夏。

どこの学校でもこの季節になると必ず行われる行事、キャンプ。

それぞれの学校で、適切な学年においてその行事が設定されている。
この話の舞台となる、この学校も例外ではなかった。

出来るだけ文明の利器を使わずに生活する。
食事一つをとっても
自らの力で火をおこし、飯盒でご飯を炊いて、何かしらの料理を作る。
この・・・自らの力で火を熾すのが、まず大変なのである。


「Aくん!頑張れ〜〜!!」
女の子の声援を受けてAくんと呼ばれたその少年は
先端が尖った木の棒を、両の手の平で回しながら板にこすり付けている。
「うおぉ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
しかし・・・。
火が起きる気配もない。
「ダメだ〜〜〜〜!!」
「ったく・・・だらしない!!」
「なんだよ、じゃ、お前やってみるか?」
「男子にできないものを私達ができる訳ないじゃないの!!」
と、少女B、Cが声をそろえる。
それに溜息をついた少年A。
「・・・こうなったら・・・・最後の手段だ・・・・。」
「何?」
「火渡に頼んで来い。」
少女達は複雑な声をあげた。
「なんだよ!お前達、「やった〜!火渡くんと同じ班だ〜〜!!」ってキャーキャー騒いでたじゃねーか!」
「だ、だって・・・火渡くん、カッコいいけど怖いんだもん・・。そっと遠目で見つめるくらいが丁度いいのよ。」
「なんだよ、それ!俺には言いたい放題なくせに!!」
「アンタには高貴なオーラなんかないもの。火渡くんにはあるのよ!!
高貴なオーラが!!気高く、近寄りがたいオーラが!!ああもうっ!!素敵・・・・っ!!」
少女達のそのキラキラと輝いた瞳は、恋に恋する乙女そのものであった。
「・・・・その素敵な火渡くんに頼んで来いよ。運が良かったら喋れるかもしれないぞ?」
そう言われて二人の少女は顔を見合わせた。
「そうね・・・もしかしたらお話できるかも・・・・。」
「そうそう!!行って来い!!」
「行ってきま〜〜〜す!!」
そうして。
半ば騙されるように、二人の少女はスキップしながら足取りも軽やかに、カイの元へ向かった。
彼女達が行ってしまった後、
「火渡に頼むなんて俺にはとても無理だし・・。あいつらが行ってくれて・・・助かった・・・。」
と、心からホッと胸を撫で下ろしている少年Aの姿があった。

「あ、火渡くん、いた・・・・。」
岩場の向こうに小さな滝。
そこの大きな岩の上に一人、本を読むカイの姿。
遠目で見ても、眉目秀麗。
当然、見た目だけではなく成績優秀、スポーツ万能。
木々の緑と小さな滝。
夕暮れの空、幾分柔らかくなった日差しに反射して滝からの水しぶきがキラキラと輝いて。
カイの姿はごく自然に、その美しい風景に溶け込んでいた。
「・・・いつ見ても素敵すぎる・・・・。」
「うん・・・・。何をしても絵になるよね・・・。」
恍惚の溜息をつき、キラキラの瞳で見つめながらも
やはりカイは彼女達にとっては恐怖の対象でもあった。
しかし意を決して、二人はカイの元へ向かう。
「あの・・・火渡くん。」
するとカイは本を読む姿勢は崩さずに瞳だけをそちらに向けた。
その瞳に射抜かれてしまった二人・・・いや、カイに「射抜く」つもりなど全くなかった。
ただ、自分の名を呼ぶ者があったので、そちらを見ただけに過ぎない。
少女達は勝手に「射抜かれ」て、そしてそれだけで胸が高鳴り頭がくらくらしてしまった。
しかし、そこで満足してしまってはいけない!
でなければ、その日の食事が食べられないかもしれないのだ。
「あ、あの・・・・読書中、悪いんだけど・・・・かまどの火がなかなか熾せないの。
悪いけど・・・・火を熾してくれないかな・・・。」
緊張の一瞬。
カイに話しかけるのは、決死の覚悟が必要なのだ。
しかし。
カイは少女Bの言葉を最後まで聞くこともなく、本へと視線を戻してしまっていた。
当然、カイからの返答は得られなかった。
「火渡くん!お願い!」
少女Cが少々大きな声でカイに迫るが
カイはパタン・・と本を閉じ、無言のまま彼女達のすぐ隣を通り過ぎ、そのまま森の中へ消えた。
カイの姿が完全に見えなくなってしまってから、二人の少女は緊張の糸が切れたのか
ヘナヘナ・・・とその場へ座り込んでしまった。
「やっぱり火渡くん、カッコいいけど・・・怖い〜〜〜・・・!!」
彼女達はカイに直接頼む事を諦めると、今度は現在先生のところへ食材を貰いに行っているタカオの元へ向かった。

