刻み付けるように
何かに復讐でもするかのように
ひたすらに、ただ、寿也を打ち込む。
どんなに吾郎が無理だと懇願しても聞き入れもせず
ただ、ひたすらに・・・・。
冷え切った瞳で精を放ったかと思えば
強く激しく抱きしめて唇を交わす。

毎晩毎晩同じ事の繰り返し。

そんな事をしているうちに
確実に月日は流れていき
そして確実にその日がやって来る。

「今の一軍を倒したら、俺は海堂からとっとと出て行くつもりだからな!!」

あの宣言を聞いてから何日たった?いや、何ヶ月?

同じ部屋にいても・・・
いや、今までのなかで一番、吾郎は寿也のそばにいた。
なのに一番・・・・・心は遠かった。
無駄に日々だけが過ぎていく。
そして抱いた回数だけが無駄に増えていく。
ちっとも心の通い合わない情事など、何の意味もない。
それがわかっていながらも、寿也には吾郎を抱くことをやめられなかった。

グラウンドで、太陽の日差しをいっぱいに浴びて
いつも前向きで
いつも大きな目標を掲げ、それに向かい一直線。
脇目も振らず・・・ただ、目標に向かって。

それが、見守る人にとってどれほど辛いことなのか、など考えもしない。
気付くはずもない。

吾郎はいつだって自分勝手に生きてきた。
両親を亡くし・・・親戚はいるとはいえ殆ど天涯孤独に近かったはず。
なのに今の吾郎の境遇はどうだ。
あの茂野選手が吾郎の父となり、立派な家に住んで
義理の両親に愛されて金銭的にもなんの不自由もない。
多少の我侭はお金さえ払えばどうにでもなる。
両親は健在、の筈だが・・・同じように両親のいない寿也との違いはどうだ。

昔からそうだ。
ただ同じ年頃の子供と野球がしたかった、という自分勝手な都合で
たまたま窓から外を見ていてた寿也を受験勉強から誘い出して野球を教え
今度は寿也が本格的に野球をやるようになって、横浜リトルに誘えば断られ。
中学だってそうだ。
吾郎が現れさえしなければ、寿也は海堂に特待生として入学できていたかもしれない。
それを・・本意ではなかったとはいえ吾郎に潰され。
開き直って、どこでもいい、吾郎と野球ができれば・・・と考え始めた矢先に
海堂を受験する、二人でバッテリーを乗っ取ろう!と誘われ
共に晴れて合格できた、夢島も無事卒業できたと思えば
今度は一人で出て行くという。

一体、何処まで人を振り回せば気が済むんだ!

・・・いや、何よりも許せないのは・・・・自分自身。
こんな吾郎が・・・・好きで好きでたまらない、という自分自身が一番許せない。
吾郎が野球の為なら、なりふり構わないのは今に始まった事ではない。

そんな吾郎と共に歩みたい、そう願い続けてやっと・・・叶った、海堂高校での生活。
同じ学校の同じ野球部、それだけで今までを考えたら至上の環境。
それが寮では幸か不幸か同室だ。
共に目標に向かい、夢のようなそして充実した高校生活・・・・の筈だった。
吾郎のあの言葉を聞くまでは。







何故・・・何故僕を海堂に誘った?
僕はどこだって良かった。君と野球ができたら。
でも海堂へ来てしまった。
ここで成功を収めれば、僕の夢は・・・現実になる。
夢はもう手を伸ばせば届く、すぐそこまできている。
その夢を、君と一緒に叶えたかった。
君と一緒に甲子園に行きたかった。
そして君を僕だけのものにしたかった。
それが・・・僕の・・・・
両親に捨てられ、未来を選ぶことすらできない僕の
ささやかな・・・だけど、とても大切な・・・・願い、だった・・・・のに・・・・・!!

