でも、もういない…。
彼は、此処にいない…。
−END−