森田芳光 「模倣犯」
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誇張抜きに言いましょう。我が23年の生涯において最悪の映画。もうそれだけです。ここまでつまらない作品が撮れるのはある意味天才です。
「39」、「黒い家」、そしてこの「模倣犯」と、森田先生は邦画史に残る駄作を撮り続けています。当サイトでは以後、この三作を「駄作三部作」と呼び、後世に伝えていきたいと思います。


もう突っ込みどころ多すぎというか、2時間全部が突っ込みどころです。
まず、ハードカバーで千ページを超えようという大作を2時間に詰め込んだものだから、序盤から森田先生はマックススピードで物語をすっ飛ばしていきます。孫娘が行方不明になったかと思ったら、気がついたら死んでます。なんか重要参考人みたいのが出てきましたが、いつのまにか抹殺されてました(映画から)。あと爆笑問題が出てた気がします。

この一瞬でも気を抜くと一気に置き去りにされる構成の上、後半はストーリーがどんどん破綻していくので完全にぐだぐだ。
この作品、犯人は中居で、彼はもう一人の共犯者に全てをなすりつけて殺すことに成功するわけですが、その後なぜテレビに出てきて「彼は犯人じゃない!」などと繰り返すのか? 「彼」が犯人じゃなければ犯人お前しかいないじゃねえか。もうね、馬鹿すぎ……。


あと、触れておきたいのは森田監督の「ゲージュツ的カメラワーク」ね。
「39」の時からそうなんですけど、この監督、なんかやたら意味ありげな映像を取り続けてるんですよね。意味ありげってことは意味なしってことなんだけど。

「普通に撮ったんじゃ面白くない! ボクは天才だから凡人が撮るような映像は撮らないもんね! ボクの個性をアッピールするために、わざと変な風に撮るぞ! おい、カメラ揺らせ! ここには文字を入れる〜〜〜!!」

知らないけど多分こんな感じ。この発想からして凡人でしょ。凡人が必死に「僕は天才だジョー!」ってアピールしてるもんだから、映像が見難くて仕様がない。君のオナーニに付き合わされる観客のことを一瞬でも考えたことはあるかね? アーン?


そして結末。
もうね、笑いましたよ。笑うどころか爆笑ですよ。馬鹿すぎて。なんで中居の首がロケット弾みたいに飛んでくの? なんか一瞬で灰になってましたけど、なんで隣の人は無傷なの? いや、もうそんな細かいところに突っ込む気も起きん。脈絡のないカンドーの結末がまた笑えます。


これだけ突っ込みどころ満載の映画を撮った挙句、ビデオのボーナストラックでもやっちゃってます。
なんか、模倣犯44の謎とかいって、監督が仕掛けた隠喩を解明していくおまけがついてるんですけど、ちょっと待てこら! そういう作品の裏の意味を読む行為ってのは、本来受け手がやるもんだろうが。誰も突っ込んでくれなかったから、仕方がないから種明かし……ってそんなんあり?
全体的に妙にサブカルを意識してるっぽいし、そんなにエヴァンゲリオンが羨ましかったのかよ! 創作の動機を全部観客に読まれるような真似するなや。見てるこっちが恥ずかしいワイ。

しかも、この話にはまだ落ちがあって、44の謎を全部解明したければDVDを買えと来たもんだ。すみません、この映画は何段落ちですか? 「情婦」を思わせるどんでん返しの連続に私は危うく死去するところでした。危ない危ない。


当初、中居が宮部作品の主演かよ! ジャニタレ死ねと思っていた私ですが、途中から中居君のことが気の毒になってしまって仕方がなかったよ。恐らく死ぬまで私のワースト。こんな信じられないくらいの駄作があるという点で、見る価値は絶対にある作品。ある種お勧め。


2003年9月11日



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