全てを焼き尽くせ、ドランザー。
何もかも
世界の全てを
俺自身さえも
俺の思いも、何も・・かも
焼き尽くしてしまうがいい。
そして焦土と化したこの世を
俺は見てみたい。
いや、俺が焼けたら見られんな・・・・。
しかし。
俺など滅してもいい。
全てを焦土と化してしまいたい。
俺自身も焼き尽くされてしまいたい。
世界が焼けていくのを眺めながら
俺を焼く炎を眺めながら
消え行く命を感じながら。
「え・・・・・・。」
タカオは言葉が出ない。
なぜなら、今日がカイの誕生日だったなんて知らなかった。
恋人として付き合い始めてからは、まだ日が浅かったが
世界大会で世界を巡っていた時から考えると・・・
カイとの付き合いは、もう4年になる。
にもかかわらず、世界で一番大好きで大切はカイの誕生日を自分は知らなかったのだ。
自己嫌悪が胸に広がる。
「どうした、そんな顔をして。」
「・・・だって俺、全然知らなかった。知ってたら何かプレゼント、用意したのに・・・。」
タカオはしゅんと・・しおれてしまった。
プレゼントを用意できなかった事だけが悲しいのではない。
16年前の今日、カイが生まれた。
この世にカイが出てきてくれた。
その時タカオはまだ存在しなかったが
掛け替えのない誰よりも愛おしい人が、この世に生まれ出てきてくれた日なのだ。
そんな事も知らなかったなんて・・・・・。
「プレゼントなど、いらん。」
「そーじゃなくって・・・!」
そうじゃない、そうじゃないのだ。
だがタカオには、それを言葉にあらわす事は難しかった。
が、今からでも遅くはないのではないか?
まだ、カイの誕生日は終わっていない。
プレゼントは用意できなくても、今からめいっぱいお祝いしよう。
そう、タカオは思い直した。
「・・・ゴメン、カイ。誕生日おめでとう!プレゼントはないけど俺、心から祝福するから!」
そう言ってタカオはニッコリと笑った。
その笑顔。
その笑顔こそ、カイにとっては一番のプレゼント。
「えっと・・・今からでもできる事ってなんだろう?」
タカオは必死に考える。
自分の為に考えてくれている、タカオ。
愛しさがこみ上げる。
プレゼントなどいらない。それはカイの本音だった。
品物などいらない。
タカオの存在こそが俺にとって最大のプレゼントだ。
それがタカオが真にカイを想ってプレゼントしてくれたものなら当然大切にするが
欲しいのはモノなどではない。
───タカオがそばにいてくれる。それが俺の・・・・。
思いを遠く巡らしていたカイだったが
そうだ。
カイは何か思いついた。
「できる事はある。」
「え?何?」
タカオは大きな瞳を更に大きく見開いて、嬉しそうにカイの次なる言葉を待った。
───なにも疑うことなく俺を見上げる、その瞳。
たまらなく・・・・・。
カイはそのまま顔を近づけそして・・・・。
柔らかな弾力、ぬくもり、そして絡み合う舌。
「・・・ん・・ふ・・・・ぁっ・・・!」
カイは十分にタカオの唇を味わい尽くすと
唇だけを離した至近距離で囁いた。
「今日は俺の望むままにしてもらおうか・・・。」
「カイの望むまま?」
「そうだ。」
カイがニヤリと笑う。
この顔。
カイがこんな顔をした時は碌なことがない、という事をタカオは既に学習していた。
なにやら嫌な予感がする・・・。
カイはタカオの制服のボタンを一つ一つ外していき、そしてカイも自らのシャツのボタンを外していった。
さすがのタカオにもこれから何をするのか察しがついた。が・・・。
カイの望むままって・・いつもと何が違うんだろう?そしてさっきのあの顔・・・。
そう思っていたら、カイがタカオの喉元に食らいついてきた。
「あ、ああっ・・!」
ずり落ちる互いの制服、そして顕になる肌。
カイは執拗にタカオの首筋を攻めた。
舌で舐め上げ、そして時にちゅっ・・と吸い上げる。
ギリギリ制服の影に隠れてしまう場所にいくつか痕を刻み付けて。
タカオはたまらなくなり、カイの背に縋りついた。
「カ、カイ・・・・!」
「どうした。まだ序の口だろう。」
そう言って今度は鎖骨の辺りを執拗に・・・・。
必死に耐えるタカオ。
まだ触れてもいないのに胸の飾りと下半身が様相を変えていった。
カイは内心ほくそ笑む。
───望み通り触れてやろうか、それとも焦らしてわざと触れずにおこうか。
カイは一瞬思考を巡らせ、そして焦らす事に決めた。
───今日は存分に楽しませてもらおう。
カイの膝の上に乗る格好となっているタカオ、カイの体、頭にすがり付いて必死に舌攻めに耐える。
そのカイの舌がゆっくりと下に下りてきて・・・
やっと乳首に触れてもらえる、と思ったタカオだが
カイの舌はその部分だけを避けて舐め上げて。
「・・・ん・・・っつ・・・!」
そして一つ、また一つ痕を刻み付ける。
「カ、カイッ・・!!」
───わざとやってんのか?わざと触れずに・・・・・!
