自由の女神の足元で
仁は去っていき、タカオは一人、立ち尽くしていた。
俺は・・・・俺は・・・・俺は弱くなんかない!!
虚ろな瞳で
不気味に笑顔を浮かべて・・・・。
俺は世界チャンピオンだ!
俺が弱いだって!?
笑わせてくれるぜ!
哀しいほどに一人だった。
・・・・何奴も此奴も・・・バカにしやがって・・・・!!
余計に怒りが増殖する。
その時、目の端に白いものが映ったような気がした。
ふらふらと・・・足が勝手にそちらへと動いた。
あれは・・・・。
「カイ!」
「・・・・・・・・・・。」
「見てたのか・・・・。」
一番見られたくない奴に見られてしまった。
タカオは一瞬バツが悪そうな顔をしたが
カイはタカオの事など気にも留めず立ち去ろうとした。
それはタカオの自尊心を大きく傷つけた。
フツフツと沸き起こる苛立ち。
俺のことなんて、どうだっていいってか?
「・・・・待てよ。」
驚くほど冷たい響き。
カイは振り向かなかった。だが一応立ち止まった。
「きたね〜よな〜、そんな所でコソコソと覗き見か?
お前もそうやって俺をバカにしてんだろ!?」
タカオはズカズカと歩み寄り、
カイの腕を掴んでそのまま自由の女神の足元に押し付けた。
タカオの瞳は怒りに震えていた。
カイは顔色も変えず、溜め息を一つつき
「・・・・・どうしようもないバカだな、貴様は。」
「!」
タカオはカイを睨みつけた。
「あいにく俺はバカに付き合ってられるほど暇じゃない。
たまたま散歩してたら貴様と仁がバトルを始めた・・・それだけだ。
・・・・・・・放せ・・・・・・・・・。」
カイは静かに言った。
だが、それは火に油だったのかもしれない。
誰もがタカオを見捨てた・・・・・と・・・そう感じた。
カイを筆頭に・・・・。
カイ・・・・・・・・
俺のものだと信じてたのに。
この綺麗な顔も白い肌も、紫水晶のような瞳も・・・・!!
「イヤだね。バカはどっちだよ。」
内に沸き起こる怒りとは対照的な、静かな声だった。
だからこそ、怒りの激しさを物語るような。
「・・・・久しぶりにお前を手にしたんだ。放せるわけないだろ?」
挑発的にカイを見る。
「それとも・・・帰ったらユーリが抱いてくれんのかよ?」
カイはキッとタカオを睨みつけようとしたが
その前に。
タカオに口付けられた。
深く・・・・深く・・・・・・。
タカオの舌はカイの舌をゆっくりとなぞり、絡めた。
ちゅく・・・・・。
湿った音が響く。
本当に久しぶりの口付けにタカオは夢中になってカイの舌を求めた。
カイの感触と・・・・鼻にかかったような吐息が
懐かしく愛しく・・・・そして憎らしかった。
その間にカイのマフラーを解くのも忘れない。
シュルシュルシュル・・・・・と衣擦れの音と共にマフラーが地面に落ちる。
抵抗されたら終わりだと思った。
腕力ならカイの方がずっと上だったから。
抵抗される前にカイを快楽に引きずり込まなくては。
唇を開放するとタカオはすぐに首筋へ舌を這わせ、服の上から胸の飾りをなぞった。
ゾクリ・・・・。あわ立つような感覚が突然カイを襲う。
「な・・・・なに・・を・・・・!や・・・やめ・・・・!!」
カイは首筋が弱かった。
そして感じやすい。
カイのイイ所を知り尽くしているタカオにとっては
カイを快楽に突き落とすことなど、造作もないことだった。
タカオはカイのシャツの中に手を滑り込ませ、胸をまさぐった。
肌を辿るタカオの指先の熱を敏感に感じる。
ソコだけに神経が集中したかのように。
耳を舌で犯しながら
「なあ・・・・・ユーリはどうやってカイを抱くの?」
直接言葉を吹き込む。
「い・・・・ちが・・・・・はぁ・・・・・・・!」
甘い吐息が荒くなる。
吹き込まれた理不尽な囁きにさえ・・・体が反応してしまう。
タカオは首筋に幾つか痕を残した。
「弁解は・・・自分で考えろよ?」
シャツを捲くりあげ舌で胸の飾りをチロチロと舐め、
もう一方の飾りは指で嬲った。
「あ・・・・やめ・・・・やめ・・・ろ・・・・・!」
どこか切ないような・・・甘い疼きに
逆らえない・・・・・・・・。
自らの鳴き声をどこか遠くで聞きながら
カイは・・・・考える。
抵抗しようと思えばできた。
バカに付き合ってる時間などない。
先ほどのタカオの必死な眼差し。
俺が見たかったのはこんな瞳じゃない。
つまらん事にいつまでも囚われるなど・・・・・くだらん・・・。
だが、突然口付けられて・・・。
確かにイイ所を的確に捉えられはしたが
一瞬の隙をついてタカオを殴り飛ばす事くらいできたはず。
・・・・自由の女神の足元で・・・
何時誰が来るとも知れぬこんな・・・・・屋外で・・・・この異常な状態で・・・
タカオの愛撫を甘んじて受けている・・・・・。
どこかで悦んでいる・・・・・俺がいる・・・・・・。
俺は・・・・こうなることを・・・・望んでいた・・・・のだろうか・・・?
