「すべて閣下の仕業」(VS 松本幸四郎)




2004年の正月に放送されたスペシャル版。

以前放送された『VS SMAP』が悲惨な出来だったので、正直全く期待していなかったのですが、物凄い力作でした。古畑史上ベストワンに推してもいいんじゃないでしょうか。


とにかく立て続けに提出される謎のおかげで、2時間半という長丁場にも関わらずサスペンスが全くダレない。

「なぜ誘拐犯は身代金の受け渡しに黒いコートを指定したのか?」
「なぜ料理長は解雇されたのか?」
「死体はどこへいったのか?」

といった小さな謎を幾重にも提出する。そして、松本幸四郎との推理劇を平行して描くことで読者の興味を引きつける。この辺は相変わらずうまいなあ。

そして、実にさりげなく「20年前の誘拐事件」や「コリアンダー」といった伏線が張られているんですよね。
コリアンダーに関しては、晩餐会の席でさりげなくピックアップされており、普通にストーリー中の会話として成立している。従来の古畑ものって、こういう伏線張りのシーンが浮いてしまっていて「あ、これ伏線だな」と判ってしまうのが難点だったのですけれど、この作品に関してはそういうアラは目に付きませんでした。これは推理作家としての三谷幸喜の成長なのか。


また、犯人役の松本幸四郎。よかったですね。
芝居としてどうなのかはよくわかりませんが、とにかくムカツク(笑) ヒールとして素晴らしい出来で、「早くこいつを逮捕しろ!」と思いましたもん。

そして、近年キャラ萌え化の激しかった今泉、アリの両者を排除し、ワトスンに津川雅彦と八嶋君を代理起用したのも功を奏していたと思います。プロットが余計な方向に流れず、全編推理オンリーのシャープな構成になっていたというか。
もともと古畑って全部自分で解決してしまう探偵ですから、対等な立場でディスカッションできるようなタイプのワトスンじゃないと、作品から浮いてしまうんですよね。その浮いた部分が「萌え」に流れてしまったのが今泉君なわけで、常々「邪魔だなあ」と思っていたのですがその説が立証されました(笑) 続編を作る場合も今泉君はもう不要です。


解決は、最後に唐突に閣下が現地人のガルベス君を嵌め、その作戦の裏を取って解決するタイプ。
「あーあ、ここまで来て後付解決かよ」
と一瞬萎えたのですが、とんでもない。まさかガルベス君が日本人という大どんでん返しが待っていようとは。

もともと、
「『HERO』にも出てた日本人俳優がなんで現地人やってるんだろ。やっぱモノホンの現地人雇っても演技指導とか大変なんだろうな興ざめー」
などと思っていただけに、本当は日本人であると明かされた時はビックリしました。古畑が、「ガルベスはタイプライターが打てない」と言ったとき、「どうせ識字率の話とか持ち出してくるんだろ」とか考えた私は浅はかでした。これはテレビドラマでしか用いることの出来ない映像の叙述トリックですよ。序盤から明らかに「日本人である」と提示されているのに、最後までそれに気づかないという。サラダの伏線、ジョークの伏線(ヤマグチさんに教えていただきました)などもしっかり張ってあって心憎い限り。

そして、最後の証明書の提示シーン。
序盤から張ってあった「パスポートが盗まれた」というシチュエーションを、最後の最後で利用する見事さ。参りました。何も言うことはありません。


ミステリの肝は「伏線張り」−「伏線消化」の綺麗さ、もっと言うと、「いかにさりげなく伏線を張るか」、「いかに意外な形で伏線を消化するか」にかかっているわけですが、本作は数ある古畑ものの中でも最も優美にこの作業を行っています。それゆえ、古畑ものの中でも五指に入る出来といっていいと思います。


結末、事件の始末が行われた後の古畑の表情。やっぱいいなあ。どれだけかかってもいいので、納得のいく形で続編を出してくれることを希望。



2004年1月3日



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