みんな・・・みんなが僕を裏切っていなくなる・・・・。

吾郎くん・・・君が憎い・・・憎くて憎くてたまらない!
でも、それと同じくらいに・・・君が好きだ・・・もう、どうしようもないほどに。

今日もその想いを君に、ただ、打ち込む。
言葉もなく思いやるでも慈しむでもなく
そしてなじる事もなく恨み言をぶつけるでもなく
ただ、僕を打ち込む。何度でも、何度でも。
無理だと言われようが何と懇願されようが、やめる気はない。
冷え切った瞳で精を放ったかと思えば
強く激しく抱きしめて唇を交わし・・・そして無言で突き放す。
宙ぶらりんの君を放っておいて僕は勝手に眠りにつく。
君はシャワールームに向かい精液だらけの体を清め、そしてベッドの梯子を上っていく。
上のベッドで今、吾郎くんが横になった。
ソコの痛みに耐えているんだろうか。震えているんだろうか。

何をやっているんだ、僕は・・・・。
こんな高校生活なんて、こんな君との生活なんて僕は望んでなどいなかったのに。
何もかも、君が悪いんだ。
君が全てをぶち壊した。
みんな、君が・・・・・・!!





とうとうやって来た、その日。

打たれればいい。
負けてしまえばいい。
君なんて。
自分の事しか考えてない、君なんて。

君にとってキャッチャーはただの壁でしかない。
僕でなくたって、誰だっていいんだ。

毎夜毎夜抱かれているのも、たまたま僕と同室だったから・・・だけかもしれない。
一度ヤってみたら気持ちよかったから、甘んじて受けている。
君が求めるものは僕ではなく、君の中を満たしてくれるモノだけ・・・。

負ければいい。
君なんて滅茶苦茶に打たれてしまえばいい!!



「・・・・やっぱり、試合に勝つ気のないキャッチャーがマスクをかぶっちゃいけないと思うんです。」
「なんですって!?」
「正確に言うと、勝つ気がないと言うより、この試合には関わりたくないんです・・・・。
理由は言えませんがモチベーションが全くと言っていいほど上がらないんです。」





「プレイボール!!」

しかし時間は容赦なく流れていく。
最も恐れていた試合が、今、始まってしまった。



「佐藤がダブルプレーやて・・・?」
「珍しいな。」
「ドンマイ!」
吾郎くんがそう言って僕の肩を叩いた。
その瞬間、僕の心は急激に冷えていく。
「この面子ならいつだって点は取れるぜ。
それよりお前は俺の球をしっかり取ってくれりゃいいんだよ!」

───誰だっていいくせに・・・・。



その回。
初球から打たれた。
ノーアウト一塁。
次のバッターはフォアボール。
そして僕の無警戒からランナー、盗塁成功。
結果、ノーアウト2、3塁。

「おまえはいい!佐藤!」
「・・・!」
「牽制の指示もなけりゃ、ランナーがいるのに片膝地面につけたまま捕球するとはどういうことだ!?
無警戒にも程があんだろ!!」
「ご・・・ごめん・・・・。」
「うるせえな、寿のせいじゃねえよ!
俺が出したランナーだ!俺がホームベース踏ませなきゃ、それでいいんだろ!!」

吾郎くん・・・・・・。
一見、僕を庇っているように聞こえるけれど
君が何か言えば言うほど、僕の心は冷えていく。
君への憎しみが募っていく。

君なんて打たれてしまえば・・・・。


次のバッターはデッドボールだった。
そしてノーアウト満塁でバッター、千石。
いわゆる絶対絶命の場面。

初球────。

入った、と思った。
が、しかし・・・。

「ファウル!ファウル!!」
あと数センチ、という所で助かった。

千石。
凄まじい気だ。
これが一流のスラッガーの発する「気」、というものか。

感じる。
千石の強い気と、吾郎くんの怯え。

打たれる。
吾郎くんは間違いなく、打たれる。
このバッターにはどこに投げても、何をしても打たれる!

僕の望み通りに、吾郎くんが・・・・この、千石に・・・・・。

逃げ腰で投げたボールは連続スリーボール。

僕の望んだ通りに・・・・・。

あの吾郎くんがマウンドで震えている。
あの吾郎くんが・・・・
絶体絶命のピンチにこそ、吾郎くんの本領が発揮される場面だというのに
そんな場面をいつも一番楽しんでいる吾郎くんが今、
千石という一流バッターを前に怯え、震えている。
吾郎くんの怯えが手に取るように、僕にはわかる。

僕の・・・望み、通り・・・・に・・・・・・・・・。

本当に・・・僕の、望み・・・・・・?
僕の本当の、望みは・・・・・・・・・・。

吾郎・・・くん・・・・・・。



気付けば僕はマスクを取っていた。
「タイムお願いします。」



何をするつもりなんだ?僕は。
こんな時こそ、キャッチャーが支えてやらなきゃいけない、そんな事は常識だ。
だけど今更、僕は一体何を?

