「・・・・。」
珍しく夜中に目を覚ました。
時計の針は夜中の2時。
明日はデーゲーム。
夜中眠れないのは致命傷だ。
なのにやけに目が冴えてしまった。
昼間の事をふと思い出す。
ガールフレンドが日本からやってくると照れくさそうに語った茂野。
実際会った彼女は14〜5歳、いや、下手したらもっと下に見えたがアレで茂野と同い歳という。
日本人女性は幼く見えると聞いていたがあれほどとは。
「キャンプ地に可愛い彼女を呼んでよろしくやるのは結構だが、ほどほどにしとけよ。」
「バ・・・バッカ、そんなんじゃねーよ!」
あの茂野が頬を染めて強がって。よほど好きなのだろうな・・・。
ふっ・・・。
俺ともあろうものが。馬鹿馬鹿しい。
気分転換に、と外の空気を吸いに部屋を出た。
目の前は海で星も綺麗なはずだ。
イライラした気持ちを落ち着けるにはちょうどいい。
すると。
「・・・・キーンじゃないか。どうしたんだ?」
驚いた。
こんな、一瞬で眠りにつきそうな
しかも一度寝たら何があっても起きそうもないヤツが何故。
「お前こそどうした。」
と声にしてから思い当たった。
そうか。なるほど。
ふふっ・・・と俺が笑うと茂野が突っかかってきた。
「なんだよ。」
「初めてだったから興奮して眠れないのか。お子様だな。」
「は?何の事だよ。」
「初めてだったんだろ?あの彼女と。でなきゃ今頃彼女を胸に抱いて夢の中だ。」
「・・・・!そんなんじゃないって言ったろ!?あいつの寝相が悪すぎてベッドから追い出されちまったんだ。」
「なんだ。結局一緒に寝てたんじゃないか。」
「違うって。あいつはソファーで俺がベッド!
あいつ、トイレかなんかに起きて寝ぼけやがって・・俺は蹴飛ばされてベッドから追い出だされたんだよ!」
「・・・・・・。」
驚きのあまり呆気にとられた。信じられない。そんな事ってあるのか?
「で、俺はちょっと外の空気でも吸ってからソファーで寝なおそうと思ったところでお前が出てきたんだ。」
「お前達、本当に何もないのか?」
「だから最初から、そんなんじゃないって言ってるじゃねーか!」
「・・・・そうか。」
心の奥底に、魔が舞い降りたのを────俺はハッキリと感じた。
自然と吊り上る口角。
「茂野。」
「あん?」
「ちょっと俺の部屋に寄らないか?眠れない時にいいものがある。」
「え?何?何があるんだ?」
「来ればわかる。」
悪いな、Japanese girl。
アンタに恨みはないが・・・・コイツは俺が頂く。
・・・恨むなら恨むがいい、この俺を・・・。
そして奥手な彼氏と、誘いきれなかった己自身を。
そう、あんたの彼氏には魔が宿っている。
男をその気にさせずにはいられない、魔が。
なんだろう、この昂揚感は。
腹の底から湧き上がるような・・・興奮に笑みが漏れる。
今まで何人抱いたか、そんな事はもう覚えてないが
こんな感覚ははじめてだ。
俺の腹の底にも魔が宿ったからか。
ふふふ・・・。
さあ、茂野。
ここから先は何があっても、のこのこついて来たお前が悪い。
魔物の館へようこそ────────。
*******************
何も分かってない茂野が楽しそうに話しながら俺に続く。
部屋に入ると俺はすかさず鍵を閉めた。
とはいえ、どの部屋も同じ造りだ。しくじれば簡単に逃げられる。
だが、不思議と失敗する気がしない。
何故だろう、俺は同性相手は初めてだが
不思議な事にコイツは絶対拒まないだろう、という妙な確信があった。
「なあ、何があるんだ?」
何の疑いもなく笑顔で問いかける茂野。
これから自分がどうなるかも知らずに・・・・。いや、心の奥底では知っている?