タカオはカイの胸への愛撫を続け、
刻印を幾つも幾つも残していった。
タカオは・・・・・気づいた。
カイの体は・・・綺麗だった。
一つも痕など残っていなかった。
カイは・・・・・・ユーリに抱かれてなんかいない。
誰にも・・・・抱かれてなんかいなかった。
でも、カイがタカオを捨てたことは事実。
俺よりユーリを選んだことも。
そしてレイやライにみっともない負け方をしたのも
仁に負けたのも。
これからも全く勝てそうな気がしないのも・・・・・・・!!
これら全てがカイのせいのような気がした。
八つ当たりだと・・・・タカオには充分解っていた。
解っていても・・・・・止められなかった。
カチャカチャ・・・・。
タカオはカイのベルトのバックルを外した。
カイの細腰に留められていたダブダブのズボンは
ベルトを外すとストンと下に落ちてしまった。
タカオはカイの中心を下着の上からなぞった。
「カイ・・・・こんなになってるぜ?やめたら困るのはカイの方じゃね〜の?」
「う・・・・あっ・・・・・っ・・・・は、・・・・!」
眼をキュッと瞑り、快楽に耐える表情は
更にタカオを煽る。
タカオは下着の中に手を差し入れた。
手の動きにあわせ、クチ・・、クチ・・と濡れた音が響く。
「うわ・・・・ぬるぬるだぜ。どうしたんだよ?」
「ぁ・・・や・・・っ・・・・・!!」
ガクガクと膝を震わせて必死に耐えている。
既にタカオの意地悪な問いかけに、答えられるような状態ではなかった。
タカオはひざを折り、カイのモノを口に含んだ。
「・・っ、・・・・あ・・・・・や・・・・やめ・・・・ろ・・・・き・・・のみ・・・やぁ・・・・!!」
突然生暖かいものに包まれ、電流が体を駆け巡ったように感じ、熱が一点に集中する。
耐え切れずカイは鳴いた。
ぴちゃぴちゃ・・・・。
ちゅく・・・・じゅぶ・・・・・・。
カイのモノを口に含み舌を絡めながら大きく動かし
また、ねっとりと舐め上げ先端だけをチュッチュッと吸い上げる。
大好物のアイスキャンディを大事に大事に舐めるように。
カイはタカオを引き剥がそうとしたものの、うまく力が入らず、結局タカオの頭に縋ってしまう。
そしてタカオは・・・・・
無防備なカイの後ろの蕾に手を回し、慣らしにかかった。
つぷっ・・・。
久しぶりなので指1本でもなかなか入らない。
しかもカイは立った体勢のままだった。
慣れきっていればともかく、今のままでは少々ヤりにくい。
仕方が無いのでタカオは一旦離れ、カイを仰向けに横たえた。
はあ・・・・はあ・・・・・・
中途半端な状態でいきなり離され、快楽に震えた体では力も入らず辛い状態のまま
カイは大人しくタカオに従った。
すぐに足を胸に付きそうなほどに持ち上げられ再びカイのモノを口に含むタカオ。
「あ・・・はぁっ・・・・!」
待ち望んだ刺激を再び与えられ、悦びの声を漏らす。
すかさずタカオはカイの蕾に指を押し込んだ。
まず・・・・1本・・・・・・。
手っ取り早くタカオはカイが一番感じるところを刺激した。
「くっ・・・あ・・・・ああ・・・!!!」
カイの体がビクビクッと反応を示す。
完全に快楽の虜となったカイに
カイのモノを口に含みながらニヤリと笑うタカオ。
カイの中はすぐに熱を思い出し、タカオの指を2本、3本と飲み込んでいった。
カイのモノは相変わらずタカオの口内にあり舌で犯されている。
中はタカオの指が3本暴れまわり、しかもイイ所ばかりを擦り上げ突いて刺激した。
タカオはカイの体の変化を口で舌で如実に感じとっていた。
殊更丁寧に吸い上げてやると
久方方ぶりということもあって、あっという間に限界が訪れる・・・・・。
全てはタカオの思惑通り・・・・。
「あっ・・・・・あぁ・・・・・!!」
どくっ・・・・・・!!
