「矛盾だらけの死体」(VS 小堺一機)



今回は謎解きとしてはアレですけど、サスペンスとしては文句なしに面白かった。三谷幸喜は舞台の人なので、純粋な謎解きを書くよりも、「ラヂオの時間」とかああいうツイスト連発のサスペンスの方が向いていると思う。「古畑」にもこうしたプロットの迷走っぷりを楽しむタイプの作品がいくつかあって、それらは押しなべて面白い。この作品もその範疇。


この作品のサスペンスは全て、「殺したはずの被害者が死んでいなかった!」という設定と、「意識を取り戻した被害者は犯行時の記憶を失っていた!」という設定から発生しています。
これらは非常にありがちな設定で(特に記憶喪失の件に関しては陳腐といえるレベル)、凡百の作家が手がけたらベタすぎてとても見ていられない作品になったでしょう。しかしそこは手練れの三谷のこと、きちんと上質のサスペンスに仕上げているのだから凄い。ところどころで今泉のギャグをはさむことにより、単調になることを回避しているし。

また、小堺一機の好演もいいですね。
私は「ごきげんよう」という番組が大嫌いで、そのせいであまりいい印象を持っていないのですが、そんな私から見てもいい演技だと思いましたよ。古畑モノはとにかくキャスティングが素晴らしいですな。


さて、ここで冒頭に言った「謎解きとしてはアレ」の意味ですけど、この作品、アレ以前に謎解きがありません。
最後は古畑が犯人を囮捜査にかけて無理やり逮捕するというものですし(ピザ屋の伏線が張ってありますが、それだけでは逮捕にこぎつけませんしね)、謎解きミステリとして成立していません。
サスペンスとして発生した物語はサスペンスの枠の中で処理をするということなのかもしれませんが、そもそも囮捜査モノって引っかかるか引っかからないかが面白いのであって、絶対に引っかからざるをえない結末に持ってくるってのは構造的におかしいと思います。

その点が引っかかるくらいで、見ていて楽しい作品であるのは事実。三谷のサスペンスはやっぱりおもしれえなあという印象。


2003年7月17日



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