「あ、いたいた!木ノ宮く〜〜〜ん!!」
遠くから自分の元へ走ってくる同じ班の女の子達に気付いたタカオは歩を止めた。
「・・・・・。どうしたんだ?そんなに走って。」
「あのね、実は・・・・。」
少女B、Cは必死に事の次第を説明する。
「アハハ・・・。アイツらしいな〜!」
「笑い事じゃないよ!ご飯食べられなくてもいいの!?」
「そりゃ、困る!」
「だからね、木ノ宮くんから火渡くんに頼んでくれないかな。親友の頼みなら聞いてくれるでしょ?」
「わかった。頼んでみるよ。」
そしてタカオと少女達は3人でカイの元へ。
「あ、いたいた!カイ〜〜!!」
タカオはカイを見つけると嬉しそうに手を振りながら走って行ったが、少女達は二人から少し離れたところで事の成り行きを見守る事にした。
「だからさ、火を出してやってくれよ。メシが食えなかったら、俺、死んじまう!」
「下らん。そんな事で朱雀を煩わせるつもりか。」

そんな二人を少し離れたところから見守る少女B、C。
「やっぱり仲いいよね、あの二人。私、火渡くんが木ノ宮くん以外と喋ってるとこ、見たことないよ。」
「・・・・そうだよね〜。先生相手でも火渡くん、あんな感じだし。」

「それに。朱雀を呼んだらかまどの火どころではなくなるぞ?
この山ごと業火に包まれても責任は取れん。」
カイは腕を組んだまま、なかなか「うん」と言ってはくれない。
「お前、まさかと思うけど・・・・コントロール、できねーの?」
「なんだと?」
「俺、できるぞ!?」
タカオはポケットからドラグーンを取り出した。
「見てろよ?・・・青龍、頼む。」
囁くようにタカオが青龍を呼ぶと、どこからともなくそよ風が吹いてきた。
「そよ風もハリケーンも、もう自由自在!!な、な、凄いだろ??」
大きな瞳を更に見開いて、タカオは自慢げだ。
「まさか、カイがそんな事もできないとは思わなかったな〜。
そうか・・・山火事は起こせても、小さな火とか、かまどの火は熾せないのか・・・・。」
タカオは心底驚いたように言う。
「ば、馬鹿!そのくらい、できるに決まっているだろう!!」
「じゃ、頼むよ!」
タカオはニコニコ全開だ。
「・・・・っち・・・。仕方がない。」
カイは立ち上がり、歩き始めた。
タカオもカイの後ろについて歩きながら、女の子達にウインクしつつ”グー”ポーズをして見せてくれた。
「やった〜!さすが木ノ宮くん!!」
そして女の子達もタカオと一緒にカイの後を追った。

さて、問題のかまどの前。
「カイ、これだよ。ここに火をつけてくれ!」
ニッコリタカオに溜息をつくカイ。
カイもポケットからドランザーを取り出した。
「朱雀・・・。」
すると、薪にポッ・・と火が灯った。
「ついた〜〜〜!バンザ〜〜〜〜イ!!」
カイ以外の班員は大喜びだ。
「で、さ〜。これでカレー作るんだけど・・カイ、ジャガイモの皮、むけるか?」
「・・・・・・。」
「まさか出来ないんじゃ・・・。」
「・・・剥けばいいんだろう!剥けば!!」
カイはタカオに渡されるまま、ジャガイモとピーラーを手にした。
「頼むよ!」
しかし。どうやって使えばいいのか、カイには分からなかった。
無言のまま立ちすくむカイ。
「・・・・これだからお坊ちゃまは・・・・。」
「・・・!」
「じゃ、使えるか?」
タカオは面白そうにカイに聞く。
「・・・・・。ど、どうすればいい・・・・。」
真っ赤な顔で消え入るような声で教えを請うカイ。
それを見守る少年A、少女B、Cはハラハラドキドキ・・・。
「いいか?これはこうやって使うんだ。」
タカオはみるみるジャガイモの皮を剥いていった。
まるで魔法を見ているようだった。
カイも見よう見まねでやってみた。
「・・・・剥けた!」
「そうそう!カイ、上手いじゃねーか!じゃ、ジャガイモとニンジン、頼んだぞ?」
そう言いながらタカオは玉ねぎやニンニクを刻み始めた。
そしてそれらを炒めて、まず玉ねぎを飴色になるまでじっくり炒める。
「で、出来たぞ?」
ジャガイモとニンジンを剥いて一口大に切ったものがザルに盛られていた。
初めてにしては美しいジャガイモにニンジンだった。
「さすがカイ。なんでも上手くこなすな〜!こっちも大体OKだ。さ、肉を炒めるぞ?」

傍目に見たら、まるで新婚夫婦だ。
「ねえ・・・。火渡くんと木ノ宮くんって、全く正反対の性格なのに、なんであんなに仲がいいのかな。」
「・・・初代ベーブレードの世界チャンピオンチームのチームメイトだった事は知ってる?」
「いくらなんでも、そのくらい知ってるよ。」
「だからじゃない?」
少女B、Cの会話に少年Aも参入してきた。
「俺、ベイブレード、結構好きだったから、あの時の試合、殆ど見てたよ。
最初はチームがギクシャクしてたけど、試合を重ねるにつれてだんだん・・・まとまってきたのがテレビを見ている俺にも伝わってきた。
いろんな事があったんだと思うぜ?
時にはぶつかりあったり、大喧嘩とかもしたかもな。」
「それを乗り越えて優勝できたから・・・確固たる信頼が生まれたって事?」
「そうだろうな。ヘタな青春ドラマみたいだけど・・・でなけりゃ、あの火渡とお調子者の木ノ宮じゃ、不釣合いにも程があるってもんだろ。」
「・・・・そうだね・・・・・・。」
3人はテキパキとカレーを作っていく、カイとタカオをただ、見守っていた。
楽をしたかった、という訳ではない。
彼らが間に入ったら、カイは間違いなくどこかへ行ってしまうだろうし
何よりも。
この珍しい、貴重な光景を見ていたかった・・・・のかもしれない。

