スケイプゴート--R-18











「教えといてやるよ。夢ってのは、大抵都合よく出来てる」

 廃屋の薄暗い一室。カーテンのない窓と壊れた換気扇だけが備え付けられた、明らかに使用されていない部屋に二人はいる。靴の踵を鳴らし歩く青年は両手を広げ、大げさに長いローブを翻して向き直った。床に伏せて口を結び、自身を見上げるもう一人の青年へ。

「だからお前は苦しまない。そいつが、夢だから」

 唇の端を持ち上げる笑みは、部屋の暗さも彼の瞳を囲む黒
も相まってひどく不気味で、睨みあげる青年の表情が歪む。嫌悪と恐怖。それを感じ取ったのか、彼は更に笑みを深く刻んだ。弧を描いた唇を、指でなぞる。

「……なあ、お喋りしようぜ、クロウ」
「っは! ぅえ、」

 クロウと呼ばれた青年は、そこで閉じていた唇を勢い良く開いた。一気に空気を肺に取り込んだのか、派手に噎せた彼を見下ろし、青年は甲高く笑った。部屋に反響したところで穏やかには聞こえない声。

 クロウは呼吸を整えながら、身を捩ろうと試みた。しかし体はぴくりとも動かず、舌を打つ。首から上は動かせるが、肝心の四肢が内側から引きこまれているかのよう引きつって動かない。
 夢は都合がよく、苦しまない。じゃあこれは何なんだと内心毒づきながらもう一度舌を打つ。

 捕らわれたのだと見当はついていたが、一体いつそんな状況に陥ったのかが全く分からない。クロウはつい先ほどまで面倒を見ている子供たちにダークシグナーに注意するよう、話をしていたのだ。いつも通りの文句、怪しいやつには近づくな。そう言うクロウに、子供たちがそろってそれをやるのはクロウの方だと笑う、いつも通りの日常の途中だった。体温の高い子供たちの手をとって、家と呼ぶにも悩むような、けれど暖かな住処の入り口を潜って。

 それから。
 それから?


「鬼柳……」

 かち、とクロウの歯が鳴った。紡いだのは、ローブを纏う青年の名。クロウを見下ろす彼は、それに気づいて笑みを消した。

「あいつらは……子供たちは、どうしたんだ……」

 震える声が紡いだ言葉に、さも興味なさげに「ああ」と青年は声を上げた。何もない中空を見やる彼の唇はふわと開かれ、クロウに言われるまで本当に思考のどこにも、クロウにとって一番大切なものは存在しなかったらしい。
 ふうわり、上の空。鬼柳と呼ばれた青年はこくりと首を傾げた。唇がつくった表情はひどく歪な、笑み。

「さあて、なぁ……」
「ふざけんな答えろッ! あいつらに何かしてみろ、絶対に許さねえかッ」

 容赦なく背中を踏みつけられて、声の代わりに肺から空気が漏れる。なあ、と鬼柳は問いかける。歪な笑みをそのままにクロウの背中を踏みにじり、ゆっくりと足を離して。

「どう許さねえんだ?」

 クロウが今まで聞いたこともない冷たい声で、鬼柳は問いかけた。彼の顔から笑みの色が一切なくなって、クロウはたじろぐ。怒りも苛立ちも困惑も一切ぬぐえてはいないにも関わらず。唇もまだ動くというのに、だ。
 そのクロウの前に、鬼柳はすとんとしゃがみ込む。長いローブの裾がコンクリートの床についたが、気にしない様子で膝に顎を乗せてクロウを見下ろし、仕切り直したようににんまりと笑む。

「まあ、何もしてねえよ。今のところはなぁ」

 後を強調して言えば当然クロウは噛みついてくると分かっているのだろう。分かっていても、クロウは動かない体を動かそうとせずにはいられない。力を込めても震えるだけの体に「畜生」と罵声をぶつけながら、クロウはぎりと奥歯を噛んだ。鬼柳は顔を傾けて、色の白い右手の指で、唐突に宙を撫でる。