その部分だけを避けて通るカイの舌、そして指先。
焦れて熱くなり、それでも感じてしまうタカオの体。
「や、もう・・・!」
すると制服のズボンの上からタカオの中心部をそっと撫でられて
「ああ・・あああっ・・・・!!」
舌はその部分に触れてくれない、手は邪魔なズボン越しにそっと撫でられるだけ。
タカオはだんだん訳が分からなくなってくる。
早く直接、そこに触れて欲しくて、でも思うものはくれなくて。
「カイッ・・・!」
「・・・どうした。」
カイは舌の動きだけを止めて答えた。
中心部を軽く撫で続けるカイの綺麗な指先。
「あ、ああ・・・っ!」
「ふふ・・ズボンがキツそうだな。」
「!!」
「触れて欲しければ素直にそう言えばいい。」
カイは相変わらず軽く触れるだけ。
「・・・・っつ!!」
「恥ずかしくて言えんか。」
ギュッ・・と唇を噛むタカオ。
「言いたくなければ言わなくてもいい。」
そしてようやく、胸の突起を舐め上げて。
「あああ・・・っ!!」
一度触れると容赦なく舌で舐め上げ、唇で吸い上げた。
───胸が・・・・こんなにキモチイイなんて・・・っ!
待ちわびた、胸への刺激にタカオは鳴いた。
だが、依然中心部は服の上から軽く触れるだけで。
それだけだというのにソコがどんどん質量を増して脈打つのがタカオにも分かった。
───どうしよう?このままじゃ・・・・・!
「・・・・。沁みてきた。」
「?」
タカオが視線を自らの股間に向けると、そこには小さな円形のシミが。
恥ずかしさのあまり視線をそらす。
しかしカイの手の動きは止まらない。
「粗相が過ぎるようだな?木ノ宮。」
そうしてクックック・・・と笑うカイ。
タカオにはもう、恥ずかしさのあまり、どうして良いか分からない。
「さて。このまま触れ続けても良いが・・・・直接触って欲しいか?」
「・・・・・!」
タカオの肉茎の裏筋を衣服越しに指で撫で上げると
「・・・っ・・・・・!!」
歯を食いしばるタカオ。
「なかなか強情だな。まあいい。・・・・ところで今日は俺の誕生日だったな。」
「・・・んっ・・!」
問いかけるがタカオにはまともな返事が出来ないほど切羽詰ってしまっている。
「ではまず・・・お前の中心を見せてもらおうか。」
「な・・ちょ・・っ、カ・・・あっ・・!」
意見を言う間もなく、タカオのズボンは下着ごと引きずり下ろされてしまった。
それをカイがまじまじと見つめている。
「ぴくついているな。そして少し零れている。」
───いちいち説明すんな!!
タカオはもう、恥ずかしさで頭がおかしくなりそうだ。
「もう一度聞くが・・・触って欲しいか?」
カイは明らかにこの状況を楽しんでいる。
───この、スケベ野郎〜〜〜っ!!