それにしても。
カイとタカオは性格は正反対。
そしてタカオもタイプは違えど、それなりに整った容姿をしている。
誰にでも明るく笑顔で接するタカオ。
天真爛漫で人を惹き付けずにはいられない天性のものが備わっていて・・・
要するに、カイとは全くタイプが違うが、タカオもかなり!女の子から見たら憧れの対象だったのだ。
そのカイとタカオがこんなにも仲が良くて。
一人だけでも魅力的過ぎて目立つのに、ニ人揃ったら尚目立つ。
そしてこの二人に告白した女の子は数知れず、モテモテであったのに
誰一人OKの返事は得られていない。
カイは告白など当然無視。
一世一代の勇気を振り絞って告白しているというのに立ち止まってさえもらえず
すぐ横を通り過ぎられてしまう事も多かった。
タカオは一応話は聞くものの、「俺、好きな人いるから・・・。」と必ず言うという。
カイはともかく・・というより、あのカイが女の子と一緒にいる所など想像も出来ない。
では、タカオの好きな人とは一体誰なのだろう?
この学校の人ではないのだろうか?
何しろベイブレードの世界チャンピオンだ。
ベイ絡みではかなり付き合いも多いだろう。
彼女達が知る由もない、どこかの国の可愛いブレーダーなのだろうか。




そうして。
無事、出来上がったカレーを皆で食べた。
こうやって野外で食べる料理はただでさえ美味しく感じられるものだが
このカレーライスは特に美味しかった。
その後は皆で後片付けをして・・夜は恒例のキャンプファイヤー。
燃え盛る炎。
空には満天の星。天の川。
感動的な時間。

それらが終わると、各自テントに戻り眠る事となるが
しかし消灯時間を過ぎても、こっそりお喋りをしたりトランプ等で遊んだり。
そして先生に見つかって怒られて、仕方なく大人しく眠りに着く。
毎年毎年、どこの学校でもどんな出来た生徒でも、やる事は同じ。
消灯時間もかなり過ぎた頃、ようやく生徒達は眠りにつき
先生達も悪ガキどもの世話に疲れ果てて、ぐっすりと眠る。

しかしあるテントでは。


皆が寝静まった頃。
「・・・・・。」
カイは無言のまま起き上がった。
隣にはタカオが高いびき。
その向こうでは少年Aがスヤスヤ寝息を立てていた。
カイはタカオの寝顔を覗き込み、そしてゆっくりとその端整な顔を下ろしていく。
タカオの唇に触れ舌を差し込もうとしたら・・・・。
するとようやくおぼろげに目を覚ましたタカオ。
「・・・・カイ・・・・?」
「黙ってろ。眠っていてもいい。寝ていられればの話だが。」
「カ・・!ダメだって!Aが起きちまう!」
タカオは完全に目を覚ました。
「心配ない。完全に眠っている。お前が大きな声さえ出さなければ大丈夫だ。」
「・・・。」
「最近はなかなか時間が取れず、すまなかった。
しかし学校側の配慮で・・今日も明日も明後日も・・寝所をお前と共にできる。」
学校側の誰も、そんな配慮などした覚えはないだろう。
「キャンプなど下らんとは思ったが、この点だけはありがたいと思っている。」
「カイ・・・。でも学校はこんな事、想定してなかったと思うぜ?」
「学校側の思惑など、知った事ではない。」
「・・・ホント、お前って結構、自分勝手だよな・・・。」
カイは二人きりになると我侭なスケベ野郎に豹変する事など
学校中の誰一人として想像すら出来ないだろう。
時々耳にする噂を思い出すと、その差
あまりにも大きすぎるその差にタカオは思わず吹き出してしまった。
「・・・どうした。」
「い、いや。お前、今日BやCに火をつけてくれって頼まれたのに無視しただろう。」
「それがどうかしたのか?」
「いや、あいつら、怖がってたぜ?お前の事。
カッコいいけど怖い〜ってさ。
だから・・・さ、みんなカイを誤解してるなって思っただけだよ。」
「・・・。別に俺は分かってもらいたいなどと思った事はない。
お前さえ分かっていてくれれば・・・・それで十分だ。」
カイの顔が再び降りてきた。

