中国の奥地。
少数民族がまばらに住む、山々が連なる地。
ある岩場で黙々と作業をする若者がいた。
傍に広げたシートには不思議な形の出土物が並んでいる。
それをルーペで熱心に観察していたその青年は、満足げに溜息をついた。
「・・・・・・。やっと・・・・・見つけた・・・・。」
そしてそのまま地面に寝転がり、空を見上げた。
満足のいく結果を得て満ち足りた気持ちで。
青い・・・・夏の青空は・・・どこまでも青かった。
青・・・・・蒼・・・・・・・。
蒼いものを見ると・・・どうしても思い出してしまう。
俺の大事な弟。
「行っちゃやだぁ!」
「勝ち逃げするなんてズルイ!!」
「勝つもん!ぜったい強くなって勝ってみせる!!」
「仁にいちゃ〜〜ん!!」
仁はまだ幼かった小さなタカオを思い出し、自然口元が緩んだ。
小さかった可愛い弟。
いつもまとわりついて、飛びついてきて。
頭を撫でてやると照れくさそうに最上の笑顔を返してくれた。
俺は・・・タカオが傍にいれば、それで幸せだった。
久しぶりに会ったタカオは随分大きくなって生意気になっていたが
昔の面影はそのままだった事もあり、かえって可愛く思えてしまって・・・。
とはいえ・・・。
ベイも、心も・・・・随分・・・・いや相当と言うべきだろう。
強くなったな・・・・。
仁は少し前のBEGA戦を思い浮かべていた。
お前にはもう・・・・保護者は必要ない・・・・。
強くなれ、タカオ・・・。
掛け替えのない仲間と共に・・・・。
そして少し自嘲気味に小さく笑み・・・・そのまま意識を手放した。
「・・・・・・・。ったく・・・・ようやく見つけたと思ったら・・・・いい気なもんだぜ。
・・・・・仁兄ちゃん・・・・起きてくれよ!!起きろったら・・!!」
いい気持ちで眠っていたのに、ゆさゆさと揺さぶられて、不機嫌そうに目をこする。
「ん〜〜〜〜・・・・・。」
「おい!!起きろったら!!仁兄ちゃん!!」
「はっ・・・!!」
聞き覚えのある可愛い声に、仁は完全に覚醒した。
「タカオ・・・・・。」
やっと起きて自分に気付いてくれた兄を見て、タカオはニカッ・・と笑った。
「お前、なんでこんな所に・・・・・。」
「そりゃ〜ね〜だろ!?
ブルックリンとのバトルが終わって仁兄ちゃんを探してみたら、もう旅立ったって言うし。」
「・・・・・。」
・・・・・・・・。
「やっと兄ちゃん、帰ってくると思って・・・たのに・・・・。」
「・・・・・!」
「俺・・・・今度こそは・・・・・仁兄ちゃんに・・・褒めてもらえると・・・・・思ったのに・・・・・・・・!」
タカオは今までの事
あのBEGA戦の事や、
大転寺会長やBBAチャイナの協力があったとはいえ
中国の山奥をたった一人で兄を捜し歩いたことに思いを馳せて
そして今、目の前に最愛の兄の姿を見て・・・・感極まってボロボロと涙をこぼしていた。
「タカオ・・・・・・。」
大きくなったタカオ。
その姿に、いつも自分の事を追っていた小さなタカオの姿が重なる。
「ったく・・・・図体はでかくなったのに・・・甘えん坊な所はちっとも変わってないな。」
そう言ってタカオをそっと抱きしめた。
「だって・・・仁兄ちゃんが・・・突然いなくなるから・・・・!」
タカオも仁にしがみ付いた。
「・・・・悪かったな・・・・・。」
「ん・・・・・・。」
「突然いなくなった事だけじゃなく・・・BEGA戦の事とか・・・・。」
「・・・・。いいよ、もう・・・・。最初はビックリしたけど・・・・すんげーワクワクしたし。
アイツ等とのバトルは楽しかった!」
「・・・・・本当に強くなったな。タカオは。」