打たれればいいじゃないか!
そうすれば吾郎くんはずっとここにいる。
それが僕の望み・・・・。



「正直言って僕はこの試合、君に協力も援護もしたくなかった・・・・。
勝てばやめていくって宣言してるやつの球なんか・・・・
はっきり言って僕は捕りたくもなかったよ!!」

一度口を開いてしまったら止まらない、本音。
今まで共に寝起きしてきても、一度も言えなかった本音。

「クビになるならともかく、なんで自分から海堂を出て行く必要があるのかわからない・・・・・。
だったらなんで初めから人を誘ってまで海堂に入ったんだよ!?」

そうだ。
一度は諦めた夢だったのに。
君が潰しさえしなければ、お金の事なんか気にすることなく入学できたかもしれないのに。

わざわざお爺ちゃんお婆ちゃんに迷惑かけて
辛いセレクションを君と二人で勝ち抜いて
そしてようやくやっと手に入れたのに。


なんで・・・・なんで君は・・・・・!!

この海堂高校で、君と共に僕はただ・・・・。



「・・・僕は君と──────
ただ純粋に甲子園に行きたかったのに・・・・・・・・。」

言って・・・・・しまった・・・・・・・・。

「ワインドアップで投げなよ。
君はその方が制球つくし、そっちの球威なら恐らくさっきほど飛ばされないと思うよ。」


・・・・・・・。
僕は、結局いつだって・・・・・・。

いつだって、のびのびと野球をやっている君を見ていたいんだ。
僕から離れて行くと分かっていながら・・・・
やっぱり僕は・・・怯える君を見ていられなくなる。
君に対して非情に徹する事ができない・・・・。

それを見越して、だとしたら・・・酷いな、吾郎くんは・・・・。


結果、千石はセンターフライ。
タッチアップの後、1点。

「ナイスボール!!」

グローブを叩きつけようとしていた吾郎くんに僕は声をかけた。

さっき君のところへ行った時、決めた。
君が僕から離れていこうがなんだろうが
僕はキャッチャーとしての役割を果たす。

君が僕を裏切って海堂を出て行こうが・・・。


「ヘルメットも取らずにこっちを睨み付けるなんて
三振した以上に悔しかった証拠だよ。」




吾郎くんの復活でこちらは押せ押せムード。
そんな時に初めて・・・君はようやく聞かせてくれた。


「すげえな、寿・・・。」
「え・・・?」
「やっぱ、お前はすげえよ。」

な、なにを・・いきなり・・・・。

「だからこそ、やっぱ俺はお前と戦いてえ・・・・。
お前らと一緒に海堂にいれば甲子園は楽勝さ・・・。
眉村や薬師寺がいるこの面子なら優勝だって難しくはねえ。
・・・けど、もう今の俺はそれじゃ、つまんねえんだ。
俺は今こそ他校へ行って、お前や眉村のいる最強の海堂と戦いてえ・・・・。
今日のこの自分への最終試験に合格できたらな。」

「よ、よそへ行ってうちと戦う・・・!?」
僕は耳を疑った。

「・・・ああ。一年前の俺にはまだそんな自信も資格もなかった。
だから海堂に入ってレベルの高い連中にもまれ自分を磨く道を選んだ・・・・。
それは眉村でもマニュアルでもねえ・・・・。
ただ、自分の中の過信を自信にかえるための俺自身への挑戦だった。
だが・・・いつまでも海堂にいちゃ俺の認める連中と本当の真剣勝負はできねえ・・・・。
転校して来年の夏にそれをするなら、もう今しか辞めるチャンスはねえんだ。」

な、何を言ってるんだ・・・・?
そんな無茶・・・・!

「すまねえな、寿・・・・。」

ハッ・・・とした。
吾郎くんはわかってたんだ。
自分の身勝手さを。
僕を振り回してしまった事も。

「俺は約束された甲子園行きの列車に乗っても燃えられねえ。
この試合で結果を出したら──────
俺は自分の手で引いたレールの上を自分の足で駆け上がっていきてえんだ。」


吾郎くん・・・・・・。


────みんな・・・・みんなが僕を裏切っていなくなる・・・・・・。

それは幼い自分に刻み付けられたトラウマ。
僕を捨てた両親。
僕を裏切った・・・・両親。

裏切った・・・吾郎くんが・・・・?

