パイズリ書きたかっただけかと
パイズリ長クロ
小春日和になったからと、薄手のシャツを着たのがクロウにとって敗因。残念ながら薄手のコートがなかったという、ただそれだけの事だったのに。
久しぶりに会った恋人は、久しぶりらしくクロウに触れたがり。久しぶりなのだから色々と一緒に歩きたいし話したい、そんな簡単な要望を叶えて貰うのに喧嘩一歩手前(クロウの一方的な癇癪ではあるけれど)まで行って、休戦目的での喫茶店。少々暖房の利き過ぎた店内で、うっかり冬用のコートを脱いだのも駄目だった。
普段は(黙っていれば)クールで通ってしまう、でもわりと見掛け倒しの京介が、長い髪をふるふるとふるわせて心底困った顔をした時点でもうアウト。クロウがその顔に大変弱いことを知っていてやっているわけではないから、なお性質が悪いという話。
二階建てのわりと大きな喫茶店。微妙な時間だからか、店内はほとんど人がいない。この辺はもう狙ったのではないかと(入る喫茶店を決めたのは京介なので)思わなくもない、二階にもついているトイレ。注文が揃った瞬間腕を掴まれたって、行き先など目を瞑ってもわかるというもの。
個室に入って鍵をかけた途端延びてきた大きな手が、遠慮なくクロウの胸を揉み始めた。大きな手なのに少し余るくらい、京介が大変お気に入りの部類に入れている、クロウの身体の一部。何処も彼処も好きだというけれど、熱心さが違うから。
「ッ…最後までは、駄目だからなっ」
とりあえず、先に釘を刺せば、またなんとも情けない顔。ちゅっちゅっと唇を啄むように触れるだけのキスは、完全におねだりだ。
「だっ…め!!だからな!そのつもりなら、俺帰るぞ!」
それでもはっきりと言えば、またへなりと眉が降り。
「じゃ、ここでイかせて?」
どの辺が妥協か一瞬悩む前に、京介がクロウの胸を持ち上げるように少し強く揉んだ。
ヴヴとクロウの口から不鮮明な声が漏れる。頬など既に朱に染まっているというのに、京介は気にすることもなくぷちぷちとシャッのボタンを外し。京介と付き合うようになってからクロウが気にするようになったブラも、堪能することなくあっさり外し。柔らかい胸にかぷりと噛み付いた時点で、クロウも諦めた。
多分望み通りにしなければ、何を言ったところで最後までやられる、それが嫌というほどわかったから。
トイレの個室は狭くて。どちらかが座らないとどうしようもないから、体重の軽いクロウが蓋の上にぺたりと座る。その目の前に壁に背をつけ、京介がファスナーを降ろした。取り出されたのは、口の中に突っ込んだ時点で終るんじゃないかと危ぶむほどに反り立ったペニス。一瞬躊躇った後、それでもクロウは恐る恐る胸の間にそのペニスを挟みこんだ。
ぞわと鳥肌が立つほどに熱くて、心臓の横にもうひとつ心臓が出来たのではないかと思うほど強く脈打つもの。ふにと胸に挟んだだけで、クロウの眼下に突き出た亀頭の先端からとろりと液が溢れた。
「挟むだけ?」
どうしよう…悩んでいるのがわかったのか、京介がどこか楽しげな声で意地悪な事を聞く。クロウは一瞬だけ顔を上げ、キッと睨み付けたけれど。相変わらず頬が赤くて、しかもちょっと涙目。ククッと笑われても仕方がない。
「う、うるさいっ」
勢いで確り挟み直し少し大きく胸をスライドさせれば、つるりと胸の谷間に消えていった亀頭が、クロウの肌に精液を付着させ戻ってきた。
ぬると滑る感触と、鼻に感じた馴染み深い匂い。
おかしなことに、クロウはそれだけでカッと身体が熱くなった。あまり積極的にセックスを楽しむ方ではないはずなのに。会う期間が少し開いたからか、膣内よりももっと身近に感じる熱と、目に見えて形を変えていく様からどうしても目を反らす事が出来なくて。
ああ、やばい
思ったときにはちろと、先端に舌を這わせていて。その瞬間に、すっと息を呑む気配。それだけでもう、止められない。
「んっ…」
気付けば亀頭を咥え込み、積極的に胸を押し付け擦っている。上下させるたびにとろとろと流れ出る液がクロウの口内を汚すけれど、それすら全て嘗め取って飲み込んで。
「クロ、すげぇ気持ちいい」
さわと頭を撫でた大きな手が、頬に滑って。その手に頬擦りをするように口を動かせば、またククッと笑い声。
何がおかしいのだろう、考える間はなかった。
「んんっ!!」
胸を押えている手ごと大きな手に押さえつけられ、クロウの動き以上に激しく動き出したペニスが、深々と口の中に入り込んできた。まるで自分の胸に顔を埋めるように、突っ込まれる。クロウの身体ごと持ち上げるような動きに、蓋がギシと鳴った。
「ッッ…ぁ、だ…っ、音鳴る!」
慌てて口を離し手を抜こうとしたのに、京介は離してくれる気配すらなく。それどころか。
「いいの、顔かかっちゃうぜ?」
楽しそう。
「あんっ!」
楽しそうに、親指を伸ばし乳首まで弄り始めるのだから、声を出さないためにもまた咥えこむしかなくて。
「そう、服汚しちゃわないように全部飲んでな」
酷く不本意だけれど。始めてしまったからには、責任の一端はクロウにもあるので。
最後に大きくスライドしたペニスから、精液が流れ込んできたとき。必死で喉を鳴らし、一滴たりとも逃さないよう飲み込んだのは、責任の一端だからで。それ以外特に意味は、ないはず。
こくこくと、何度も喉の奥に吐き出された精液を全部飲み込んで。ぺろりと先端を嘗め、口を離して。顔を上げれば、京介はいい笑顔。
いい笑顔のまま無理矢理床に立ち膝になり、汚れてしまった大きな胸の谷間に舌を這わせて。
「ちょっ、話が…」
違う、言って伸びたクロウの手は、それでも京介の髪を掴んだまま引きもせず。
「…ホテル、いこっか」
本当にもう、京介が信じられないほどいい笑顔なので。とりあえず、多分冷め始めているだろう珈琲は、飲めない覚悟を決めただけ。
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