───お前さえ分かっていてくれれば・・・・・。

そう言われて、タカオはドキッ・・と胸が高鳴った。
意識して出た言葉なんだろうか?それはタカオにとって、最上級の愛の言葉。
カイの一言で、カイのふとした仕草だけでこんなにも嬉しく幸せになれるなんて。
カイが好きだ・・・と再認識してしまう瞬間だった。
そして再び重ねられた唇。
久しぶりだった。
学校では毎日会えるのに、言葉は毎日交わしているのに
触れ合う事ができない日々。
人目を憚り、校舎の影で抱きしめられた事もあったが
きちんと交わる事が出来ずに一体何日過ぎていたことだろう。
だから。
今、タカオの上にカイが覆いかぶさり唇を舌を交わして・・・・そしてその後は当然・・・・。
それはとても幸せで嬉しい事であるはずなのだが、しかし。
「カイ・・いくらなんでもダメだって・・・。」
「何故だ。」
「・・・・・・。何故って・・・・お前な〜!」
タカオは呆れるが
「Aは問題ない。起きる気配もない。心配なら猿轡でもするか?」
「ええっ!?Aに?」
「馬鹿。お前に、だ。
そもそも、そんな事したら間違いなくAは起きる。
それともAをわざわざ起こして猿轡をした上で見せ付けるようなセックスがシたい、というなら考えんでもないが。」
淡々と、ものすごい事を言ってのけるカイ。
「・・・・あーもう!!「クールでカッコいいけどちょっと怖い、高貴な王子様の火渡くん」の実態はこれだよ!!この変態野郎!!」
「・・・・言いたい事はそれだけか?」
不穏なオーラを発しつつ笑むカイを見て、タカオはしまった!と後悔するが、もう遅い。
「元気でお調子者の木ノ宮くんはうるさいな・・・少し黙ってもらおうか・・・・。」
カイはタカオを見つめた。
美しく澄んだ紅い瞳。
その脅迫とも取れる言葉とは正反対に、その瞳はタカオへの愛情に溢れていた。
ああ、こんなふうだから・・・カイは誤解されるんだ・・・。
とタカオは思う。
カイは本当はとても優しい。
それはただ、甘やかすだけの見せかけだけの優しさではない。
真に思ってくれているからこそ、キツイ言葉も出てしまう。
その言葉をきちんと理解したら・・・カイは誰よりも・・・ずっと優しいのに。
そう思いながら、タカオはどこまでも深い蒼を閉じた。
触れ合う唇。
柔らかい・・・・そして温かい。
ああでも・・・。
と、タカオは思い直した。
学校では殆ど口もきかないから、キツイ言葉も優しさも伝わりようもない、か・・・と内心苦笑する。
カイはいつも孤高の存在。
その崇高な背を見て、いつも「カイに恥じないようなバトルを。」と思い続けてきたからこそ
勝ち続けることが出来た。
カイがいたから・・・・・。
俺達は、たまたま長い間行動を共にするチームメイトだったからこそ、わかり合えた。
もし・・・・カイと普通に学校で出会ったら・・・・
それでも俺はカイを好きになったろうか?
「・・・・。何を考えている。」
ハッ・・とした。
そして言うべきか言わざるべきか迷った。
が、しかし・・・。
こういうことに関してカイはとても勘がいい。
別に隠す事でもないしタカオは普通にその疑問を口にしてみた。
「お前ってさ、クラスメートとかと全然喋んないけど・・もし、ただのクラスメートとしてカイと出会ったら・・・・どうだったんだろう?って考えちゃっただけだよ。」
「・・・・・。」
「お前、全然関わろうとしないだろ?・・・普通に俺とクラスメートだったとしても・・・俺とも関わろうとしなかったんじゃないかって・・・考えちゃったんだ。」
「何を言うかと思えば・・。下らん。」
思った通りの反応。タカオは内心苦笑してしまった。
「・・・木ノ宮・・・・。俺ははじめてお前に会った時、無性に腹が立った。」
「・・・。」
「お前のように何にでも前向きで能天気なヤツが俺は一番嫌いだったからだ。」
「・・・・・。」
「普通にクラスメートとしてお前に出会ったとしても、間違いなくお前に腹を立てただろうな。
そして思いきり踏み潰したくなった事だろう。」
これが普通のカップルならば「どんな状況で出会っても俺は必ずお前を好きになる!」と言う所だろうが。
やっぱりカイだな〜、とタカオは思った。
「必ずお前を好きになる」等、歯の浮くようなセリフとは正反対のカイの言葉だったが
タカオはなんだか嬉しくなってしまって。
「そこから発展したかどうかなど、考えるに値しない。
確かな事は。
俺とお前はあの時、あの川原で出会った。
そして世界を共に旅しながらベイの頂点を極めた。
そして・・・こういう関係になった。
これを俺は偶然が重なった結果だとは思わない。」
「偶然じゃ、ない・・・・。」
「・・・・。「もし・・」など下らん。「運命」などという言葉はもっと下らない。
今現在俺達はこうなっている。それが全てだ。」
カイは決して嘘はつかない。真実しか語らない。
例えタカオが相手でも、相手を喜ばす為だけの口先だけのセリフは決して言わない。
そんなカイをタカオは好きになった。
「そうだな・・・。つまんねー事言って悪かったな。」
タカオはニッコリ笑った。
そして付け加える。
「俺、やっぱりそんなカイが大好きだ。そのすんげー不器用な所も。」
「ぶ、不器用だと?」
「ああ!カイってさ、ただでさえスッゲー、カッコいいし成績優秀、スポーツ万能。
皆からの尊敬の念は普通じゃないぜ?
そのカイがさ、もっと上手に言葉を選んで行動したら
相手を喜ばしたり自分に有利なように事を運ぶなんて事、簡単なんじゃねーの?
でもそういう事、お前絶対にしないだろ?
それどころか逆に自分を窮地に追い込んじゃう所があるし。
でもそれでもキッチリ結果を出して。
自分にも他人にも嘘がつけない。
それが自分にも他人にも有利な嘘でも。
俺、そんなカイが大好きだ!」
「・・・・・。それは褒めているのか?」
カイの表情は複雑だった。
でもタカオにはそれがなんだか可笑しくて。
「さあな。そんな事より続き、シてくんねーの?」
「・・・・。気が変わった。」
「え!?」
まさかタカオが面白がった事でカイを不機嫌にさせた?抱く気が失せた?と思ったら。
「違う。こんな所で声を殺してこっそりスるのは止めた、と言っているんだ。出るぞ。」
タカオは心からホッとした。
そして向かった先は。