違う・・・違ったんだ。

僕はバカだ!!

吾郎くんは何一つ裏切っちゃいない!

野球の為なら
大好きな野球の為なら
どんな苦労も厭わない。
自分を高める為に、更なるハードルを自分自身に課していく。

最強のチームと戦って勝つ、という
これ以上ないハードルを自分自身に課す為に
そしてそれを達成できた喜びを得る為に
横浜リトルへの誘いを断り
海堂になど行くものか!と豪語し
しかしそれが甘かった、と知ると海堂で揉まれる道を選んで
そして今、また・・・最強の海堂と戦う為に出て行くという。

自分自身を更に高める為に。
大好きな・・・野球の為に・・・・・。


そうさ、昔からちっと変ってない。
吾郎くんはいつだってアグレッシブでピュアな心のまま、野球を楽しんでいる。


昔から、あのままの──────
あのままの立ち止まらない君だから好きなんだ!!







「我ながらあきれるぜ。
こんな奴をわざわざ転校してまで敵に回そうってんだからよ。」

「じゃあ、よしなよ。」

それは本音。だけど・・・。
もう、いい・・・。
十分だ・・・。

「へっ。」

僕と吾郎くんは拳を合わせた。

「気合でねじ伏せてやる!!」

そして僕はいつものようにプロテクターをつけて、君と共にマウンドへ向かう。
いつも・・・・じゃ、なくなる。
これを限りに。









これが・・・・
これが海堂での吾郎くんの・・・・最後の・・・・ボール・・・・・。

凄まじい唸りをあげて僕のミットへ一直線に吸い込まれる。
他の誰でもない。僕のところへ。
この手ごたえ、この衝撃。

吾郎くん・・・・。
ありがとう・・・・・・。

そのボールを受けた瞬間、一粒の涙がこぼれた──────。














そして。

明日はもう、この寮を、海堂を去るというその晩。

いつものように吾郎くんを組み敷いている僕。
でも、気持ちがこれまでとは全然違う。

「僕は・・・なんて無為に日々を過ごしてしまったんだろう。
毎日君を抱いてきたのに。
あんな想いで君を抱いても意味などなかった・・・。
もっと、もっと・・・伝えたい事はあったはずなのに・・・・。」

そうなのだ。
僕は毎日毎日随分酷い抱き方をしてきた。
なのに吾郎くんは文句を言う事もなく、僕から離れていくこともなく。
今もこうして僕の腕の中にいてくれる。
これこそが吾郎くんの・・・僕への気持ちの表れだったのに・・・・!
こんなに嬉しい事はなかったはずなのに!

裏切っていたのはむしろ、僕のほうだったのかもしれない・・・・・。
裏切られるのが怖くて、裏切っていたなんて・・・本当に僕は・・・僕という人間は・・・・。

僕の様子を察したように、吾郎くんもバツが悪そうに話し始めた。

「俺も・・・なんつーか・・・その・・・言葉が足りなさ過ぎた。
お前がそんなふうに思ってたなんて、考えもしなかった。
お前を誘っといて俺が抜けるなんてさすがに悪いかな・・・、とは思ってたけど。
俺、突っ走っちゃうと周りが見えなくなっちまうところがあるから・・・。」

お互い様、と言いたかったのだろうか。
そんな吾郎くんの珍しい気遣いに僕は思わず微笑んだ。

「いいんだよ、きっと・・・吾郎くんはそれで。
夢のためなら何処までも脇目も振らず突っ走る。
そういうところが吾郎くんの魅力の一つで。
そして僕はそんな君を好きになったんだ。」
「寿・・・。」
「当分・・・もしかしたら3年の夏が終わるまで、こうやって君との時間は取れないかもしれない。」
「そーだな。」
「だから今夜は・・・。」
「寝かせないぜ?寿!」
「言われちゃったね。」

僕と吾郎くんは顔を見合わせてクスクスと笑いあった。
そして笑いが途切れると今度はどちらからともなく唇を・・・。

すれ違った心のまま肌を重ねてきてしまった過去と
明日からは会えない、その空虚なこれからの日々を
全てを帳消しにできるくらい濃厚に
何もかもを注ぎ込んで
離れていてもすぐそばに互いを感じられるように
今、このひと時に・・・君だけのために全てを与え合い
そしてむさぼり合う。



