今日はクリスマスイブ。
街はクリスマスムードに溢れていた。
ステンドグラスに彩られた教会からは賛美歌が聞こえ
そこかしこに飾られたクリスマスツリーに美しく光るイルミネーション。
アメリカではクリスマスは家族と暖かく過ごすもの。
どこの家庭でも、ささやかだが幸せなひと時を過ごしていることだろう。
キーンも当然家族の元へ帰るのかと思っていたら。
今、ヤツは俺を押し倒して顔の両側に肘を付き、俺を見下ろしている。
「俺は神など信じない。」
そう言いながら、ゆっくりと降りてくる、キーンの唇。
「願いがあれば自分で叶えれば良いだけの話だ。」
願い。
キーンの願いとは・・・一体なんなのだろう。
そう思って素直に聞いてみた。
すると、ふふっ・・と小さく笑って。
至近距離で見たその瞳が、その表情があまりに綺麗だったので
俺は思わず見惚れてしまった。
まるで彫像のように彫りの深い整った顔立ち。
豹柄のシャツの隙間から浅黒い肌が覗き・・
いつも見ているユニホーム姿も良いが
私服姿のキーンは、なんと言ったらよいのだろう・・・とてもセクシーで。
「今は、お前を悦ばせる事が俺の願いだ。」
俺が目を見張る間も与えてくれず、また唇を押し付けてきて。
ゆっくりと、舌を絡み合わせる。
「あ・・・。」
思わず漏れる、熱い吐息。
なんだかはぐらかされているような気がしたので
「それ、じゃ・・クリスマス、だろうが・・・なん、だろうが・・・関係ないじゃ・・ないか。」
俺は唇を受けながら、途切れ途切れに精一杯毒づくと
「そうだ。クリスマスなど・・・下らない。」
キーンの唇はいつの間にやら首筋に移り、ちゅ・・と音を立てて吸い上げて
そして、およそキャッチャーの指とは思えないような
綺麗な長い指先で俺の胸の飾りを弄り始めていて。
「んっ・・・・・!」
───クリスマスなど、下らない。
そう、ハッキリ言われてかえって清々しい思いがした。
クリスマスは盛大に祝い、ムード溢れる夜を
そして正月には神社へ初詣。
日本はそんな国だ。
馬鹿馬鹿しい・・・・そう、心のどこかで思いながら生きてきたように思う。
夢があるなら自分で叶えろ。
神などいるはずもない。
いるのなら何故、幼い自分から両親を奪った?
「何を考えている。」
思いを巡らせている事がキーンにもわかってしまったらしい。
「別に。俺も神様なんて信じた事ねーなって思っただけだよ。夢は自分で叶えるさ。」
「そうか。」
キーンは一度止めた手の動きを再開させる。
そう、その手はもう俺の股間に伸びていた。
「・・・っ、・・・あ・・っ!!」
ゆっくりとそれを握りこむ指を躙らせて、胸の飾りを舐め上げて。
そうかと思ったら握りこむ手を上下にすばやく動かし摩り上げ、唇に舌をねじ込んできて。
「では聞くが・・・お前の夢は何だ?」
夢?夢なんて決まっている。
俺はそこがだんだん昂ぶっていくのを感じながら考えた。
来年こそワールドチャンピオンだ。
そして110マイルのストレート。
夢の舞台には俺と、お前。
「願い、だ。茂野。」
だけど、低くて甘い、そして心地よい声が
耳に舌と共に直接吹き込まれて
キーンが握るそこが甘い痺れに溢れてしまいそうで
俺は・・・・。つい・・・・。
「・・・・イ・・・イかせてくれッ!キーンッ!!」
俺は自分の耳を疑った。
な、なんてセリフを言っちまったんだ!
だけどキーンは
「ふふっ・・。それでいい。」
満足げに微笑むと俺のそれを咥え込んだ。
「ああ・・・あああっ・・・・!!」
絡みつく舌、吸い上げる唇。暖かなキーンの口内。それにかかる熱い吐息。
何もかもが、たまらなく・・・・。
───イけ。
そう、聞こえたような気がした、その瞬間。
「あ、ああっ!!・・・・あぁ・・・・・・。」
俺はキーンの口内にそれを一滴残らず出し切った。
そしてキーンは何の迷いもなく一気に飲み込む。
ゴクン・・・。
やけにゆっくり動くように感じるキーンの喉、そして口元の残渣。
いつものように、なんとも言えず恥ずかしい
でもどこか嬉しい、そんな思いでそれを見つめる俺に。
「Thank you,Shigeno!最高のクリスマスプレゼントだ。美味かった。」
とヤツはニッ・・と笑った。
その意味を理解した瞬間、俺の顔は一気に茹蛸状態になってしまって。
「ば、馬鹿か、お前は!クリスマスなんて下らねーんじゃなかったのかよ!!」
「だが貰えるものはありがたく頂戴する。」
「・・・〜〜〜〜!!」
俺は呆れたのと恥ずかしいので何も言えなくなってしまって。
するとキーンは
「今度は俺がお前にプレゼントをやろう。」
「は?」
そして口元に持ってこられたのはキーンの立派な・・・・。
「このスケベ野郎・・・・。」
俺は挑発的に睨み上げるが、キーンは自信満々で俺を見下ろして。
「日本では倍返し、3倍返しとも言うらしいな。
上の口の後は下の口にもくれてやる。その後はどこが良いか、考えておけ。」
「誰がンなもん、貰うかよ!」
俺は思わずムキになって言うがキーンは全く動じない。
「・・・素直になった方が得策だと思うが。」
目の前には既に張り詰めた怒張が俺を待ちわびていた。
「・・・・・・。」
その大きさに思わず息を呑む。
「早く欲しいと・・・顔にそう書いてある。」
キーンのこの勝ち誇ったようなしたり顔。・・ったく憎たらしいワカメ頭!
分かってるくせに、何でわざわざそういう事を・・・!
「・・・・〜〜〜〜っ!!」
カプッ・・・・。
言葉にするのが癪だったので、何も答えずそれを口に含んだ。
するとキーンが俺の頭をくしゃっ・・と撫でて。
「いい子だ・・・・。」
恍惚気味な低い声が嬉しくて・・・・。
イブの夜が更けていく。
だが俺達は神など信じない。
信じるのは己の力、互いの力のみ─────。
end
前も吾郎にキーンの事を「スケベ野郎」と言わせてしまったような気がします。
吾郎相手になると誰もがスケベ野郎になってしまうのでしょう、きっと・・・(笑)。
そしてワールドチャンピオンになれるのどうかは
良く考えるまでもなくまだ連載中なので分かりませんね。
そういう細かい所が色々裏が取れてなかったりしますが
ご容赦頂けると助かります。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
(2008.12.19)