その顔は、監督だったころの厳しいモノではなく
タカオのよく知る・・・優しい兄の笑顔だった。
仁は昔のようにタカオの頭をよしよし・・と撫でてやると
タカオは本当に嬉しそうにニッコリと笑った。
「俺・・・・仁兄ちゃんに褒められるのが・・・一番嬉しい・・。会いたかった・・・・。」
タカオは今自分の頭を撫でていた仁の手を両手で取り、
そのまま仁の手のひらをタカオの頬に当てて幸せそうに仁の存在を確かめていた。
タカオの頬は昔と変わらず柔らかだった。
だが、それだけではない・・・何かが突き上げるような衝動を感じ、仁は慌てて手を引っ込めた。
「と・・・ところでお前、今日はどうする気だ?もう、じき日は暮れる。こんな所にホテルはないぞ?」
「どう・・・って・・・・・。なんにも考えてないよ。仁兄ちゃんと一緒に寝ていいだろ?」
「おまえな〜〜!!俺に会えなかったらどうする気だったんだ!!」
「その辺で野宿vv。アレ、結構気分いいもんだな〜v。」
そしてお気楽そうにケラケラと笑った。
仁は眩暈がしそうになった。
その辺って・・・・ちゃんと今まで安全確認した上で野宿したんだろうか??
獣に襲われたりしたら?悪いヤツに襲われたら・・・・。
こんなに可愛いんだから・・・全く少しは自己防衛を・・・!!
仁は・・・・生涯・・・自分のタカオへの過保護ぶりは・・・治りそうもないと・・この時改めて気付いたのだった。
その日の仕事としては十分過ぎるほどの成果を得ていたので
仁は仕事を早々に切り上げることにした。
ジープに乗って少し行くと、美しい湖のほとりへ到着する。
「うわ!綺麗な所だな〜!!」
湖面は美しく澄み渡り、山や空をそのまま映し出していた。
「だろ?ここなら水もあるし、魚も豊富だ。」
見ると澄み切った水の中には魚が何匹も泳いでいた。
「さあ、テントを張るの、手伝えよ?」
「うん!」
車から色々と運び出して、恐らく仁が作ったのであろう、石造りのかまどの傍にテントを張った。
タカオは仁との共同作業が楽しくてたまらない。
兄弟なのに、大好きなのに・・・今まで共に過ごした時間は極僅か。
「なあ、仁兄ちゃん、水浴びしね〜?」
「は!?」
「いいよな〜どうせ誰も見てねーし。水着なくても。」
「え・・・ちょ・・ちょっと待て・・・!わ〜!!」
と言っている傍から、タカオは服を次々脱ぎ始めて湖に飛び込んでしまった。
ジャッボーーーーン!!
「ぷは〜〜〜!気持ちい〜!仁兄ちゃんも早く〜〜!」
「ま・・・・待てって・・・・。」
タカオは仁の複雑な想いなど気付くはずもなく平気で裸になる。
仁は密かに溜息をついた。
そう・・・。それが当たり前。
異性の兄妹ならいざ知らず、男同士の兄弟なら・・・・意識する方がおかしい。
必死で動揺を封じ込める。
そして湖から上がったら、いくら夏とはいえ寒いだろうと、かまどに薪の準備をはじめた。
無駄な抵抗と分かっていはいたが、せめてもの時間稼ぎである。
準備しながら気がつくと・・・・泳ぐタカオのしなやかな肢体をつい・・・・覗き見てしまって・・・。
それにハッ・・・!と気付いては「いかんいかん!!」と首を振った。
「ひ・と・し・に〜ちゃ〜〜〜〜ん!!早く泳ごう〜〜ぜ〜〜〜〜!!」
「・・・・・・・・・。」
薪の準備もできてしまったし・・・と自らに言い訳をしながら
仁もタカオの言うがまま、服を脱ぎ捨てた。
ジャッボーーーーン!!
そしてタカオの方へ泳いでいくと、タカオもこちらへ泳いできて・・・・
「つ〜かまえたvv。」
と抱きついてきた。
「わ!!こら!はなせ!!」
肌が・・・・密着して・・・・俺も・・・お前も・・・裸なんだぞ〜〜〜!!