「こっちだ、来い。」
俺は茂野に先立ってベッドルームへ。
そして。
「寝ろ。」
「は?」
「いいから、寝ろ。」
茂野は不承ながら俺に圧倒されてか従う。
「寝たぜ?で?」
俺はそれには答えず、ベッドに乗り上げた。
そして茂野の顔の両側に手をつく。
「お、おい・・・。」
さすがにおかしいと感づいたらしい。
だが、もう遅い。
俺は全身で茂野の体を押さえつけ、身動きを奪い有無を言わせず唇付けた。
茂野は手足をバタバタ動かし顔をそらしてなんとか逃げようとするが
がっしりと頭を掴み逃がさない。
単純な腕力勝負なら、良い勝負になったかもしれない。
が、茂野には体勢に分がなさ過ぎた。
その頭をしっかり固定して、俺は悠々と舌を差し込みねっとりと絡め、じわり・・と摩る。
すると茂野の瞳から覇気が薄れていった。
感じている証拠だ。
もう少し・・・・。
しつこいくらいに舌を絡みつかせ、たっぷりと口内を味わい尽くすと、ようやく唇を開放した。
茂野は酔ってしまったのか、うつろな瞳。
だがすぐに我に返り俺を睨み付けると。
「な、何しやがる!」
「キスだ。お前もそのくらい知ってるだろ。」
「これのどこが眠れない時にいいものなんだよ!」
「セックスの後は良く眠れる。」
「ちょ・・ちょっと待て・・。」
「十分に可愛がってやりたいが、明日の試合に響いては困る。だから手短にいくぞ。」
「なんで俺がお前なんかと!!」
「・・・・・・。」
───お前なんかと?
心が一瞬で凍りつくのを感じた。
俺はその心のままに、茂野を睨み下ろしていたのだろう。
あの茂野が俺を見上げ、ようやく失言に気付いたのか言葉に詰まる。
この怯えた表情はどうだ。
ふふ・・・。面白い。
その言葉、後悔させてやる。
俺なんかとシて、そして俺以外ではイけない体にしてやる。
覚悟しろ。
ちょうど手の届く場所にあったタオルで茂野の両手首を縛り拘束した。
本当はロープか何かで完全に固定したい所だが
今、馬乗りの体勢から離れるとコイツはすぐに逃げ出すだろうから、それは諦めた。
少なくとも手の動きは奪い去った。
「お、おい・・何してんだ・・・・!」
その両手を頭の上に持ち上げ片手で縫いとめて
抗議の声を荒げる茂野を無視して耳に唇を落とす。
耳朶を甘噛みし、ぺロッと舐め上げ、そして舌を差し込みわざと水音を立てて。
「・・・っ!」
さっきまで威勢の良かった茂野が次第に大人しくなった。
その体に甘く痺れが走り、でも声を出さないよう耐えているのは一目瞭然。
思わず俺はほくそ笑む。
「耳だけでこんなに感じるとは・・・。さすがだな。」
「なっ・・・なにを・・・・!」
「お前は・・・知らず知らずのうちに男を引き寄せる。
俺以外にもいたんじゃないのか?お前にこういう事をする男が。」
「・・・!」
「・・・・図星か・・・・。彼女とシないのはそういう訳か。」
「ち・・・違・・・ッ!!」
「男に抱かれるのに慣れすぎていて女を抱けない。」
「やめろ・・・・!」
「誰だ、その男は。」
俺は乳輪を丹念に舐め上げながら問い詰める。
「いない・・・そんなやつ・・・!」
胸からの刺激に耐えながら、精一杯の抵抗。
「嘘だな。胸だけでこんなに感じておいて、よく言う。」
そしてそこかしこを意識的に吸い上げて痕をつける。
「あ、あああ・・・・っ!!」
「もう一度聞く。誰だ、その男は。」
俺の手は茂野の股間に伸びていた。
「・・寿、也・・・・!」
息絶え絶えに言葉を紡ぐ茂野に容赦なく更に問う。
「フルネームは。」
「佐藤・・・寿也・・・・っ!!」
Toshiya Satoh・・・・覚えておこう。
胸を舐め上げ股間のそれを手淫。
既に先走りの蜜が溢れてピクピク震えている。
ここまで仕上げたのがそのToshiyaという男か。
今からそいつの匂いを全て俺が拭い去ってやる。
