執務室。
雨が降っている…。
こんな日は、思い出してしまう。
圧倒的な力の差。
それと…。
「中尉って、凄ぇよなぁ…」
思わず、笑って言えば、睨まれる。
「焔が水に弱いのは、仕方ないことだろ?」
雨じゃなければ…と表情が語っている。
「大佐、俺さぁ、欲しいモンがあるんだけど…」
顔を近付け、言う。
「何だ…?」
普段の顔で聞いてくる。
そんな彼の唇をふさぐ。
軽く重ねるだけのキス。
「鋼の…っ!」
驚いたように声を上げる。
その頬が少し、赤い。
「大佐が欲しいんだけど…」
その顔にドキッとしつつ、聞いた。
「鋼の、変な冗談はやめろ。私は、男だぞ」
ククッと笑う。
「そんなこと知ってるよっ。ついでに、通り名で呼ぶなっ」
強く言い、机の上に乗り、再び唇をふさぐ。
形を舌でなぞり、上唇を軽く噛む。
「んん…っ」
少し開いた空間に舌を差し入れ、歯の裏をなぞって、舌を絡めとる。
「ふぅ…んっ、ぁは…っ」
深いキスに、エドワードの肩を掴み、引き剥がそうとするが、力が入らない。
漏れていく吐息と、口端から伝い落ちる唾液。
キスをしながら、服の前を開けていく。
「はぁ…っ」
唇を離せば、涙に滲む瞳と艶やかな唇が目に入る。
呼吸を荒くしたまま、こちらを見ている。
「大佐、嫌なら俺を突き飛ばせよ。燃やせよ。やめねぇから」
ハッキリと言い、薄いシャツの上から解る胸元の突起に指を這わす。
「んぁ…っ」
布越しにそれを弄れば、尖ってくる。
「ぁあっ、やめ…っ」
甲高い声が発せられ、思わず手でふさぐ。
「声、押さえるなよ…。せっかく、可愛い声してるのに…」
下半身に触れながら言う。
キッと睨むようにこちらを見ているが、涙に潤ませた瞳では、そのように見えない。
服の上からでも分かるぐらい、ロイの反応は明らかだった。
ガチャガチャとベルトを外し、下着ごと引き降ろす。
すると、先走りに濡れた自身があらわになる。
「ココ、凄いことになってる…」
そう言い、自身を軽く握り込む。
「やめ…っ、はがねの…」
「なぁ、名前で呼んでよ。通り名じゃなくて…」
自身を扱き擦り上げる。
「んく…ぅ、や…ぁ」
嫌々と首を振るが、涙に濡れた瞳、身体の反応から嫌なようには見えない。
「ぁあ…っ、んぅ…っ」
刺激を与えていく度に、身体が揺れる。
「なぁ、ロイ…」
耳元に息を吹き掛けるように言った瞬間、
「んぁあ…っ!」
小刻みに身体を震わせ、手に白濁を放った。
肩を上下させながら、呼吸を整えようとしているロイを見ながら、机から降りる。
「大佐、まだ終わりじゃないよ…」
ハッキリと言い、椅子の前、机の下に入り込む。
その直後、コンコンというノックの音。
ワイシャツ姿のロイ。
机の影になり、下半身が裸だということは解らない。
扉が開き、入ってきたのはアルフォンスとホークアイ中尉。
「大佐、兄さん知りません?」
「エドワード君がいなくなったみたいなんですが…。来てないみたいですね」
二人がこちらを見て言うと、部屋から出て行った。
机の下から顔を出し、エドワードは安堵の息をはいた。
「危なかったぁ。見つかったかと思った…」
そう言えば、ゴツンと頭を殴られる。
「いってぇーっ!」
「上官を呼び付けにするんじゃない、エド」
服装を整えながら、言った。
「悪かったなっ」
思わず、反抗してから気付く。
「え…?」
彼の顔を見れば、うっすらと赤く染まっている。
「ったく、大佐って反則だよなぁ…」
呟くように言い、笑った。
好きになってしまえば、もうどうしようもない。
そう。好きになっちゃえば…。
―END―