変な気になったらどうするんだ!!
水着も何もつけていないから、一目瞭然なんだぞ〜〜〜!?
「何焦ってんだ?」
未だ抱きつきながら、大きな目を見開いて見上げて言った。
濡れてしなった髪からは、水滴がポタポタ零れ落ちている。
「仁兄ちゃんって・・・・逞しいな〜・・・・。俺もこんな風になれるかな。」
そう言いながらタカオは仁の胸板に手を這わせた。
「バ・・・・バカ!!変な手つきで触るな!」
タカオが一瞬哀しそうな表情をしたように見えた。
でも次の瞬間には盛大に笑って。
「はははははは・・・!!彼女の事でも思い出した?」
さっきのは見間違いか・・・?
「こら!大人をからかうんじゃない!!」
「ちぇ!もう子供じゃないってーの!」
ぷ〜っと膨れっ面をしたかと思ったら、また楽しそうに笑いながら
「競争だ〜〜〜〜!!」
と凄い勢いで泳ぎ始めた。
仁は複雑な想いでタカオを追う。
そうだ・・・・俺は・・・・恐れていた。
だから、まだお前が小さかった頃、俺は旅に出た。
考古学に興味があったのは本当だ。
未知なる遺跡を追い求めて世界中を駆け巡りたいと思ったのも。
だが、あの時家を出たのには、
もう一つ・・・・・・理由があったんだ・・・・・・・・・・・・・。
「へ〜〜〜くちっ!!」
空が美しい夕焼けに染まる頃
二人は大きなタオルに身を包み囲炉裏の前で火に当たり暖を取っていた。
さっきからタカオは盛大にくしゃみをしている。
「夏とはいえ山の水は冷たい。・・・・はしゃぎすぎたな。」
仁は呆れ顔を見せた。
「だってよー、こんなに綺麗な湖だったら泳ぎたくもなるぜ?
それに一日中歩いて埃まみれだったし。」
そして何度か目のくしゃみをした。
「でも!ついでに食料調達もできたし!早く焼けないかな〜v。」
泳ぎながら獲った魚が美味しそうに火にあぶられていた。
山は日が沈むとすぐに暗い夜が訪れる。
幻想的な日没に感動していたら、みるみる・・・辺りはすっかり暗くなってしまった。
「ホラ・・・・。」
仁はタカオに美味しそうに焼きあがった魚を渡す。
「ありがと・・・。」
下着の上に未だタオルを被ったままの姿で、魚にかぶりついた。
「は〜・・・・食った食った!!うまかった〜!!」
焼き魚と乾パンと果物という、実に質素な食事であったが
こうやって自然の中で、かまどの火に当たりながらありつく食事は、新鮮でとても美味しく感じられた。
しかもずーっと会いたかった兄と一緒では・・・
それがなんであろうと最上の食事となったことだろう。
「さ、そろそろ寝るぞ。夜は冷えるから、なんか着ろよ?その格好では風邪をひく。」
「え〜〜〜!もう〜〜!?まだ早いんじゃねーの?」
「街中と違ってここは電気がないからな。暗くなったら寝て日が昇ったら起きる。
朝は早いぞ?ちゃんと起きられるか〜?」
仁はそう言って笑い、タカオにテントへ入る事を促した。
「・・・・・・。」
一瞬、タカオが思いつめたような表情をした事に
仁はその時、まだ気付かなかった。
テントに入ると
仁はテキパキと寝床の準備をして自らもさっさと着替えてしまった。
だがタカオは、さっきから言葉も発せずにいつまでも突っ立ったまま俯いている。
「どうした?」
「・・・・・・・。」
ひどく思いつめた顔をしていた。
さっきから様子がおかしい。どうしたというのだろう?