「クロウ。これは夢だ」
「はあ…っ!?」
「お前は動ける。望んでねえから、動かない。言ったろ?」

 鬼柳の手が、何かを撫でる。透明な、いや、クロウが目を細めると、徐々にそれは姿を現す。黒。窓からの明かりで艶やかに映るそれは、黒い毛並みの獣。クロウが知っている獣の中で当てはまるものを探せと言われれば犬と答えていいだろう。それにしては耳は猫のように大きく薄く、尾は細く長い。

「クロウは鳥のが好きか?」

 鬼柳が笑いながら囁けば、その獣はぶるりと身を震わせ、その背中から大きな翼を生やしてみせる。音もなく、一瞬の出来事だった。しゃがみ込んだ鬼柳よりやや大きな獣は、その翼をクロウに見せつけるように羽ばたかせ、誇らしげに鬼柳に顔を向けた。





 悪夢は未だ、終わりそうにない。











「っは……はぁ、はっ……く」

 廃ビルの階段を駆け降りる。どれほど続いているのかもわからない、滑り止めのほとんど剥がれたコンクリートの古い階段。降りても降りても終わらないのに、立ち止まるわけにもいかない。「これは夢だ」鬼柳の言葉がクロウの頭をよぎる。それなら望めばこっちに翼が生えたっていいじゃないか。しかしどれだけ念じてみてもクロウの描く理想は現実に反映される気配はない。
 クロウの靴底が踊り場を踏んだ。小石か砂を踏む音までクロウの鼓膜をしかと震わす。その音よりもずっと大きく、大きな翼が羽ばたく音。

「っく……!」

 砂利で滑る足元を無視して、また下りの階段に飛び込む。先が見えているのに光の射さない階段は不気味すぎて、もしかすると駆け降りてはいけなかったのだろうかと、今さらクロウの内側に疑惑を呼び起こす。それが、クロウの足を鈍らせたのが拙かった。
 大ぶりのブーツが、前に出たばかりの片足を蹴った。普段のクロウであれば、絶対にあり得ないミスだ。完全にリズムを失いバランスを崩した体は、残り数段に足を置くことなくぐらりと揺れて、そのまま踊り場に向かう。とっさに頭を庇って丸くなる。

「……あ?」

 けれど宙に浮いた後、受けた衝撃は予想に反して少なかった。クロウが薄く目を開けると、見えたのは黒。

「おかえり、クロウ」

 耳に飛び込んできたのは、驚くほど柔らかい声。ふわと耳をかすめたのは、吐息と、耳にかかるほどに伸びた青年の髪。薄水色。背中に回された腕と無意識につかんでいた黒いローブに気付き、クロウは慌てて両腕を突っぱねた。しかし、自身を捕らえる腕の力は強く、クロウが拒絶するほどにより近づけようと抱きしめる。耳元でくすくすと笑う声がして、クロウは首を振った。

「逃げらんねえよ、お前は」
「はなっ……せ!!」

 真っ向から叶わないのなら下から抜け出してやろうとクロウは身を屈めた、まあまあ、と宥める声とともにジャケットごとインナーを掴まれる。引き上げられて露出した腹部と背中がひやりとした空気に触れた。
 ふざけるなと一喝してクロウは更にもがく。鬼柳の手はクロウが暴れるたびに引き攣れる布地を遊ぶように掴んでいたが、鬼柳の眼前、ちょうどクロウの背後に黒い獣が現れると、その手はクロウの腰を押さえつけるために使われることになった。グローブをはめていても冷たい手のひらが素肌に触れ、背後で獣が羽ばたく音を聞いて、クロウはびくりと肩を揺らす。