と内心思わないではないタカオだったが、そんな事は言えるはずもない。
そしてカイの問いに対する答えも。
タカオはただ、真っ赤な顔で唇を噛んだ。
「ふふ・・なかなか楽しませてくれる・・。では趣向を変えようか。」
何を言い出す気なんだろう?タカオはカイの顔を伺い見た。
「奉仕しろ。」
「・・・・奉仕?」
「お前が俺のモノを咥えて舐め上げる。」
「・・・・え・・!?」
「祝ってくれるんだろう?俺の誕生日を。」
「・・・・!」
そう言われてはタカオには断れない。
「まずこれを脱がせて貰おうか。」
タカオは言われるがまま、ゆっくりとカイのズボンのベルトに手をかけた。
細い腰だな・・・・。タカオは思った。
カイの体は、どこもかしこも鍛え上げられていて
でも筋肉がつき過ぎている訳でもなく
バランスが取れていてしなやかで
とても綺麗だ・・そしてその象牙色の白い肌も。
そんなカイにいつも抱かれて、タカオは幸せだった。心から・・・・。
だからカイを喜ばせたい、そんな気持ちはいつも持っていた。
いつも・・・・・・。
タカオは思い切ってカイのズボンを下ろした。
「何をしている?これも脱がさないとデキないだろ?」
カイは下着の事を言った。
カイのものがかなり大きくなって、下着がとてもキツそうだった。
いつもまじまじ見る事などなかったカイのそれ。
タカオは意を決して下着をゆっくりと下ろす。
が、それに引っかかってしまい、なかなか思うように下着を下ろす事が出来ない。
あっちを引っ張りこっちを引っ張り、ようやく全てを下ろす事が出来た。
ほっ・・と一息つく間もなく
「来い。」
タカオの手を引き、そしてカイはベッドに腰掛けた。
タカオはカイの膝の間にちょこんと座る。
目の前にはカイの大きく張り詰めた肉棒。
───デ、デカ・・・!こんなの、口に入るのかよ・・・・
・・つか、いつもあそこにこんなデカイのが入ってたのかよ!!
思わず躊躇する。
───いつも俺、これに突き上げられて・・・そして・・・・。
考えるだけで顔が赤面していくのがわかる。
いつも縦横無尽にタカオの中で暴れまわるカイの分身。
カイの・・・・・。
そう思うと無条件に愛しさがこみ上げてきて
カプ・・・
と、なんの抵抗もなくそれを口にした。
が、大きすぎて口に収まりきらない。
でも頑張って頬張ると、何とか先の方だけは収める事ができた。
舌を這わせてゆっくりと・・・舐め上げる。
「・・・っ!」
カイが息を詰める。
タカオは嬉しくなり、いつもカイがしてくれる様子を思い出しながら
一生懸命しゃぶり、吸い上げ、そして時に根元から舐め上げた。
ぴちゃ・・ぴちゃ・・・。
タカオが舐め上げる、カイの肉棒。
決して上手くはないのだが
そのいやらしい行為と、必死に奉仕するタカオの幼い顔、表情、そしてたどたどしい舌使い。
そのギャップがカイを昂ぶらせていた。
───木ノ宮・・・。
カイがタカオを眩しい光のように感じたのは、いつからだったろう。
思い返してみると・・・・やはりはじめて出会ったあの時から、としか思えない。
カイは常に鎖に縛られて・・・父に捨てられ祖父には道具のように扱われ
いっその事、世界の全てを焼き滅ぼしてしまいたい、と何度思ったことか。
何度・・・あらん限りの美しさで舞い踊る朱雀を、世界を焼く紅蓮の炎を思った事か。
そこには絶望しかなかった。
力。
力だけがカイを自由にしてくれる、そう信じていた。
この狂った思考からも救い出してくれるのは、ただ・・力あるのみ、と。
だから強くなりたかった。
そこへ現れたのが木ノ宮タカオ。
腹の底から、虫が好かないヤツだった。
やる事なす事、そして言う事まで何もかも全てが気に食わなかった。
だがしかし。
憧憬のような想いも、同時に心のどこかで感じていた。
カイとタカオはまるで正反対。
育った境遇も考え方も。
意外にもタカオは家族運に恵まれていない。
母は幼い頃に他界、父は世界中を周っていて滅多に家には帰らない。
慕っていた兄も、その父と共に世界へ旅立ってしまった。
結果、家には祖父とタカオの二人きり。