仁には全く心当たりが・・・・・ない訳ではなかったが・・・・それは仁自身の問題でタカオには与り知らぬ事。
タカオはただ、兄弟再会を単純に喜び、はしゃいでいただけに見えたのだが。
「??タカオ?」
「・・・・・仁・・・・兄ちゃん・・・・・。」
タカオは意を決したように顔を上げた。
「なんだ?悩み事か?兄ちゃんでよければ相談に・・・・。」
「・・・・・・俺じゃ・・・・だめ・・・か?」
「・・・・・え?」
タカオの言葉に、時間が止まった。
「・・・・・・俺なんかじゃ・・・・その気に・・・・なんねー?」
「・・・何・・・を・・言って・・・・。」
タカオは必死の眼差しで仁を見つめ、身に纏っていたタオルから手を放した。
すると重力にしたがって、タオルはタカオの体を滑り落ちる。
現れたのは下着だけを身に着けたタカオの姿。
言葉を失っている仁に、タカオは思いつめた瞳のまま抱きついた。
「タカ・・・・・。」
「抱いてくれ・・・。仁兄ちゃん・・・。」
一体・・・・何が・・・起こっているんだ・・・?
あの・・・タカオが・・そんな事・・言うはずがない!
「お前・・・自分が何を言ってるのか・・・分かっているのか!」
「分かってるよ・・・。
俺・・・・仁兄ちゃんが・・・・好きだ・・・・・・・。小さい頃から・・・俺・・・兄ちゃんだけだった・・・・。」
「・・・・!!」
「頼むよ・・・日本に帰っても・・・俺・・・・元気でいられるように・・・・・・抱いて・・・お願い・・・・!」
仁の中で、頑なにしがみ付いて守り抜いてきたものが崩れ去ろうとしていた。
兄弟故に、世界で一番大事な弟故に、決して侵してはならない聖域。
どんなに望んでも・・・・・。
たとえタカオもそれを望んだとしても・・・。
「馬鹿な事を言うんじゃない!お前は・・・寂しさを・・・・そういう気持ちと・・・勘違いしているだけだ。良く・・・考えてみろ!」
心にもない言葉がスラスラと出てくる。我ながら滑稽な・・・。
「勘違いなんかしてない!!俺がどんだけ兄ちゃんの事、待ってたと思うんだよ!?
やっと会えたかと思ったら、監督の仕事で家にも帰ってこないし。
世界大会が終わったと思ったら、姿をくらましてBEGAへ行っちまうし・・・。
ブルックリンとのバトルの後は・・・今度こそ、仁兄ちゃんとゆっくりできると思ったら!!!
勝手に旅に出ちゃうし!!!
俺・・・・・・仁兄ちゃんが好きだ!!大好きなんだ!!兄ちゃんがいれば・・俺、もう・・・何もいらねー・・・・。」
「タカ・・オ・・・・。」
「仁兄ちゃんこそどうなんだよ!・・・・俺の事、好きか?誤魔化すなよ?」
真直ぐな蒼い瞳で見上げる。昔から変わらない、穢れないタカオの・・・・・。
仁は諦めの溜息をついた。
ここまで・・・・か・・・・。
タカオにここまでされたんじゃあ・・・
もう・・・これ以上、抑えられそうもない・・・・。
「まいったな・・・・。一生、隠し通すつもりだったんだが・・・。
・・・・俺も・・お前だけだ。お前が生まれた時から・・・ずっとな。」
タカオの瞳がパァァァ・・・・・・っと喜びに輝いた。
「・・・だが、覚悟しろよ?俺たちは神が定めた禁忌を侵すんだから。」
「大丈夫!俺、仁兄ちゃんがいれば何も怖くない!」
無条件に仁を信じるタカオの顔。
愛しいと・・・思わないでいられよう筈がない。
「それにv。俺、神に勝ったんだぜ?忘れたのか?」
タカオは先日のブルックリン戦の事を言った。
そんなタカオに、仁は思わず呆れて吹き出してしまった。
「お前なぁ・・・。」
へへっといつもの調子で笑うタカオの声を・・・・仁は唇で奪い去った。
「んっ・・・・・!」
いきなりの濃厚な口付け。
口内をなぞる仁の舌にタカオもおずおずと舌を差し出すが。
しっとりと・・・・なぞり合い絡み合い・・・唾液さえも混ざり合い・・・。
タカオは体が熱くなっていくのをどうすることもできず、思わず仁にしがみ付いた。
「・・・・ふっ・・・・あ・・・・・・・。」
初めての深いキスに息をするのも忘れてしまう。
苦しくて・・・・甘くて・・・・・。
ようやく唇を開放された時には
タカオはすっかり膝が砕けてしまって、仁に支えられてようやく立っている状態だった。
「だらしがないな。誘ったのはお前だぞ?」
「だって・・・こんな・・キス・・・・初めてだったから・・・・・。」
涙目で訴えるタカオが可愛くて
仁はもう一度、触れるだけのキスをした。
だが、今の言葉はちょっと気になる。
「「こんなキス、初めてだった」って・・・他のキスならした事あるのか?」
「え!?・・・あ・・・え〜っと・・・・。」
「タ・カ・オ??」
仁の目が座っている。
「ちょ・・・ちょっとだけ・・・・。」
「相手は誰だ!!」
「・・・・・カイ・・・・レイ・・・・・ユーリ・・・・・された・・・・。
(本当はミハエルやブルックリンにもかなり迫られたんだけど・・・・汗。
あ・・・大地とのアレは、事故・・・だよな・・・??)