タカオはソレをごくっと飲み込んだ。
「・・・・やっぱ、うまいぜ。」
ニッと笑うタカオの口端からは、飲みきれなかったカイのものが一筋の跡を残していた。
カイは・・・・羞恥から思わず目をそらした。
だがそんなカイの上に乗りかかり組み敷いてタカオが言った。
「どうだった?久しぶりのフェラは。たまんね〜って感じ?」
言葉で嬲られ、カイは目をそらしたまま目をキュッときつく瞑った。
その目元は朱に染まり、わずかに涙がにじんでいた。
未だ整わない荒い息、虚ろな表情。
そんなモノを見せられて・・・・タカオは自らが興奮してくるのを感じていた。
激しい怒りと征服欲
カイへの愛憎・・・・
もう・・・メチャクチャにしてやりたいほど、カイが憎かった。
もうタカオには正気の欠片も残っていなかった。
一瞬・・・・カイはタカオの瞳に宿る狂気を見た。
こ・・・・これが・・・・あの・・・木ノ宮・・・・?
タカオはただ、本能の赴くままに自身をあてがい・・・・・・・・・・。
「待て・・・・・やめろ・・・・!!」
無意識のうちに出た制止を促す声。
思い切り・・・・・突いた。
「くっ・・ぁ・・・・・あああ・・・・・・!!!」
辺りに静けさが戻ってきた。
カイは気だるい体を動かし、身なりを整える。
「これで・・・・・気は済んだか・・・・。」
タカオからの返事はなかった。
カイはそのままマフラーを翻し立ち去った。
再びタカオは一人。
「畜生・・・・・・・・・。」
タカオの瞳は涙で潤んでいた。
「ちくしょう・・・・ちくしょう・・・・・・・。
畜生〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
堪えようもない後味の悪さ、悔しさ。
タカオの絶叫がニューヨーク湾に響き渡る。
カイは遠くタカオの声を聞いた。
「ちっ・・・・。」
無様だ・・・・・・。
断ち切ったつもりが・・・・・この様だ・・・・。
この・・・想いを乗り越えなければ・・・・
真実強くなど・・・・・なれるはずがない・・・!!
「くっ・・・・・・!」
カイは鈍い痛みを引きずりながら、歩く。
木ノ宮・・・・・。
お前も・・・・乗り越えろ・・・・。
這い上がって来い!木ノ宮!!
カイは一人、ニューヨークの街に溶け込み、消えていった。
end
先日、いつものようにぼーっとしてたら、
ふと・・・29話だと思うんだけど、
「お前はいつも半歩前を行く。」とカイが言うシーンを思い出してしまって。
カイの回想の中に、自由の女神の所でタカオが絶叫しているシーンも含まれていましたよね?
「これって、カイたん見てなかったはずじゃ?
まさか愛しのタカオを常に覗いていたの?愛の力ってスゴイわ〜〜〜〜vvv。」
と本放送時は思いました。ソレをふと・・・・・思い出したんです。
そしたら・・・・・妄想が止まらなくなってしまいまして・・・・・・・。
こんなモノができてしまいました。
この辺のタカオ、大荒れですよね。サイテーな奴です。
Gレボのタカオは超サイテー男だったり正義のヒーローだったり色々ですよね。
ちなみに私は両方とも大好きvv。
ブラックなタカオってのもゾクゾクしますvv。
ニューヨーク・・・・行った事がないので、細かい所は突っ込まないでくださいねvv。
それではここまで読んでくださり、ありがとうございました!
(2005.7.13)