「・・っく・・・・!!」
何度目だろう、また、吾郎くんの中に僕は放った。
しかし。
「まだ・・・・だ・・・・っ!!」
吾郎くんももう、何度放ったかわからない。
愛撫の時にも何回か達していたから僕よりも多いのは確かだ。
「もっと・・・もっと、来い!!」
「吾郎・・・くん・・・・。」
吾郎くんの声は既に嗄れていた。
それくらい鳴いたというのに、まだ・・・・・。

今夜が最後。
最後の夜。

これからの人生
僕達のこんな時間はこれからも何度も何度も訪れると信じているが
少なくとも、今夜を限りに暫くは会えない。

僕も同じ気持ちだ。
同じように吾郎くんも思っていてくれて
本当に・・・・本当に嬉しい・・・・・・・。

もっと、吾郎くんに僕を刻み付けたい。
もっと・・・僕に吾郎くんを刻み付けたい。

もっと・・・・もっと・・・・・・・!!

忘れられないくらいに・・・・もっと・・・・・
激しく、強く、無茶苦茶になるまで・・・・・もっと、君を・・・・・・。



「とし・・・・とし・・・!!
まだ、まだ足りない!!もっと・・・ぶち込んで・・・・くれ・・・・っ!!」


吾郎くん・・・・
時がこのまま、止まってくれたら・・・・・・!!
















しかし時間は容赦なく流れていく。
実に正確に、全く平等に時は流れていく。


昨夜あれほど激しく交わったというのに
いつも通りの時間に目覚めてしまった。

差し込む朝日が、こんなにも無情に思えたことはない。

昨夜はあのまま、抱き合ったまま何も身に付けずに眠ってしまった。
いや、正確に言えば二人ともあのまま気を失ってしまった、と言った方が良いだろう。
僕の腕の中で眠る吾郎くんのその顔は、何処までもあどけなく・・・。

ずっとこの腕に、君の重みを感じていたい。
君のぬくもりを感じていたい。
君の寝息を、君の匂いを。

しかしもうそろそろ、起きねばならない。
せめてもう少しだけ・・・という想いがどうしても芽生えてしまう。
昨夜、僕だけをひたすら求めてくれた吾郎くん。
何度放ったか忘れてしまうくらい放っても
「もう一度」と強請る吾郎くんが僕の脳裏に、そして体に焼きついていた。
何もかも尽き果てるまで、気を失うまで交わり続けた。
吾郎くんは僕のものだ、という確信が
信じ続けられる確かなものが僕の中に生まれていた。

大丈夫。
僕らは離れていても会えなくても・・・愛し合っていける。
ほんの僅かの間だ。
長い人生を考えれば本当に僅かの間。

さあ、吾郎くんの新しい挑戦への門出だ。
僕は口元だけで微笑んで、そっと唇付けると吾郎くんに声をかけた。

「吾郎くん、起きて。今日が最後の日でしょ?ちゃんとしなきゃ!」




会えなくても・・・共に・・・・・・・・・。














  

end


覚えてらっしゃる方もいるかもしれませんが
以前日記に書いたものが元になっています。
アニメMAJOR2thの再放送の海堂最後の試合が始まった回を見ていたら
止まらなくなって日記に小ネタとして書いてしまって
そして「あのままの立ち止まらない君だから好きなんだ」の回を見たら
更に止まらなくなって、この話を書いてしまいました。

前から思ってはいたんですが
吾郎が「海堂を出て行く」と宣言してからこの最後の試合までかなりの日数があります。
その間、寿也はどんな思いで過ごしていたんだろう、
どんな思いで吾郎を抱いていたんだろう?
と思っていたんです。
腹の底にはいつも暗い感情が巣くっていて
表面では笑っていても、吾郎を抱いている時でも
そんな感情を拭い去る事ができずに、辛かっただろうな・・・と。
だから吾郎の爆弾宣言を聞いて以来
この試合でようやく寿也は素直な気持ちになれたんだろうな
そんな話を書きたいな・・と思って書きました。
とはいえ・・・原作からの引用が長くてすいません・・・。
それから裏なのにエロが少なくてすいません!

それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました!
(2009.4.3)







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