で・・・・・でも!!
俺、仁兄ちゃんだけだったし・・・・ちゃ・・・ちゃんと「好きな人がいるから」って・・・俺・・・!!」
ふ・・・ふふ・・ふふふふ・・・!!!
このクソ御曹司に浮浪中国人・・・・人外最終兵器め・・・・・!!
今度会ったら覚えてろよ〜〜〜〜!!??
拳を握り締め、一人怪しい微笑を浮かべる仁に
「に・・・兄ちゃん・・・。・・続き・・・ヤんねーの・・・?」
上目遣いで不安げに見上げるタカオ。
・・・・か・・・可愛い・・・・。
俺もよく今まで耐えたものだと・・・思う。全く、表彰モンだ。
クソガキどもへの復讐は後でゆっくり考えるとして・・・・
今はようやく巡ってきた、この素晴らしいひと時へ・・・・。
「悪い悪い・・v。タカオ、今度からはもっと注意しなきゃ、ダメだぞ?」
「・・・わかった・・・。」
しゅん・・・と項垂れる姿も小さな頃から全く変わっていない。
仁はムラムラ・・・と欲望が吹き出してくるのを感じていた。
そして欲望の命ずるがまま
ゆっくりとタカオの体を横たえ、まずタカオの柔らかい頬に唇を落とす。
「ん・・・。」とくすぐったそうに身を捩る姿がたまらない。
そのまま可愛らしい耳朶を甘噛みし、耳の穴に舌を滑り込ませ・・・
ちゅく・・・・。
「あ・・・・。」
ビクン・・・と小さく反応しながら甘い声を漏らして。
その反応も、声も・・・・可愛くてたまらない・・・・!
今度は首筋に唇を寄せ指先で肌を辿る。
初めての愛撫による刺激に、タカオは耐え切れず思わず仰け反ると
仁はそのさらけ出された喉元に噛り付く様に唇を落とした。
「あ・・・あっ・・・あぁ・・・・!!」
タカオの肌を美味いと感じる・・・。
甘い匂いさえ感じられ、いつまでもこうして味わっていたい。
辿る指先や唇は、いつの間にか胸に降りてきた。
ピンク色の可愛い乳首が固く尖り、存在を主張している。
それに導かれるように唇をあて、ちゅ・・・と吸ってみる。
「やぁっ・・・・!!」
タカオは全身が粟立つ様な痺れを感じた。
乳首など故意に触れた事はなかったが、それがこんなに震えが走る程感じるものだとは。
仁はそんなタカオの反応が楽しくてたまらない。
一方は舌で転がし、もう片方は巧みに指を動かし流れるように弄った。
「ん・・・あ・・・・あぁっ・・・!!あ・・・な・・・・なんで・・・・。」
「・・どうした?」
「・・・な・・・なんで・・・んっ!・・・まだ・・・胸・・・なのに・・・俺・・こんな・・・・ああぁっ・・・!!」
「・・・イイんだろうって?・・可愛いな〜v、タカオは。
そんな可愛いこと言うと、もっと苛めたくなっちゃうな〜v。」
仁は楽しそうに舌で、指で胸を嬲り続けた。
まだ触ってもいない中心にどんどん熱が集まっていくのをタカオは感じていた。
このまま胸を嬲られ続けたら、自分はどうなってしまうのだろうか?