昼間、カイが読書していた滝の岩場。
「ここって・・・・。」
「俺がサボって読書していた場所だ。ここなら多少声を出しても大丈夫だろう。」
なるほど、小さいが滝が流れ落ちていて水音が響いている。
そして大きな岩がゴロゴロとしていて横になるのにちょうど良いものも幾つかあった。
「ここでいいだろう。」
「あのさ、カイ・・・。」
「なんだ。」
「まさかとは思うけど、昼間、お前がここにいたのって・・・・スル場所を探していたんじゃ・・・・。」
するとカイはニヤリ、と笑った。
「よく分かったな。」
「・・・・やっぱり差がありすぎる・・・みんな、カイの実態を知ったら驚くぞ・・・・。」
「なんだ、その言い方は。俺は別に隠したりなどしていない。」
「そりゃ、そうだけどさ。」
カイは鋭く端整な顔立ちをしていて、無口で、やる事なすこと完璧で
そして洗練された立ち居振る舞い。
そんなカイの様子を見ると、誰もがカイに完璧な王子像を見るのだ。
カイがもし、ほんの少しでも優しい言葉を吐いたなら、笑顔を見せたなら。
そんな想像をしただけで女生徒達はクラクラと眩暈がしてしまうのである。
昼間も、少女B、Cがカイを見つけた時は
「世間の雑踏を避けて静かな場所で読書をしていた火渡くん。」
「大自然の中、難しい言葉の並ぶ本に視線を落すその姿は、まるで一枚の絵のように美しい。」
しかし実は。
カイはそこでスルための場所を探していただけだという。
タカオはクスクスと笑うが、気付くとカイの顔がすぐ傍にあって。
タカオは思わず息を呑む。
やっぱりカイはカッコいい・・・カッコよすぎる・・・・。
女の子達が騒ぐのも理解できる。
男の俺が見たって・・・こんなに・・・・整った端整な顔立ち、鋭い目、紅い瞳。
その紅い瞳を薄く閉じつつ近づいてきて、タカオも瞳を閉じた。
ああ、なんてあたたかで柔らな・・・そしてなんて優しい唇付け。
愛情が、慈しみが唇を通して伝わってくる。
ただ、唇が触れているだけなのに・・・・・。
カイの舌が進入してくる。
タカオも舌を差し出す。
触れ合い摩り合い、そして絡め合うと体中に電流が流れたように痺れてしまう。
たかがキスに酔った?
それともこれから久しぶりに抱かれる事に期待して?

カイはタカオの体をゆっくりと横たえた。
「少々痛いかもしれんが・・・。」
「ん、大丈夫。」
大きくて平らな岩の上。
見上げるとカイが柔らかな笑みを浮かべ、タカオを見つめていた。
カイの姿の遥か彼方では満天の星。天の川。
あ・・・今・・・流れ星・・・・・・。
滝の音と、落ちてくるんじゃないかと思うほどの星、星、星。 
カイはタカオのTシャツを捲り上げながら首筋に唇を落す。
胸に指を這わせ乳輪を辿ると
「あ、・・・っ!!」

  久しぶりすぎるから?こんな大自然の中だから?外気に触れているから?
  カイが触れた先が・・・たまらなく・・・・熱い・・・・・・。

「あ、カ・・・カイ・・ッ!!」
タカオはたまらず、カイにしがみつく。

  熱い・・・体が・・・・まだ殆ど触れてもいないのに・・・・。

カイの唇が胸へ落とされる。
乳首を丹念に舐め上げ、吸い上げ
もう片方の乳首は指で触れて

  感じてしまう・・・体中に痺れが走って・・・まだ胸なのに、もう何がなんだか・・・・!!
  どうしよう・・・?このままじゃ・・・・!!