俺はヒクつく茂野の中心を口にすっぽりと収め、舌を絡めながら吸い上げた。
「っつ・・・ああ・・っ!!」
感じている。
だがまだまだ、だ。
口の動きはそのままに、後ろの蕾に指を差し込む。
すると思ったとおり、すんなりと指を受け入れて中は既に収縮を繰り返し濡れていた。
「さすがだな。もう準備万端という訳か。」
「はな・・・せ・・・!」
だが、そこまで仕込んだのが別の男というのが気に食わない。
指を奥へ奥へ、じりじりと内壁を辿りかき回す。
どこだ・・・コイツのポイントは・・・・・。
指を擦り付けながら動かし探っていくと
ある場所へ辿り着いたその瞬間、茂野の体が大きく波打った。
・・・・ここか・・・・。
俺は肉茎をしゃぶりながら自然、笑みがこぼれた。
中で蠢く指はそこばかりを意識的に摩り、それをしゃぶる唇と舌の動きは決して緩めず・・・。
茂野にしてみればたまらないようだ。
恥も外聞も捨ててよがるこの姿。
感じられると、たまらない。
男の本能がもっと、もっとと攻め立てる。
外への刺激は、同じ男だ、どこをどう攻めれば感じるのか簡単に分かる。
そして知られてしまった内の見えざるポイントまでも執拗に攻められて。
内と外、同時に的確に攻めれば自然に・・・・。
「だ、だめ・・・だっ!・・・も、もう・・・・!!」
どうやら限界らしい。
さてどうしたものか。
このまま一気にイかせるか、それとも焦らすか。
茂野の顔をチラリと伺い見た。
この顔、この表情。
サディスティックな欲望が沸き起こる。
やはりコイツには魔が宿っている。
俺は後ろの蕾から指を引き抜き、ゆっくりと舐め上げながら肉茎も開放した。
拘束していたタオルを解き茂野の顔を見下ろす。
期待していた、欲しかったものが得られなかったこの表情。
「どうした。俺なんかとはシたくなかったんだろう?ご希望通り、やめてやった。」
「・・・っ・・!!」
そして先走りの蜜の味がまだ残る舌を、茂野の唇の隙間に差し込んで
「・・・ほら、これがお前の「味」だ。旨いか?」
唇の合間に囁いて。
舌を絡めるだけでピクピクと切なげに震える肉茎。
その表情も、吐息も熱い。
欲しくて欲しくてたまらないのに貰えないもどかしさ。
「最後のチャンスだ。一度しか聞かない。」
唇を離しただけの至近距離で問う。
「入れて欲しいか?」
「・・・・!!」
「答えろ。」
俺は至近距離で茂野の瞳を見据えた。
数ミリしか離れていない唇が、何か言いたげなのに声に出来ない様子が伺われ少々じれったくなる。
とどめだ、とばかりにもう一度唇付けて指で肉茎を一回だけ根元から摩り上げた。
「・・っ・・・・!」
唇を俺の口で塞がれているので声が出せない。
くぐもった悲鳴が口内に響く。
そして指も唇も再度離し、もう一度見据える。
これは俺にとっても賭けだった。
茂野が続きをシたいのは一目瞭然だったが、理性には勝てず「NO!」と言えば・・・
その後、俺はどうしたら良いのか。
それでも無理やり続行するか、ご希望通り止めてやるか・・・かなり悩む所だ。
だがコイツは「NO」とは言わないだろう、とも思った。それは最初に感じた、妙な確信。
すると茂野は瞳を逸らし、悔しそうにようやく答えた。
「・・・・っ!・・・入れて・・・くれ・・・・。」
搾り出すようなその声、その答えに内心安堵する。
だが、ここまでの快楽の亡者としたのはToshiyaという男。腹立たしい。
「・・・淫乱。」
俺の言葉にキッ・・と睨み付けてきたが、それと同時に俺自身をぶち込んだ。
「う、あ、・・・あああっ!!」
すると、驚いた事に入れた瞬間、茂野は達してしまったのだ。
イく寸前で止めておいたのは確かなのだが。
「やはりとんでもない淫乱だ、お前は。本番はこれからだというのに。」
「違ッ・・・!!ああ・・あああ!!」
