「汚れた王将」(VS 坂東八十助)



非常に完成度の高い作品でした。古畑シリーズ全体を見渡しても、完成度だけなら最高峰に位置するのでは?

まず、提出される謎が非常に魅力的。
「なぜ犯人は、絶対に勝てる一手をささずに負けてしまったのか?」
という、北村薫の「日常の謎」風のお洒落でスマートな謎。人工的な密室トリックではなく、人間心理の小さな謎。ミステリの醍醐味といえます。

また、謎の解決とともに一気に事件が終局に向かうという構成もいい。
また、過不足なく貼られた伏線も非常に綺麗。♀マークの伏線、将棋の駒の伏線など、必要なところでさりげなくはられている。
そう、この作品はプロットや構成が凄く綺麗なんである。考え抜かれて脚本が書かれているということをひしひしと感じる。そういった側面から、完成度だけで言えば随一の作品なのである。


しかし、作品の完成度がそのまま衝撃度に繋がらないのがミステリの難しいところで、端的に言えばこの作品は「簡単」なのである。見ている人間のほとんどが、解決編の前に正解に達することができるのではないだろうか。
その原因は、伏線のわかりやすさにある。とにかく伏線のシーンが露骨で、後からすぐに思い出せるものばかり。「まさかこれが伏線だったとは!」という、泡坂妻夫の諸作のような練りこみが足りず、そのおかげで結末の衝撃が足りなくなっている。まあ問題が簡単すぎたというのもありますし、テレビドラマでやる以上、誰にでもわかる推理モノを目指しているのかも知れませんが、その点が少し不満。

とはいえ、最初にも言いましたが、美しい謎、美しい伏線、美しい謎解きと、完成度だけで言ったら古畑モノでも随一です。入門編にいいかも。


2003年7月17日



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