「や、やめろやめろやめろぉっ」

 今まで以上に激しく暴れ出したクロウは、鬼柳の胸元に押し付けた額からヘアバンドが外れたことも気にならないのか、両手を鬼柳にぶつけ、のろのろと近づいてくる獣の気配に向けて、ほとんど意味のない蹴りを繰り出す。腰を押さえる鬼柳の手が外れない以上、逃げられないと言うのに。
 邪魔だと言わんばかりに、獣が前足でクロウの片足を床に押さえつけた。即座に左右に足をずらして重みを逃がすが、その頃には既に獣の鼻先はクロウの臀部に近づいていた。深みのある緑のパンツを不思議そうに眺め、獣はひくと鼻を動かした。無理矢理首を捻って後ろを見たクロウと目が合って、何を感じたのだろうか。鋭い牙を見せつけるように剥いて、クロウのベルトに噛みついた。

「なっ……」

 クロウが思わず声を上げると、頭上から鬼柳の嘲笑が降ってくる。獣はこれも邪魔だとでも言いたげにクロウを見やりながら、ベルトをぶちぶちと引き千切っていく。唸り声があがると獣の動きも大きくなるようで、頭を振ると長く鋭い牙がクロウの背中を掠めていく。更には獲物を逃がすまいと、素肌に前足が乗せられた。押しつけられた爪は、きっとクロウが抗えば即座に突き立てられるだろう。
 血の気が引いた顔で、クロウはゆっくりと鬼柳を見上げる。鬼柳の黒と金の眼がクロウを見下ろすと、腰を掴んでいた両手がそっと放された。代わりに獣の前足が、もう片方も置かれる。これでは意味がないのだと、クロウは視線で訴えた。噛みしめた奥歯が、ぎりと軋む。

「これが、邪魔なんだってよ」

 鬼柳は少し首を傾けて、薄笑いを浮かべて手を伸ばした。少し背を丸めて、クロウの体の前に回す。使い物にならなくなったベルトのバックルを引き抜いて落とし、ファスナーに手をかける。反射的に鬼柳の腕にクロウが両手をかけると、獣は唸ってクロウの腰にとうとう爪を立てた。決して深くはないが、確かにぷつりと皮膚を割かれた痛みにクロウは顔を顰め、鬼柳の腕の上で拳を握った。
 ゆっくりとズボンの前を寛げられて、縮こまった性器を下着の上から指で撫でられる。ゆっくりとした動きに引きつった喉から呻きが漏れて、クロウは羞恥で薄紅に染まった顔を鬼柳の胸元に押し付け目を閉じた。獣はクロウの皮膚に爪を突き立てていた前足をズボンの上に移し、鬼柳の手を借りてそれを膝裏まで引き下ろした。下着の布地は、ベルトと同じように牙を突き立て引きちぎる。完全に露出した下半身を手で隠しても間抜けなだけ、頭で理解していても咄嗟に動いた手は鬼柳に掴まれた。突き出された臀部に獣の鼻先が触れ、双丘の間の穴の上を広い舌がべろと舐め上げた。

「ひっ、ぃ」

 裏返った悲鳴を聞いて、鬼柳がにやりと笑みを浮かべる。クロウはなおも鬼柳を睨みあげるが、ぺちゃぺちゃと音を立て続ける獣の舌と吐息が気にかかって仕方がない。視線は戸惑いがちに揺れて、全身に広がる鳥肌を自覚して体が震えれば、もう鬼柳とにらみ合うどころではなかった。

「調子に乗んじゃねっ、っくぅひ、……ぐ」

 舌を穴に捻じ込まれて、嫌悪からの鳥肌と裏返る声を抑え込もうとして身を縮め歯を食いしばる。獣が中を抉るように舌を捻るたびに込み上げる嘔吐感に似た感覚に幾度も身を震わせる、その様は快楽に震える体を認めたがっていないだけにも見える。鬼柳はクロウの髪を撫でながら、わざとらしく告げた。

「悦んでるみてえで何よりだぜ」
「よ、ろこんで、っんか……」
「あぁ?何だ、クロウも嬉しいのか?オレはこいつに言ってんだけど。クロウのケツたまんねえってすっげえ尻尾振ってんぜ」