俺は本格的に腰の動きを開始した。
たまりかねて俺の背に腕を回す茂野。
ぶち込むたびに背に食い込む爪。
先ほど見つけたポイントめがけてひたすら突き上げる。
力強く、根元までぶち込み、ギリギリまで引き抜いてはまたぶち込む。
達したばかりで敏感になっているのだろう、
茂野の中はこれでもか、と言わんばかりに俺を締め付けた。
「ふふ・・・お前の中、その辺の女なんか比べ物にならないくらいイイぞ。」
「ヤ・・・ッ!」
茂野は一瞬恥じらいの表情を見せたと思ったら二度目の射精。
「とんでもない魔物だな、お前は。そう・・・淫魔だ。」
「違う・・・!俺は・・・!!」
「何が違う?」
俺は茂野の腹に垂れている白い液体を指ですくい上げ、こいつの口に差し込んだ。
指で口内を犯して尚、続ける。
「じゃあこれはなんだ。もう2回もこんなものを放っておいて。」
「・・・っ!」
「ちゃんと舐めろ。」
茂野の表情、しぐさ、ひくつく肉茎、そして激しく収縮して俺を締め付ける中。
何もかもが俺の全てを刺激して。
誰にも渡さない。
茂野は俺のものだ。
あの彼女は問題じゃない。
Toshiyaとかいう男。
お前には二度と返さない。
俺に染まれ、茂野───────!!
翌日。
6回表、ここまでノーヒットノーラン。
2アウトを既に取り、3人目のバッターでカウント、ノースリー。
「タイム!」
俺は茂野の所へ走った。
「どうした。」
「・・・なんでもねーよ。」
俺と目を合わせようとしない。今日は朝からこんな感じだ。
しかしそれは怒っているからではなく
昨日の今日でどういう顔をしたら良いのか分からないからだ、という事は表情を見ればすぐに分かる。
「one・・・。」
俺は茂野の胸のある場所を指差した。
「two・・・three・・・・。」
そして数えながら別の場所を指差していく。
「な、なんだよっ!」
「俺が昨日、痕をつけた場所だ。」
「な・・・っ!!何言ってんだ!試合中だぞ!?」
茂野の顔が真っ赤に染まる。
素直で無邪気かと思えば、男を誘うその術は天下一品、しかも無自覚。
「少しは気が紛れたか。」
「!」
「落ち着け。無事、あと3つストライクを取れたら今夜も可愛がってやる。」
「・・・・!!」
俺はマスクを戻しながら捕手のポジションへ戻る。
腰を下ろしながら見た茂野の表情は、どこかふっ切れたように見えた。
そして徐々に、その瞳に気迫が満ちていく。
・・ふふ・・・。この俺ともあろうものが。
こんな事がこんなに嬉しいとは。
茂野はその後連続3ストライクを豪快に決め、役目を終えた。
「・・・・決めたぜ?」
マウンドを降りる際、少し頬を染めつつふて腐れたように言う茂野。
「そうだな。」
俺はそんな茂野の頭をくしゃっ・・と撫で、そして共にベンチへと向かった。
その横顔には微笑みが浮かんでいた。
end
MAJOR第5部でやるだろう所を漫画で読んでいたんです。
56巻。薫がアメリカへやって来る!トラブル発生、絶体絶命?
と思ったら吾郎とキーンが助けに・・・。
以前読んだ時はキンゴロにハマる前だったのでなんとなくスルーしちゃったのですが
キンゴロにハマって改めて読んでみると・・・なんて萌える設定なんだ!!
と思って一気に最初の部分を書いてしまいました。
本当は「魔物の館へようこそ」までの小ネタのつもりだったのですが
続き妄想がむくむくと。で、またまた書いてしまって。
薫ちゃんには申し訳ないのですが・・・止まりませんでした。
やっぱり吾郎は「抱く」方よりも「抱かれる」のが似合っている!!
キーンよ、これからも可愛がってやってくださいvv。
・・でもこの直後、W杯チームに合流しちゃってキーンとは離れちゃうんですよね。
それではここまで読んで下さりありがとうございました!!
(2009.1.19)