「殺人特急」(VS 鹿賀丈史)
今回の犯行方法 → 犯人が電車の中で毒薬を注射して殺害。大雑把だなおい。誰かが通りかかったらその時点で御用ですぞ。
大雑把といえばもっと凄い物件があって、西村京太郎の本には満員電車の中でアイスピックを使って人を殺しまわるサイコキラーの話がありました。
なーんだ、そんなIQの低い事件はすぐ解決だね! と思った私の思惑を無視して、300ページを超えても捕まらない犯人。なんで捕まらんのじゃい! と思ってよく読んでみたら、「電車が混んでるので誰が刺したか判らない」という目を疑うような台詞を十津川警部が発してました。わかるわ!
まあそんなわけで、犯行が大雑把すぎると、それを立証していく過程が馬鹿みたいに見えるのです。
今回も古畑さんは一生懸命座席の位置関係とかを指摘しながら犯人を追い詰めてくわけですが、「でも目撃者が一人出てくればこんな事件瞬間で解決ジャン」と考えてしまってどうも入っていけない。
シリーズも中盤に差し掛かっているし、何か変化球でも書いてみるか……程度の動機で作られたのだと思いますが、変化球ならばサスペンスでもよかったし、無理して謎解きにすることもなかったのにね。あと電車を使ってるのにアリバイトリックが全く絡んでいないあたり、舞台設定としてどうなんでしょう?
今回は犯人が証拠品をゴミ箱に捨てたりして見つかるなど、非常に豪快な事件でどうもついていけませんでした。
せっかく鹿賀丈史が犯人だと言うのにもったいない。
面白かったのは、鹿賀が「振り返れば奴がいる」の中川外科部長役のまんまで出てきたところくらいですかね。
こういうお遊びは三谷幸喜ならではですが、私はもっとはっちゃけた役をやってもらいたかった次第。例えばキッチン・コロシアムの主宰とかさ。ちょっとワルノリの嫌いはありますが、充分ドラマとして成立すると思うんだけど。
次シリーズがあるのならこのようなぶっ飛んだ役で再登板してもらいたい。フルパワーの鹿賀と古畑の対決。私は二人とも好きですが、両者のファンでなくとも見てみたいだろう。
2003年7月29日
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