 引き抜かれた舌をまた捻じ込まれ、跳ねた臀部を舐られ、無意識に逃げようとする体を鬼柳が笑いながら抑え込む。クロウは両腕を鬼柳の体に回し、額を捻じ込むように首を振った。口にはせずとも、彼が求めているのは明らかに鬼柳が差し出す救いの手だ。
 鬼柳は静かに笑みを浮かべた。ただ、それだけだった。
 クロウの腰に、明らかに不自然な重みがかかる。散々濡らされた穴に別の物が押しあてられ、喉が引きつり奇妙な声が漏れて、咄嗟に鬼柳のローブに噛みつく。

「うぅううっ!?」

 クロウの喉からくぐもった悲鳴が上がり、体が大きく跳ねると獣の顔が鬼柳に近づく。獣は猛りきった性器を収める場所を見つけて心底悦ばしいのだろう、だらしなく舌を垂らし小刻みに体を揺さぶった。同調してがくがくと揺れるクロウの体が滑り落ちていくのを引き留めて、鬼柳は不意に橙の髪を掴みあげた。

「ひいぁっ、が……っ!うあ、かっは、あ、あっ」

 あまりにも非現実的な痛みと衝撃に襲われ、薄闇色の瞳を大きく見開いたクロウは、目の前にある鬼柳の顔にすら焦点を合わせられないようだった。あらゆるものに歯向かい生きてきた証とも言えるマーカーだらけのクロウの顔が歪み、ただ喘ぐしか出来ずにいる。助けを求めることも拒絶することもできず、人ならざるものに蹂躙される体を持て余す。揺さぶられるたび上がる悲痛な声は、狭い階段に反響して、濡れた音に混じる。
 持ち上がる口端を押さえられず、鬼柳は肩を震わせた。

「ひゃはっ……すーげえ」
「いぁやあああだっ、あ、ああぅああっ」
「はははっ、ガクガクじゃねえか!そんな激しいか、そうかあ、こんなの初めてってか、そうだよなぁ!」
「ざ……けっなぁあ、っく、くうう、いっ……」

 拒絶も罵声も喘ぎと呻きに消されていく。獣はクロウの体への負担も行為の意味も考えることなく乱雑に腰を打ちつけるばかりで、クロウは鬼柳に縋りつく腕を解いてそれを引きはがす余裕すら手に入れることができない。
 たくし上げられた衣服の上から肩甲骨付近に押し付けられた爪の感触と聞こえる不規則な呼吸のリズム、人相手であれば当然感じるはずもない違和感がクロウの精神まで犯していく。クロウがもがこうと引き抜けぬように形を変えた性器で、奥をひたすら抉り続ける。そして突然角度を変えて、クロウが最も反応を示す場所を狙ってがつがつと貫く。動きがようやく止まったかと思うとごぷと粘着質な体液を中で放出されて、高い悲鳴を上げて悶えるクロウを押さえつけ、鬼柳はますます上機嫌に笑った。

「なぁクロウ、お願いしてみたらどうだ? こいつ賢いからよお。そんなにされたら壊れちゃう、って正直に言ったら優しくしてくれるかもしれねーぜぇ」

 獣はまだクロウから離れるつもりは無いようだった。再びクロウの中を犯し始める。臀部を擦る獣の柔らかな毛だけがクロウを優しく愛撫していたが、そこにクロウを押さえつけていた鬼柳の手が伸びてきた。望まずして緩やかに立ち上がりはじめたクロウの性器の先端を、冷たい指がなぞる。びくと肩から跳ねあがったクロウが、また鬼柳のローブに噛みついた。
 クロウが喜んだと思ったのか、単純に興奮したのか、獣が更に早く強く腰を振る。喉の奥で声を殺し、クロウは鬼柳の拘束から逃れた頭を、また俯けて鬼柳の胸元に埋める。

