少し遅れたクロウが服を脱ぎ、ベッドに上がってきても。鬼柳は恋人を抱きしめる事すら出来なかった。
「悪ぃクロウ…っこいつ一度銜えこんだら、ケツでイくまで離しやしねぇ」
謝ってはみても、どうせクロウは気にもしない。興味深げに京介に食い込む鬼柳のペニスを見つめ、ニィと笑う。
この頃笑い方も似てきたな、思う間もなく京介の中が催促するように痙攣した。
「休んでっ…じゃねえよぉ兄貴ぃ!早く、イかせろぉ」
「っっせえよ、いっつもでけぇの銜え込んでっから感度鈍ってねぇ?」
文句言うゆとりまでありやがる…
呟いた鬼柳が、前触れもなく京介の髪を掴み顔を上げさせた。首が仰け反るほどのそれにまた悪態をつきかけた京介は、漸くクロウに気付きニィと笑う。
あまやかな、甘えを帯びた笑み。
「クロ…クゥゥ」
「すげぇ顔」
クツクツと喉の奥で震えた声が、最終的に紡いだのはただの現実。どちらのものともわからない精液をこびり付かせた京介の頬を、クロウが両の手でゆっくり包み込み、ちろと赤い舌を覗かせて。
「俺のモン貸してやってんだ、文句言うんじゃねぇよ」
そう言って、舐め上げる。マーカーに添って、何度も何度も。早々に何かのスイッチが入ったようだ。
鬼柳はそれを確認すると、小さく笑いながら腰を打ちつけた。
「ふああぁぁ?!」
クロウの舌に酔っていたのだろう、突然の動きに京介は着いて行けず、シーツを強く握りこむ。
クロウは少し驚いた顔で、それからすぐに鬼柳を睨んで。そのまま。
「煩い」
京介の頭ごと、シーツに押し付けた。
煩い
「いいぜクロウ、こいつの口に突っ込みな」
とろとろと蕩けそうなほどの笑みを向ければ、睨んでいた目元がすぐに柔らかくなる。いつもは立っている橙の髪が下り、とても優しげな顔で。クロウは躊躇なく、やんわりと立ち上がった自身のペニスを京介の口に突き入れた。
「んんんっ」
くぐもった声が下の方から聞こえたが、鬼柳は気にしない。もとより京介は、それくらい乱暴に扱われる方が凄い事になるのだから。
「ふぁ」
ほら
「すごっ…喉までっっああぁっ!!」
鬼柳の知っている限り、京介ほど口淫がうまいやつはいない。一気に喉まで銜え込んで、締める。
「ぁんんん、あっ…飲み込む、なぁぁ」
クロウはもう立ち膝すら崩れて、太腿ごと京介に抱え込まれて引き寄せられて。シーツに押さえつけてまでしゃぶる京介の姿は、まるで。
「がっっ…つくな、おまっ…はん……このっ駄犬」
「ケツの緩いっ、駄犬だな」
ぱんと、それでも。最奥を突き上げた途端、きつい締め付けに鬼柳は果て。漸く引き抜いて一息ついている間に、クロウも果てたのだろう。それでも京介はまだ顔を上げず吸い上げている。クロウの喘ぎが悲鳴に近くなっていた。
駄犬で京介の何個目かのスイッチも入ったのだろう。
「ひぅっ…ゃ、も、辛いっからぁぁ!!ふぅんん」
鬼柳は助けもせず、漸くクロウを抱きしめると、その悲鳴ごと口付ける。京介の頭を掻き毟っていた手がしがみ付くように伸ばされ、背に爪を立てられても離さない。
くちゃくちゃと下から音がする。そのたびに肩を震わせるクロウをいぶかしみ、口づけの合間に下を覗き込めば京介の指がクロウの中に入り込んでいた。何度果てたかもわからない京介のペニスは、クロウの脛にこすり付けられその肌を汚している。
「んぁ…入れて…よ。クゥん中入れてええぇ」
漸く口を離したと思えば催促だ。鬼柳は一瞬眉を潜め、絡んだ舌を解く。クロウは一瞬それを追いかけ、ふと視線を外した。その先は京介で、すりと太腿にペニスを擦り付けるさまを一瞥し、ふっと笑う。
その後視線を戻したクロウは、きゅうとまるで子供のように鬼柳に抱きついた。座り込んでいた体制から、自然クロウの腰は浮き鬼柳に跨って。
すりと頬が擦り付けられる。まるで子供のような仕草で、何も知らない無垢な顔で。それでもクロウは振り向いた。
「こいよ、京介」
凶悪
最高に凶悪で、横暴
「クロウめちゃめちゃ可愛いのな…」
「あああぁぁっっ」
ぎゅっと抱きしめた瞬間、京介が遠慮もなく突っ込んだのだろう。目を見開いたクロウの口元は、それでもまだ笑っていた。
「あんっあっあ…っっきりゅと同じっ、同じチンポぉ」
「おまえ、どっちも立ててねぇよ」
恋人の目の前で先にその弟をご指名しておいて、そのペニスに恋人を重ねる。本当に凶悪で、最高に可愛い。
苦笑した鬼柳に、京介の視線が絡む。今まで見た事がないほど熱に浮いた目が。
「どうでもいいぜぇ、こんなケツ堪能できんなら、なんだってな!」
「いぅっっ」
最高揚中の京介は、そう叫ぶとクロウの肩に噛み付いた。血が滲むほどのそれは、京介最高の愛情表現だ。鬼柳もそれはわかっていたから、何も言わず滲んだ血を舐め取って。同じくぺろと舌を出した京介のそれに、戯れに絡める。
それはすぐに、クロウが離してしまったけれど。
「俺のだって…っ」
いやそれ、京介の突き上げを腰振りながら迎え撃ってるやつの台詞じゃないよね?
なんて言わない、勿論。クロウにはクロウなりにちゃんとした筋を通しているのだろうから。
鬼柳がやったのは、やんわり微笑んでクロウの手を片方取り、自分のペニスに導く事。
「お前のだぜ?これもなぁ…早く犯してぇよ」
すでに何度か果てていたはずなのに、クロウと京介の痴態を前にはなんの自重もせず反り上がったペニス。それに触れたときクロウは、ふんわり笑った。
「あぅっ、ああっ、…も、ほしっもっと!」
こんなに無垢な笑顔で、貪欲に欲しがる可愛い恋人。
「ぶっ壊れるまでな」
呟きながら京介に視線をやれば、ニィといつもの笑み。
一回ずつじゃ俺も京介も満足しねぇよ…?覚悟しとけ、可愛いクロウ。



END




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