それはカイの家庭環境と似ているようにも思われた。
だが、違うのだ、全く。
それが腹立たしく憎らしく、そして羨ましくて。
いつからかタカオをカイの足元に跪かせたい、そう思うようになった。
それもこれも・・・・全く気づかなかったタカオへの恋慕故とは・・・・ロシアでの一件でようやく気づいた。
カイはタカオが好きなのだと。
友情のそれではなく、愛情の。
同性だからとか、そんな考えは頭をかすりもしなかった。
元々世間一般とはかけ離れた育ち方をした。
そんな常識的な事はどうでも良かった。
───俺は、タカオが欲しい。
真に、そう願うようになった。
そして奇跡的にもタカオと想いを通わせる事ができて
恋人となれた現在。
カイは幸せだった。途方もなく・・・・。
だが、カイの中で眠るサディスティックな性癖、とでも言おうか・・・。
そういう願望も抑える事が出来なかった。
タカオを愛している。世界中の誰よりも大切な唯一つの存在。
しかしタカオを汚してみたい、そんな願望も抑える事が出来なかった。
もっといじめてみたい、もっと困らせてやりたい。
タカオを征服してみたい。
「くっ・・・・!!」
タカオのたどたどしい舌使いがカイを現実へと引き戻した。
───今、タカオは俺のものをしゃぶっている。
下手ではあるが・・・・そろそろ限界がやってきそうだ。
可愛い顔をして、必死に男根を舐め上げるタカオ。
その小さな口の周りには俺の液体とタカオの唾液が混ざり合ったものが
涎のように垂れ落ちている。
ふ・・・・ふふふ・・・・・・。
カイの瞳に狂気が宿った。
カイは両の手でタカオの頭を掴むとラストスパートをかける。
タカオの驚き、そして苦しそうにもがく顔。
響く水音。
もう、何もかもがカイにとっては達するための極上のスパイスとしか感じなかった。
そしてその瞬間。
カイはタカオの口から自らのそれを引き抜いた。
と、同時に白い液体にまみれるタカオの顔。
───俺が・・・・汚した・・・・・。
どこまでも清い、光のような存在のタカオを・・・・。
この興奮は、高揚感はなんなのだろう。
もっと、もっと・・・汚してやりたい。
俺の・・この手で。
口元から笑みが漏れるのが分かる。
「うわ・・・どーすんだよ、これ・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・カイ?」
カイは無言のまま、タカオをベッドに引きずり上げた。
「ちょ・・・カイ!顔、拭いて・・・なっ!!」
そしてタカオのソコに自らのモノをあてがって。
「待てったら・・・カイ!」
「・・・・堕ちろ・・・。」
「・・・?」
「この俺と・・・堕ちろ・・・っ!」
カイは一気にそれを突き入れた。
「あああ・・・っ!!」
全てを焼き尽くせ、ドランザー。
何もかも
世界の全てを
俺自身さえも
俺の思いも、何も・・かも
焼き尽くしてしまうがいい。
そして焦土と化したこの世を
俺は見てみたい。
いや、俺が焼けたら見られんな・・・・。
しかし。
俺など滅してもいい。
全てを焦土と化してしまいたい。
俺自身も焼き尽くされてしまいたい。
世界が焼けていくのを眺めながら
俺を焼く炎を眺めながら
消え行く命を感じながら。
そんな思いをいつも持ちつつ
俺は炎の聖獣、朱雀を操ってきた。
しかし、木ノ宮。
お前に出会って、全てが変った。
焼き尽くしてしまいたかった世界。
全てが敵だった。
自然も人工物も、家族も他人も植物も動物も世界の全てのものが。
それがどうだ、お前と共にいると
世界は彩を見せ、輝きを放ち
そしてこの俺までも、優しく迎え入れてくれるように思えて。
初めて・・・・壊したくないものに、決して壊れて欲しくないものに
いや・・・・・
守りたいものに・・・・出会った。
俺はタカオを守りたい。
俺のものにしたい。
俺だけのものに。
俺の中の炎が・・・・別の形で瞬き始める。
お前に会いたい。
声を聞きたい、その仕草を見ていたい。
お前を抱きしめたい。
むさぼるような唇付けを、セックスを・・・。
お前の光を誰かに向けるな。
お前の清らかさを・・・誰彼構わず振りまくな!!