「って黙っちまった。なんだよつまんねえ……じゃーオレが代弁してやろうかァ?デカくて激しくてたまんねえよぉ、舌も気持ちいい、もっと舐めて欲しい、もっともっともっと!」
「は、っ…この、っ妄想、やろ、……あ、ひぅ、っうぅうぁ!」

 獣の精液が完全にクロウの中を満たし、それでも止まらない行為によって打ち込まれた場所から零れ出る。もう何の抵抗もなく獣の性器を受け入れるそこは、なんのためにある部分なのかもわからない。鼓膜を震わす耳障りな水音も呼吸音も笑い声も遠くなりかけたとき、ふと、クロウは鬼柳の言葉を思い出した。

「これ、…ゆ、め」

 一度呟けば、クロウの思考は支配された。これは夢。望むのならば、何だって叶う。ならば、もう、全部消えて欲しい。全部消してほしい。




 --消えてしまえ!!








「クロウ兄ちゃん!」
「っ!!」
 
 高い声に呼ばれて飛び起きる。クロウの背中には嫌な汗が滲んで、申し訳程度の固いベッドも湿り気を帯びていた。横を見れば、心配そうにのぞきこむ大きな目。ギンガ、タイガ、ダイチ、ヒカリ、ココロ。クロウの、守りたかったもの。

「おま…えら」
「クロウにーちゃん、大丈夫?」
「怖い夢みたの?」

 首を縦にも横にも振れずにいクロウの手に、小さな手がぺたぺたと次々重なった。

「ゆ、め」

 そうか。
 夢、か。

 子ども特有の暖かくて柔らかな手の平の感触を確かめるようにひとつを握り返すと、僕も俺も私も、と賑やかな声が続いて、まるで遊ぶようにクロウの手を握ろうとしてきた。これでは甘えようとしているのか、宥めようとしているのか分からない。分かるのは、彼らがクロウに触れたくて触れている。それだけ。
 十分すぎるほどだった。

「そうだな、嫌な夢、見てた……」

 体を起して、片手に集まった小さな手を覆うように手を重ねる。大丈夫だ。もう、夢は--

「こわい夢なんて、もう見ないよ」

 ココロの手が、クロウの頬に触れる。微笑み返すクロウは気づかない。その頬には、いつしか顔の半分を覆っていたマーカーはなかった。











「クロウ? クロウー」

 ぐったりと目を閉じて動かなくなってしまったクロウの腕を掴んで、鬼柳は彼の身体を持ち上げる。擦り傷だらけの疲弊しきった体は当然、されるがままだ。壁際まで引きずっていって、寄りかからせると両足を投げ出して座る恰好になる。どこか幼く見えるのは、薄く開いた唇のせいか。それとも濡らされた下半身を晒したままの、あまりにも無防備な恰好をしているせいか。
 それとも。その瞳から一筋涙が伝ったせいか。

「……そろそろ、目が覚めちまったかァ」

 頬を伝った涙を拭った指で鮮やかな橙を撫でて、鬼柳はクロウの前にしゃがみ込む。ずっと近くなった顔を更に近付けて、クロウの足を挟み込むように膝をついた。壁に触れていた背を、抱き寄せる。

「夢だって信じたいからあんなに頑張ったのにな?」

 鬼柳の横に座った獣が、ぐると唸って鬼柳の腕に甘えて頭をすりつける。闇に飲み込まれた世界で鬼柳が身に付けた、ダークシグナーの力。サイコデュエリストのカードの実体化よりもはるかに有益で非科学的な、怪物を具現化する力。

「夢から覚めたら、お喋りしような。シグナーがいなくなって、お前一人んなって、これからどうするかすっげえ聞きてえの」

 冷たい頬をクロウの頬に、額に順に押しつけて、鬼柳はそろりと立ち上がった。意識を失ったクロウの萎えた性器に、獣が鼻を近づける。まだ満足してねえのかと鬼柳は笑う。

 ダークシグナーが幕を引く。すべてが終わるまで、あとわずか。
 





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