なんで学校祭って、どこもかしこも同じ時期にやるのさ!!





7月後半学校祭でご不満





第二北男子高等学校。桜花女子高等学校。
昨年度まで学校祭は、1週間ずれて行われていた。はず、なのだが。
前年王子が2人光臨した第二北で、桜花の生徒が暴走。あまりにも名門校らしからぬ行いをしたという理由で、今年は同じ日に学校祭が開催される事となる。
原因の発端を作った王子達は、理不尽以外の何物でもない。





2年3組、執事喫茶。に、京介とジャックの姿はなかった。同級生の予想を大幅に当てた状態で、エスケープを決行したからだ。
学校祭中に校外に出る事を禁ずる
という項目を無視し。
他校生徒は制服での来場を禁ずる
という看板には制服じゃないから無視。そのための執事喫茶だ(京介提案)。
京介とジャック以外にも、第二北の生徒はちらほら見受けられる。猛者どもはそれぞれ視線を交わしては無言で健闘を祈っているが、王子達には健闘も何もない。
招待券を受付に放り込んだ時点で、戦いは始まっていた。何故ならこの2人、巣鴨にヨン様放り込むようなもの(@聖お兄さん)だから。










「俺は!クロウと!結婚するから!他の人!無理だから!」
「散れ貴様ら!!俺の進む道を塞ぐな!!」
敵陣、そこはある意味どんなフィールドより恐ろしい。普段女子高である開放感と、アイドル(のようなもの)が目前にいる興奮。この頃のアイドルは、たとえ恋人がいるからって引かれない。というか寧ろ、恋人くらいいないと逆に引かれる。その王道を見事に突き進んだ2人に、敵は容赦などない。
2人のギャルソン姿を納めようと、四方八方から光るフラッシュ。四方八方から投げつけられるように渡される焼きそばやチョコバナナ。そして埋め尽くされる歓声。
学校関係者が黙っているわけがない。
「お前ら、北の生徒だな!」
二進も三進もいかない状況で現れたジャージはきっと体育教師。わかりやすいが高確率で生徒指導兼任だろう。これは想定していた中でも最悪の事態。
ジャックは小さく舌打をすると、京介に視線をやった。京介もほぼ同時に視線を合わせ、一瞬だけ喉に指を当てる。
それだけで打ち合わせは終了。
すっと息を呑み、一発目はジャック。
「Ladies and gentlemen!! …Gentlemen ?No problem! It's lovely to see you! Enjoy the festivities!」
金髪長身紫の目。明らかに日本人じゃない顔立ちの男が、廊下の端から端まで響き渡る声でべらべらと英語を話し出したらさまになる。しかもラブリー部分で辺りをぐるっと見渡す周到ぶり。
テンションの上がった女の子達は、止めても止まれるわけがない。
体育教師が生徒達に押しのけられて後方に下がったのを確認し、次は京介。
「歓声ありがとうみんな!ちょっとしたサプライズ、楽しんでくれてるかな?学校側の粋な計らいで、本日少しだけ桜花にお邪魔させてもらってるよ!!」
そんなサプライズ、最初から用意されてはいない。だがここは言ったもの勝ちだろう。
「企画した先生方に拍手!」
そして煽り勝ち。
ジャックの音頭で、無意味に上がる拍手と顔を真っ赤にして怒る体育教師。なかなか圧巻だ。
「といっても俺ら、任務があるんだよね!だから暫く学校中走り回るから、俺達見たら追いかけたりせず代わりに声援よろしく!!ここにいない友達にも伝えておいて!」
「面白い企画のアンケートには俺達を投票する事!そしたら来年も何かやるかもな!!」
よし、言い逃げ。
手を振って颯爽と逃げ出した2人に、今度は誰も追いかけてくることはなかった。





「お前ら、アホ」
心底呆れ返った顔のクロウが、腰に手を当てため息をつく。因みにクロウは浴衣だ。ワインレッドといえるほどに濃い赤に金魚が一匹。帯は薄い薄い、京介の髪の色のような青。クロウのクラスは和風喫茶。
まったりあんみつを食べていた遊星はジャージ。というか、ブルマーにジャージ。彼女のクラスは体力測定をやっているらしいが、今は休憩中。
一箇所で両方を見つける事の出来たジャックと京介は、そんな可愛らしい恋人の姿を堪能する暇もない。
「麦茶、冷たいのっ」
「できればピッチャーで」
悠長にパンフレットを眺める時間もなかった2人は、本当に学校中を走り回ったのだから。
クラスの計らいで出てきた2Lペットボトルは、右から左そして右、テーブルに置かれる隙がない。それでも1.5Lほど消費されたところで、ジャックと京介はすっくと立ち上がった。
「クロウ、その浴衣めっちゃ可愛い。今度花火行こうな〜」
「遊星…その格好でこの学校から出る事は許さんからな!」
言うだけ言って、とりあえず満足。
「「じゃあ戻る!」」
「ちょ、本気で何しに来たんだ!」
「盗んだバイクで走り出したい年頃なんだろ…」
「それなんて尾崎?!」









勿論学校に戻ってからとっ捕まり、生徒指導室に押し込められ、3人の先生に交互に怒られた。しかしまあ、相手はジャックと京介だ。大抵の大人なら、口で勝てたりするわけで。しかも桜花の企画アンケート、トップを独走したのが王子乱入!なわけで。
停学になる事もなく、親が呼び出しを食らう事もなく(この辺はジャックには親がいないという変な気遣いもあるだろう)。


「でも来年はあれだな、もっとすんなりいくようにしないとな」
「ああ、後がないからな…」
「……生徒会、とか」
「不本意だが乗ってやる。俺が会長お前が副会長で」
こんな会話が隅の方で交わされたとかなんとか。



END




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