お前を誰にも見せたくない。
声さえも聞かせたくない。
ずっと俺の元へ閉じ込めておきたい。
俺の中の炎が揺らめいている。
小さかった炎が次第に勢いを増して
お前を想うあまりに
俺自身をも焼き尽くし、破滅させかねない炎が・・・・
そしてお前までも道連れにしてしまいそうなほどの・・・・・。
タカオ。
お前は俺のものだ。
お前を無茶苦茶にしていいのは俺だけだ。
抑えきれない欲望。
抑えきれない願望。
堕ちろ、タカオ。
俺と共に、どこまでも・・・・。
激しく、激しく。
未だかつてないほど激しく。
カイは抽挿を繰り返した。
響く水音、タカオの悲鳴。
それを楽しむように、薄く笑みさえ浮かべながら
ひたすら同じ動きを繰り返す。
「カイ、カイ・・・・カイ・・・・!!」
タカオはその激しい攻めに耐えながら薄く瞳を開けた。
そこでタカオが目にしたのは
冷え切ったカイの紅い瞳。
そして目の錯覚だろうか・・・カイの背後に黒朱雀が舞っているように見えた。
───ダメだ、カイ!
タカオは本能的にそう思った。
と同時に迷わず真っ直ぐ、カイへと手を伸ばした。
───ダメだ、カイ!そっちは・・・・ダメだ!!
タカオの必死の眼差し。その蒼い瞳。
そして・・・・幾度となくカイを光へと導いたタカオの、カイへのみスッ・・と伸ばされた・・・・・手。
「あ・・・・・・。」
伸ばされたその手に、カイは動きを止めた。
それはまるで暗黒の闇の中の、一筋の光。
カイはゆっくりとタカオの手を取った。
───あたたかい・・・・。
愕然として、そして茫然とする。
紅い瞳に、光が漲ってくる。
───この手の在るところが、今の俺の帰る場所・・・・。
焼き尽くされた世界ではなく、この手の在るところが・・・。
「俺は・・・・・・。」
我に返り、タカオを目の前にして、どう反応して良いのか戸惑うカイに
タカオは強請るように言った。
「カイ、続き。」
───この喜びを・・・どう言ったらお前に伝わるんだろう。
お前はきっとこれからも、何度も何度も俺を救い上げてくれるのだろう。
なんの利害もなく、俺が頼んだ訳でもないというのに、お前は・・・・。
しかしタカオは恩に着せるような言葉も
「大丈夫か?」などという言葉も口にしたりしない。
戻ってきたカイに安堵し、何も言わず、ただ微笑んで続きをシてくれと強請る。
───タカオ・・・・・。
腕の中のタカオが愛おしくて・・・
いや、愛おしいなどという俗世間的な部類のものではなく
その光を手に出来た事が
その光に触れられただけでも・・それは例えようもないほどに幸せで・・・・・・。
───俺は未だに時々全てを焼き尽くす妄想に陥る。
黒朱雀は・・・俺とは全く関係ないところで作られたものだが
初めて出会った瞬間から妙に惹かれた。惹かれ合うものを感じた。
俺の求める全てがそこにあるような、妙な感覚がして。
だからあの幼さで禁を犯してまでも手に入れようとし、
記憶を失った後もそれを求め続けていたように思う。
黒朱雀のビットが失われてからも
俺の心に黒朱雀が宿る事が・・・・ある。
本当は・・・俺のような者には、タカオはふさわしくはない。
タカオはどこまでも光の中を生きる存在。
俺は朱雀と黒朱雀を内に秘める者。
あまりにも不釣合いだ。
・・・・・・・しかし。
タカオは俺のそばにいてくれる。
俺はタカオがいなければ、とうに死んでいただろう。
例えば、そうだ・・・あのバイカル湖の底で永遠に彷徨い続けていただろう。
俺はタカオがいなければ・・・・・。
神など信じた事はないが、俺にタカオを巡り合せてくれた
そして俺などを選んでくれた、この素晴らしい偶然に・・・・・心から感謝する。