「カ、カイ!ダメ・・どいて・・ズボン・・とって、あっ!!」
タカオが自らズボンを脱ごうとしていたので少々驚いたカイだが
いつもと異なる、尋常ならざるタカオの様子に、カイはその手助けをしてやった。
腰に手をかけ、下着ごとズボンを引きずり下ろすと。
「ダ、ダメ・・もっとゆっくり・・・・あ、っ!!」
脱がされる時、下着がタカオのソレをこする事になり
たったそれだけの、普段ならなんでもない刺激なのに。
「や・・・・っ!!」
ビュクッ・・・・・!!
勢いよく放たれてしまった、タカオの精。
それがカイの頬を掠めたようで、カイの頬に白い液体が一滴、流れていた。
カイは瞳を見開いて暫く呆気に取られていたが
頬を指で拭い、指についた液体をぺロリ・・・と舐めて見せた。
「どうした。まだ触れてもいないのに。」
揶揄するようにニヤリと笑うカイ。
タカオはカアァ・・・・と顔を真っ赤に染めた。

  逃げ出してしまいたい!!
  恥ずかしい・・・・恥ずかし過ぎる!!
  たったアレだけで・・・イっちゃうなんて!!なんてこった・・・!!

恥ずかしさのあまり、前後不覚、必死になって頑なに手で顔を隠すタカオだが、カイは。
「気にする事はない。」
カイはゆっくりとタカオの手を取った。
「やっ・・・!!」
しかしタカオはその羞恥ゆえ、手を引っ込めようと暴れ、パニックに陥ってしまって。
「気にするなと言っている。」
カイは嫌がるタカオの手をとって、そのまま自らの中心に運んだ。
「俺も・・・同じだ。」
衣服の上から見てもハッキリとわかる。
触れれば尚の事。
カイのソコは硬く大きく姿を変えていた。
「俺も・・・限界だ。」
「カイ・・・・。」
ようやくタカオは落ち着いてカイを正視できた。
「いきなりで悪いが・・・入れていいか?」
「・・・・・・。」
「久しぶりだから丹念に、と思ったが・・・俺も・・・これ以上は我慢できない。」
カイも同じだと知って、ようやくタカオの表情に柔らかいものが戻ってきた。
それをカイは「Yes」と受け取って。
先ずは解そうとタカオの足を高く上げるが
「カイ、大丈夫だから。もう準備できてるから。」
そう言われて軽く指を押し込んでみると、タカオの中は既に収縮を繰り返し濡れていた。
「・・っ、俺も・・・早く・・欲しい・・・・・。」
俺も、同じだから・・・・・。
タカオの瞳がそう言っていた。
カイはフッ・・と笑むと、Tシャツを脱ぎ捨てた。
タカオはカイが上着を脱ぎ捨てる、その仕草が好きだった。
なんていうか・・・とても男っぽくてセクシーで。
上着を脱ぎ捨てるとそこに現れるのは鍛え抜かれ、程よく筋肉のついた綺麗な男の体。
その一挙一動に、いつも見惚れてしまうのだ。
そしてタカオが見惚れていると、カイはタカオのソコに自らを宛がい・・・。

  早く・・・カイが欲しい。
  早く・・・タカオが欲しい。

  想いはいつも同じだから・・・。

カイは自らをタカオの中に押し進める。
想いはいつも一つだから・・・今度は肉体も一つになる為に。
「カイ・・・・カイ・・・・っ!!」
カイが圧し入るごとに、想いも高まって。

  もっと、もっと来て・・・・もっと奥まで・・・!

  今、最奥にカイが・・・届いた・・・・・。

  ああ、この感じだ・・・。
  カイが中にいる。俺の中にいる・・・・。

「カイ・・・・。」
タカオはカイの背に回した手に力を込め、掻き抱くと自然に涙が零れてきて。
「・・・馬鹿・・何を泣いている。」
「・・・だってさ。久しぶりだし。星はあんなに綺麗だし。
幸せって・・・こういうのを言うんだな、ってしみじみ感じちゃって。」
涙を流しながら笑うタカオが心から愛おしくて。
その魂ごと、体ごと、もうタカオの全てが何もかもが愛おしくて。
カイはその涙を唇で受けた。
「・・・しょっぱいな。」
そう言われてタカオがへへっ・・と照れくさそうに笑う。
「動くぞ?」
「うん。」

ギリギリまで引き抜かれ、そして最奥を目指して突き上げる。
「あ、ああ・・・っ!!」
そしてもう一度・・。
「・・・っ、・・・あ!!」

グチャッ!・・ズチャッ!
響く水音、タカオの鳴き声。

久しぶりすぎる逢瀬。
邪魔な衣服などない、なんの隔たりもなく肌と肌が触れ合えて
あたたかくて・・・・・・。
抱きしめるカイの腕。
タカオもカイの背に手を回しきつく抱きしめて

もっと、もっと強く抱きしめて。
折れそうなくらい・・・壊れそうなくらい強く・・・・・。

カイの肩に顔を埋めると、懐かしいカイの匂いがして・・・・。

そこへは容赦なく打ち込まれるカイ自身。
打ち込まれる度、引き抜かれる度
狂おしいほどにカイを求めるタカオがいて。
甘美な痺れと愛おしさと・・・。

もっと、もっとカイを感じたい、感じさせて。
もっと、もっと・・・・!

