「動く死体」(VS 堺正章)



これは正直言って一時間ドラマにするようなプロットではないです。正直見ていてちょっと辛かった。

まず、最初の堺正章の失言。幾らなんでもありゃないでしょ。ありゃ疑われますよ。警察から事情聴取を受けることぐらい想定しておいて、どういう受け答えをしたら最も怪しまれないか想定しておくのが普通じゃないか。想定した結果があそこに落ち着くわけはない。作者の都合で動いてるなーという感じ。

古畑が犯人を指摘するくだりも、そのまんま過ぎて興ざめ。なぜ「すっぽん(歌舞伎で使う小さなエレベータ)」があがっていたのか? となると、答えはひとつしかないでしょう。三谷もそう考えたのか、この謎を前面に出すことなく最後に古畑が思い出したように説明をするだけという扱いになっている。それはそれで正解なんだけれども、少し卑怯な気がした。ミステリではやはり大々的な謎を作者がぶち上げてくれないと面白くないわけで、そのフィールドから最初の段階で降りてるからなあ。
そんなわけで、かなり作者のご都合主義で進むと感じたこの作品でした。「古畑」は基本的にご都合主義なんだけど、ここまで露骨なものは珍しい。失敗作といっていいのではないか。


唯一面白かったのは、お茶漬けの下り。
思うに、「なぜ堺正章は殺人の後にお茶漬けを食べたのか?」という謎を中心に進めて行ったほうが面白かったのではないかと思う。難しいけれど、そうした形のホワイダニットを中心に進めていけば傑作になったのではないか。少なくとも私は、「なぜお茶漬けを食べたのか?」の回答に鳥肌が立った。


エドワード・E・ホックに「長方形の部屋」というホワイダニットの傑作があるのだけれど、ああいう手法で構築すればよかったのではなかろうか。そういう意味でも「失敗作」の冠が相応しい。


2003年7月12日



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