まさか触りもしないうちにイってしまうなんてことは・・・・・。
「タカオ・・・・・どうして欲しい?」
「え・・・・何・・・言って・・・。」
「ホラ・・・・分かるか?もう、下着がぐしょぐしょだ・・・。まだ触ってもいないのに・・・。」
「やっ・・・!言うな・・・・・!!」
「ふふ・・・。触って欲しい?それとも舐めて欲しい?」
言葉で嬲りながら、仁はタカオの下着を取り去った。
そのまま足の間に割り入り、大きく足を開かせてタカオの中心を視姦して言う。
「可愛いな〜v。ピクピクいってる。さあ、どうして欲しいか言ってごらん?」
「・・・・そ・・・・そんな・・俺・・・・わかんね・・・そんなに・・・・・見んなよ・・・・!」
「そうか〜?仕方ないな〜・・・・・・。」
次の瞬間、仁はタカオの中心を咥えこんだ。
「うわぁっ・・!!・・・ああああぁっ・・・・・!!」
突然、生暖かなものに包み込まれ
ビリビリッ・・と・・・タカオの体を電気が駆け巡ったような・・・激しい快感。
ぴちゃ・・・・ぴちゃ・・・・。
執拗に、丁寧に舐め上げる。
唇で吸い上げ、舌を絡ませて・・・・・。
「あっ・・・もっ・・!!にい・・・ちゃん・・・!にいちゃ・・・・ああ・・・にい・・・・・!!!」
チカチカッ・・・と放電したような光を瞼の裏で見たような気がした。
既に限界近かったタカオの中心は、あっという間に・・・・。
「・・・・・・。ご馳走様vv。」
嬉しそうにニッコリ笑う仁。
だがタカオは・・・・。
こんなに激しい快感の後の絶頂は初めてで恥らう余裕も既になく、荒い息の中朦朧としていた。
仁はそんなタカオにお構いなしで嬉しそうに次なるステップへと進んでいく。
今度はタカオの両足を胸につきそうなくらいに持ち上げて後の蕾を顕わにし、
そこをペロペロ・・・と舐め始めた。
「わっ・・・!!今度は何を・・・!!」
「何って・・・準備vv。」
ペロペロと舐めていたソコに唇をしっかり当てて唾液を押し込み始める。
「・・・・〜〜〜〜〜っ・・・!!」
タカオは震えながらじっと耐えていたが
しばらくして充分中が潤ったと思える頃、仁は指を一本ゆっくりと挿入してみた。
中はしっとりと潤って仁の指を締め付ける。
まだキツイ・・・。
仁はゆるゆると中の襞を辿り始めた。
「うっ・・・・・んっ・・・・・!」
初めて体内で疼くモノに圧迫されて気持ち悪くて。
「ちょっと・・・待ってろよ・・・・確か・・・この辺り・・・・。」
そしてある場所へと辿り着く。
「んっ・・・!!はっ・・・ああぁっ・・・・・・・っ・・・・・!!」
ビクビクっと痙攣し、タカオのソレも固さを取り戻したのを確認すると
「見〜つけたvv。」
と嬉しそうに笑い、ソコばかりを弄りだした。
指でぐるぐると円を描くように、見つけた内のポイントを弄ると
そこはみるみる・・・熱く潤っていった。
これから自身を飲み込んでくれるだろう場所が、じっとりと熟れて指に絡み付いてくる。
仁は知らず、生唾を飲み込んだ。
「あっ・・・・やぁっ・・・!!そ・・そこ・・・ダメ・・・!!ああっ・・・!」
「ここは「もっとシテv」って言ってるぞ〜?」
初めての体内からの刺激にどう対処していいか分からない。
仁の思うまま、なすがまま、タカオは悶え、鳴いた。
内の指は本数を増やされ既に3本、濡れた音を発しながらタカオの中で暴れまわっている。
勿論仁のあいた方の手はタカオの中心を嬲り続けている。