うっすらと瞳を開ければ、先程も見た満天の星。
落ちて来るんじゃないかと思うほどの星、星、星。
綺麗だ・・・・とタカオはおぼろげに思った。
滝の流れ落ちる音、水しぶき。
そして静寂に包まれた森。
フクロウの鳴き声。

自然はこんなにも美しい。
そして自然のままに交わりあう二人も・・・・・。

幸せだと・・・・タカオは心から思った。

カイを愛している。
カイも愛してくれる。

本当に、幸せだと・・・・・・・・・。




















翌朝。

生徒達はのそのそと起きはじめ、顔を洗い
そして朝食の準備に取り掛かろうとしていた。

そう、またしてもかまどに火を熾さねばならない。
少年Aは最初から諦めて言う。
「・・・・火渡は?あ、でもアイツに頼むには先ず木ノ宮か。頼んで来てくれよ。」
少女B、Cは、どちらにしても学校一の憧れの的である二人の所へ行くのに不満を漏らす筈もなく。
上機嫌で先ずはタカオの元へ向かった。

「あ、いたいた。木ノ宮く〜ん!」
しかしタカオの様子が何かおかしい?
いつも元気に走り回っているタカオだが、どこかドヨ〜ンと落ち込んでいて
その背中には疲労が色濃く見えて。
あれ?と思いながらも少女達はタカオの元へ駆け寄った。
振り返るタカオ。
「ひ!!」
目の下にくっきりと隈が、そしてそのやつれきった表情は普段のタカオからは想像もできない。
「ど、どうしたの?」
「どーしたって?何が。」
返事にも明らかに覇気がなく。こんなタカオを見るのは初めてだった。
「あ、あのね、火渡くんに・・・。」
「カイに?」
とタカオが言った瞬間、木の根元に躓いて盛大に転んでしまって。
「だ、大丈夫??」
「イ、イテテ・・・。あ、平気、平気〜。で、カイが・・なんだって?」
「木ノ宮くん、昨日眠れなかったの?すごい隈だよ?」
「いや、大丈夫だから。」
タカオは起き上がろうとしたのだが
転んだ時に腰を打ったのか、またペタンと座り込んでしまい・・・。
「き、木ノ宮くん!!」
「あ、俺は大丈夫だから。それよりカイは多分頼めばやってくれると思うから、行って来いよ。」
「え!?」
少女達はさすがにひるんでしまった。
昨日は見事に無視されてしまった事もある。
「大丈夫だから。ホラ、あそこにカイが・・・。」
少女達は一瞬迷った。
タカオはなにやら起き上がるのも大変そうだ。
タカオを抱えて起き上がらせて肩を貸しながらカイの所へ向かう、というのも美味しい案だが
しかし今は何よりも早く朝食の準備がしたかった。
タカオの手助けをしつつカイの元へ行くより、今走って行って頼んだ方が当然早い。
カイの大親友であるタカオが「大丈夫、やってくれる。」と言っているのだ。
恐らく昨日、タカオがカイに言い含めたのだろう。
だとしたら、例え一言でもお話できるかもしれない!!
少女達の脳内は既にピンク一色だった。
「じゃあ、行って来る。木ノ宮くん、無理しないで、ゆっくりでいいから・・後で来てね。」

そしてカイの元へ走った少女達は、早速頼んでみた。
タカオが太鼓判を押してくれたとはいえ、やはり緊張の一瞬であった。
が、しかし・・・・・。
「そうか。わかった。」
火渡くんが承諾してくれた?
しかも一言とはいえ、お話できた!?
ヤ、ヤッタ・・・・・!!
少女達は感激の涙を流した。
そして今なら火渡くんともっとお話できるかも?と思った少女B、Cは慌ててカイの後を追う。

「朱雀・・・。」
昨日と同様、カイは一瞬で薪に火をつけた。
「やった〜〜!!さすが火渡くん!!」
「ところで木ノ宮くんだけど・・昨日寝られなかったみたいだね。さっき見たらすごい隈作ってた。」
「は?木ノ宮なんて一番最初に高いびきだったぜ?」
と、少年Aが真っ先に答えると少女B、Cにギン!と睨まれてしまって。
少女達はカイと話したかったのである。少年Aなどお呼びではない。
少年Aは引き攣った笑顔を浮かべつつ、事の成り行きを見守っていたらタカオが現れた。
しかし・・なにやら歩き方がおかしい?
「あ。木ノ宮くん!」
その一言でカイがそちらに目を向けた。
明らかに変な歩き方である。
それを見たカイがフッ・・と微笑んだ。
そしてそんなカイの顔を間近で見ていた少女B、C。
少女達は互いに肘で突付きあい「見た?」「見た〜!!」と視線を交わす。
滅多に拝めるものではない、カイの笑顔。
黙っていても最高にカッコいいけど、笑った顔はもっと!!カッコいい〜〜〜〜!!
と、少女達は歓喜に打ち震えた。
カイと言葉を交わす事が出来て、しかも笑顔まで!
最高に上機嫌の少女達はタカオに声をかけて気遣ってみた。
勿論、タカオとカイの会話に自分達も入る、という策略である。
今なら成功する、そんな気がした。
「大丈夫?木ノ宮くん。やっぱりさっき腰を打った?先生の所へ行って、湿布貰ってこようか?」
当然、その使い走り役は少年Aに押し付ける予定である。
「あ、大丈夫大丈夫!コレはそんなんじゃないから。」
「フン・・・鍛え方が足りんな。」
したり顔で言うカイに、タカオは。
「な、なんだと〜〜〜!?誰のせいで・・あ、いや・・・イ、イテテ・・・・!!」
「誰のせいだというんだ?木ノ宮?」
意地の悪い笑みを浮かべながら、更に言うカイ。
「・・・・ンの野郎〜〜〜・・、覚えてろよ・・・?いつかきっと・・必ず・・・!!」
拳を握り締め、ブツブツ文句を言うタカオに、何故か上機嫌のカイ。
痴話喧嘩みたい・・・と思いながらも
目の前で繰り広げられるやり取りに幸せを感じてしまう少女達。
時々それに口を挟めた時の喜びと言ったら!!
そしてこんなに喋るカイに、驚きを隠せない少年A。



