ご注意!
この話は少し前サンデーを立ち読みして、一気に書いてしまったものです。
つまりW杯直後の話。
そこまで読んでない方にとってはネタバレになります。
ネタバレが嫌な方、苦手な方は読まないほうが良いでしょう。
また、ネタバレは含むものの本誌の展開とは大きく異なります。
トシゴロ至上主義の私の希望が大いに含まれます。
それでも大丈夫な方だけ、どうぞお進みください。
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「吾郎くん・・・。」
「なんだ・・・。寿也か・・・。」
W杯解散会後、ついさっきエレベーターで別れたばかりの寿也が
吾郎の部屋を訪ねてきたのだ。
「疲れてるとこ、ゴメン。」
寿也は部屋に戻ったものの
どうしても吾郎の様子が気になって・・・そして居ても立ってもいられなくなった。
それからは急いで階段を駆け下り・・・・。
「ま、入れや。」
吾郎は相変わらず無表情で寿也を招き入れ、ベッドに腰を下ろす。
寿也は一人掛けのソファーに腰を下ろした。
向かい合っているのに、目を開いているのに何も見ていないその瞳。
「・・・・・吾郎くん・・・・・・・。
さっきも言ったけど、ジュニアに打たれたのは君のせいじゃない。
あの球は間違いなく最高の球だった。
・・・・・・・・。
残念だったけど・・・・僕も悔しくてたまらないけど・・・・・。」
「・・・・・。」
何も見ていない、映っていない
虚ろな瞳。
聞こえてない・・・・僕の言う事なんて・・・・・・。
「吾郎・・くん・・・・!」
切なくてやりきれなくて
吾郎を力いっぱい抱きしめた。
サヨナラ満塁ホームラン。
はじめてのW杯、世界一を賭けた決勝で。
そのピッチャーであった吾郎のショックは計り知れない。
元気を出せと言う方が無理な話だろう、だが。
この状態はあまりに────。
どうしたらいいんだ?どうしたら・・・・吾郎くんが戻ってくる?
このままじゃいけない
それだけはわかっている。
僕に与えられた時間は今夜だけ。
五里霧中。
とにかく必死で、無我夢中で。
唇づけて押し倒してシャツを捲り上げて。
せめて感覚からならば戻ってこられるのではと。
僕の知りうる限りの吾郎くんの性感帯を刺激して。
「・・・うっ・・・・・!」
声はあげる。条件反射だ。
だが瞳が・・・・・。
吾郎のそれに舌を絡め唇で締め付けて。
「・・・・あっ・・・・・・!!」
果てても。
体は反応しているのに未だ瞳は別世界。
やりきれない。
吾郎くんはこんな事くらいでダメになるようなヤワじゃない。
それだけはわかっているのに・・・・・・!
ぐ・・・ぐぐぐ・・・・っ・・・・・・。
自身を押し進めると吾郎が声にならない悲鳴を上げる。
何かあるはずだ。
何かキッカケさえ掴めば────必ず戻ってくるはずなんだ!
全てを吾郎の中に収め、しばし動いた寿也は
やはり何も映っていない吾郎の瞳に
己の無力さに絶望した。
吾郎、くん・・・・・・・・・・・・・・・。
涙が溢れる。
雫────。
涙の雫が吾郎の腹を濡らしている。
「・・・・・・・・・。」
「自分が情けないよ・・・。
僕は、こんな君を見るために今まで野球をやってきた訳じゃない!」
「僕は・・・・・・!!」
ポタポタポタ・・・・・ッ。
また雫がこぼれ落ちる。
絶頂を迎えても戻らなかった吾郎の意識が
腹に落ちる涙の雫に少しだけ意識が浮上した。
寿也の涙に。
───なんだ・・・・・。
───・・・寿・・・・?
───なんで寿也が泣いてるんだ?
寿也は腰を動かし始めた。
ゆっくりと、吾郎の中を確かめるように。
「吾郎くん・・・帰って・・・来るんだ・・・・・・
僕のところへ・・・・・。
君の野球の・・・上に・・・・・・!」
「・・・ぅ・・・ああ・・・・・っ!」
「僕に・・・はじめて野球を教えてくれたのは・・・君だ。
野球の楽しさを・・・・。
それからも君は・・・・僕のライバルとして・・・・・
君の意図とは関係なく・・・・色んな事を僕に・・・・教えてくれた・・・・。
悔しさ、惨めさ・・・なんてのもあった、でも!」
語気と同調してか力強く自身を打ち込む。
「それを乗り越える達成感を教えてくれたのも、君なんだ・・・・。」
「乗り越え成長していける事も・・・・君は教えてくれた。
その君が・・・ここでリタイアする気なのか?」
吾郎の中の寿也が荒れ狂う。
「・・っつ・・・・!!」
───なに言って・・・・・・・?
───俺が・・・リタイア・・・・・?
容赦なく、寿也が知る中のポイントを的確に突き上げる。
その刺激もあいまって確実に蘇る吾郎の正気、そして快楽。
「・・ああ・・・あ・・・・・・!!」
───そうだ、今日俺は思いっきりやられたんだ・・・・・アイツに!
「やられたらリベンジすればいい!
・・・・・・それが君の野球だ。違うか?」
頂点を目指し激しく打ち付ける腰
その合間に囁かれる、しかし力強い寿也の言葉。
そして共に、果てる──────。
その時。
抱きしめる寿也の背を
強く抱き返す吾郎の腕に寿也は瞳を見開いた。
「吾郎・・・・くん・・・・・・?」
「ああ・・。その通りだぜ・・・・!」
吾郎の瞳に光が蘇っていた。
「悪りぃな、寿。情けねーとこ見せちまって・・・・・。」
寿也は子供のように思い切り首をふる。
「もう、大丈夫だ。ちゃんとふっ切れた。
ジュニアのヤロ〜、今度は170キロをお見舞いしてやるぜ・・・・!
・・・ありがとな・・・・・・・・・お前のお陰だ、寿・・・・・・・。」
「吾郎くん────!!」
寿也はもう一度思い切り抱きしめた。
それでこそ、吾郎くんだ・・・と呟きながら。
しかしまだ抜いていなかった為、達したばかりの敏感な中をそれが大きく擦った。
「・・っつ!ああ・・・・っ!コラ、抜け!」
ふふふ・・・と寿也はいたずらっぽく笑う。
「吾郎くん、可愛い。」
言いながら「えい!」ともう一度突いてみる。
「ああ・・・っ!もッ、この・・・・性悪・・・・ッ!」
吾郎が目覚めた時、そこに寿也はいなかった。
そう、きっともう
遠い空の上──────。
吾郎はベッドから降り、しっかりとその足で立ち上がる。
───もう、大丈夫だ、寿・・・・・。
───地に足、しっかりつけていられる。
今回は完全にやられたな──────。
吾郎は頭をポリポリ掻きながら一人、呟いた。
end
すいません・・・・っ!
止まらなかったんです!
サンデー立ち読みしてその後の様子を見て、殆ど一気に書いてしまいました。
でも本誌の展開とは全然違うし。
完全な願望です、薫ちゃんゴメンなさい!
やっぱり私はトシゴロ至上なんです!
ネタバレを含むこの話を、ここまで読んで下さりありがとうございました!
(2007.10.22)