「カルナザル戦記ガーディアン」思い出レビュー
この漫画を知っている人は恐らくいないと思います。現在の赤マルジャンプ前身だった雑誌に、ひっそりと3回だけ掲載された知る人ぞ知る佳作。
どんな話なのかというと、「風の谷のナウシカ」と「天空の城ラピュタ」を足して2で割ったというか、要するにああいう話です。某国の王女と、山間に住む普通の少年が主人公だったり、主人公のドナが空中で別の乗り物に飛び移ったりする辺り、その容赦のないパクリっぷりが伺えると思われます。
だけどこの作品、好きなんだよなあ。
まず、作者の鷹城冴貴。この人が好き。
いや、この人マジで絵が巧いです。特に空の描写を描かせると絶品。
この漫画の「第3章・南の森の男たち」のオープニングで、飛空艇が空を飛んでいる描写があるのですが、絶妙な森の描写とあいまって非常に印象的なコマに仕上がっています。
あと、この世界観。
一人の少年が世界を救うために、魅力的な仲間と協力して単身戦いを挑むというシナリオは、直球ど真ん中なだけに誰も書こうとしないのか、同じような漫画は現在ありません。もともと冒険漫画好き、宮崎駿好きとしては、あんまりなのはわかっちゃいるけど、いい設定だなあと思うわけです。
要するに私にとって「カルナザル戦記ガーディアン」という漫画は、駄作なのは判ってるんだけど大好きという、いささか倒錯した感情を抱いている漫画なのです。
かつて宮崎駿に夢中になった貴方、クサイ話でも全然オーケーよという貴方は是非とも読んでみてください。大き目のブックオフに行けば、ジャンプコミックスの棚に100円で置いてあるはずなので。
ただこの漫画、1巻で中断したまま10年以上の月日が経っているという未完の作品なのですよね。作者ももうほとんど漫画は描いていないようなので、まず完結することはないでしょうが、最後まで行ったらそれなりの傑作になったのではないか、と思わせる、青臭いパワーを感じます。
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