その朝食準備の、ちょっとした隙
二人きりになった瞬間にコソコソ交わされた怪しげな会話。

「いつまでそんな歩き方をしている。やはり鍛え方が足りんな。」
「・・・・ったりめーだろ!?岩の上で5回もサれたら、誰だってこうなるっつーの!」
「幸せだって、しみじみ言って涙まで流していたのは、どこの誰だったかな。」
「・・・だっ!!あれは!!・・・いくらなんでも5回もスルとは思ってねーだろーがっ!!
っつーか、お前、アレが尽きないのか?」
「尽きる訳がなかろう。鍛え方が違うからな。」
「・・・鍛え方って・・・どんな鍛え方を・・どこ鍛えてんだよ・・・。」
「では今日はトレーニングの意味も含め7回はシなければ。」
「な、ななかい・・・・??やめてくれ、死んじまう・・・・・!!」
「夜が楽しみだな。」
「俺は起きないからな?絶対最初に眠ってやる!!で、お前に何されようと起きないぞ!!」
「寝ていたければ寝てればいい。そのほうが好きに出来ていいかもしれん。しかし、どうなっても・・・例えばAが目覚めても・・・俺は知らんぞ?」

そう言われれば、折れるしかないタカオがいた。


カイは絶対、高貴な貴公子や王子様なんかじゃない!!
ただの変態、ドスケベ、絶倫野郎だ!!
と、言触らして回りたい衝動に駆られてしまうが。

そんな事は出来る筈もない。



結局タカオは。
カイのそんな部分も、何もかもひっくるめて好きなのだと・・・思った。

そしてなんだかんだと言いながら、今日もカイに抱かれるのだと思うと・・・・。
やっぱり喜びを感じずにはいられなかった。


キャンプはあと二泊残っている。
まだ始まったばかりだ。

まだまだいっぱい、思い出を作ろう。
幸せな思い出を、楽しい思い出を。


これからの人生、まだまだいっぱいカイとの思い出を作るだろうけど
それでも、このキャンプは人生でただの一度だから。






飯盒や鍋から湯気が立ち上る。
あっちでこっちで生徒達がふざけながら朝食の準備をしている。
美味しそうな匂いがしてきて食欲をそそられる。

朝日が木漏れ日がキラキラと輝いて、とても綺麗で
今日も良い天気。

今日は川遊びの予定が組まれている。
川遊びって、もしかしてあの滝のことかな・・・・。
そして夜は肝試しだ。

そんな事を考えながら。





皆が楽しみにしていた
キャンプ第二日目が始まった。



















end


何かのアニメを見ていたら、学校のキャンプのシーンがあって。火をおこすのが大変そうで。
カイがいたら一発でつけちゃうだろうけど、「フレイムセイバー!」なんて言われたら
周囲無茶苦茶で食事の準備どころか・・・しかも山火事付き・・・悲惨だ〜!
そもそもカイは簡単には火なんかつけてくれないぞ??
普通に普通のクラスメートが頼んでも無視するぞ?怖いぞ??どうする〜〜??
って所から妄想が発展しました。
無駄に長いしHシーンは中途半端だし申し訳ないのですが・・・。
でも学校行事中のカイタカは書いていて楽しかったです!!
他にも・・夏の夜、外でそんな事したら蚊に刺されて大変だろうな〜
蚊取り線香たいてヤるのかな〜?と思ったり
事後は水遊びで綺麗サッパリ!!勿論タオル持参vv
蚊取り線香にバスタオルに・・用意周到vvってのも妄想したんですが、無駄に長くなるだけなので止めました。
あ、そうそう。学校は中学か高校だと思いますが、特に決めていません。
お好きな年齢でお楽しみ頂ければ!(・・すみません・・・)
カイとタカオが同じ学校って、頭のレベル的、金銭的にはあり得ませんが、その辺はご容赦願います!
それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました!!
(2009.9.15)



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