カイの涙がタカオの腹を濡らしていた。
そしてその涙を拭うと、今度はタカオに唇付けた。
先程、自らの精をかけたタカオの顔、唇からはその味がしたが
そんな事はカイにはどうでも良かった。
───タカオは光、そして俺は影。
正反対だが表裏一体。
そして動きを再開する。
今度は慈しむように、タカオが感じるところを擦り上げて。
共に感じ、共に昇りつめられるように。
───俺はモノなどはいらない。
お前に出会えた事が
お前が俺を選んでくれた事が
俺の人生、最大の・・・・・・・・・・。
唇を合わせ、舌を絡め腕を絡め
そこは熱く繋がって
どこもかしこも絡み合わせて、互いを互いに刻み付けて。
そして共に崩れ落ちた。
さて。
ここは火渡邸、バスルーム。
「洗ってやる。こっちへ来い。」
「え・・・・・・・。」
「何をしている。早く来い。」
「い、いいって。自分で洗えるから!!」
「・・・・今日は俺の誕生日だったな。」
ニヤリ、とまた意地の悪い笑みを浮かべるカイ。
「・・・・!わーったよ!どこでも洗ってくれよ!!」
タカオは開き直ってカイの前にデーンと座った。
「・・たく、なんだよ。
どこの世界に誕生日に顔にアレ、ぶっ掛けさせるプレゼントがあるんだよ!!
でもって風呂では体、洗わせろー!だもんな、ったく。
でもって絶対「洗う」だけじゃすまねーし。このスケベ野郎!!」
タカオは文句たらたら。
「今日は・・・・。」
「分かってる!!カイの誕生日だ!!
でも・・・覚えてろよ?カイ!俺の誕生日は・・・・。」
「お前の誕生日は、俺を好きにしていい。」
「当然、そうさせてもらうぜ!!」
タカオは拳を握り締めた。
「・・・・で、お前の誕生日には俺をどうするつもりだ?」
「まず・・・・。」
タカオは思考を巡らせてみたが、すぐに赤面してしまって
今さっきまでの勢いがどこかへ吹き飛んでしまって。
「どうした?俺をどうするんだ?」
「え・・・えっと・・・・・・・。」
「・・・・どうしたんだ?ココ。硬くなってるぞ?」
そう言ってカイはタカオの中心を撫で上げて
「!!」
「こっちも・・・尖ってきた。ホラ、言ってみろ。俺をどうするつもりだ?」
そして胸の飾りも弄り始めた。
「だ、だか・・・・らっ・・!!」
「だから?」
泡にまみれたカイの手が、ある場所だけ執拗に洗い続ける。
「あ、・・も・・・・ッ、カイ・・・・っ!!」
なにはともあれ。
Happy Birthday!
end
最初は誕生日エロを書きたかっただけなのですが
どこでどう間違ったのか話が変な方向へ・・・(汗)。
カイにはこういう破壊願望みたいなのがあるんじゃないかと思います。
そしてサディスティックな性癖も、多分・・・。
カイファンの方、すいません!!私もカイ様大好きです!!
あの夕日のカイ様に一目惚れしましたから!!
まあ、話を戻しますと・・でもやっぱりこういう狂った部分もカイは持っているように思えてしまって。
それが暴走したのが無印ロシア編。
その後も、そういった部分が頭を擡げる事もあったんじゃないかな・・・・と。
そんな、ちょっと狂気なカイを書きたかったのと、
やっぱりカイを救うのはタカオしかいない!!というのが書きたかったのと・・・。
・・・そんなカイタカがやっぱり大好きだな〜と、書いていてつくづく感じました。
それにしても、この話は苦戦しました。
かなり長期の放置を経てようやく完成・・・よかった・・・完成できて(涙)。
それでコレか!と言わないで頂けると助かります。
それではここまで読んで下さり、ありがとうございました!
(2009.5.19)