内と外から攻められて、じわじわと・・・甘く痺れるような感覚が体を支配して
タカオはもう訳が分からず・・・あっという間に、また限界が・・・。
「っく・・・ああぁっ・・・・・・!!!」
2度目の絶頂を迎えてしまって、放心状態のタカオ。
荒く息をして激しく上下する胸がいとおしい。
「またイっちゃったな・・。」
「・・・もう・・・・信じ・・・らんねー・・・・・・。」
まだ整わない息の中、タカオは容赦ない兄へ文句を言った。
だが、仁にもそろそろ余裕がなくなってきた。
自身が猛り狂っている。
早くタカオの中に収めたくて。
仁はまどろこしげに自らの下着を取り去ると、さっきタカオが放ったモノを自身に塗りつけた。
「これで大分マシだと思うが・・・・。」
そしてタカオの蕾にあてがって
「覚悟はいいな?」
「・・・・うん。いつでもいいぜv。」
ぐっ・・・・ぐぐぐぐ・・・・・!
一気に・・・・限界まで張り詰めた仁の怒張を圧し入れた。
「ああっ・・・・あ・・・・!!」
「・・っ・・・!」
充分慣らしたとはいえ、放ったものを塗りつけてすべりを良くしたとはいえ
初めてで・・・・しかもタカオから見たら仁のソレは大きすぎて・・・痛くない筈がない。
タカオは思わず苦痛の表情を見せた。
「すぐ・・・・ヨくして・・・やる・・・・っ・・・・!」
仁も予想以上のキツさにたまらなかった。
思わず息をつめてしまう程、キツくて熱く、しっとりと絡み付いてくるタカオの中。
想像していたよりずっとイイ・・・・。
挿れただけなのに・・・その辺の女なんか比べ物に・・・っつ・・・!!
生涯・・・こんな日は来ないと思っていた。
タカオのナカに自身を収めるなど・・・・。
思いがけず訪れた幸運に、体が悦んでいる・・・。歓喜で粟立つ震えが全身に走る・・・。
だが、このままさっさと自分だけ達するワケにはいかない。
一緒に高みへと昇りつめなくては。
タカオは日本からこんな秘境まで追いかけてきてくれた。
それに答えてやらなくては・・・・。
仁はすぐにも達しそうな快感を堪えつつ、先程見つけた内のポイントへ自身をぐっ・・ぐっ・・・と押し付けた。
「あ・・・あん・・・ああ・・・っ・・・・!」
すると少しづつタカオの表情が変化していき、やがて苦痛の色は消え失せ声にも艶が出てきた。
タカオが感じるにつれ潤いも増していき、スムーズな抜き差しが可能になる。
仁は容赦なく、そのポイントをめがけて突き上げた。
「あ・・・・・やぁっ・・・・!!」
「・・・っ!・・・タカ・・・オ・・・・どうだ?イイ・・・か?」
「んっ・・・!ああっ・・・・・。いっ・・・・イ・・すっげー・・・・イイっ・・・・・!ひと・・・にぃ・・・ちゃっ・・!!」
仁の背中に回したタカオの手に力が入る。
愛しい・・・・
まだ赤ん坊の時から愛しくて愛しくてたまらなかった・・・・。
俺の・・・タカオ・・・・・・。
今・・・ようやく・・・・!!
仁も感極まってタカオを抱きしめた。強く・・・・。
強く強く抱きしめながら腰の動きは緩めずに。
俺の・・・タカオ・・・俺の・・・!!
激しく揺さぶり乱暴に突き上げているようで・・・でもタカオの感じる所だけをねらって
丁寧に・・・丁寧に・・・・確実に・・・一緒に高みへと昇りつめられるように。
今までの想いの丈を込めて・・・・・今、腕の中で打ち震えるタカオの為に・・・・。
「にい・・・ちゃん・・!好き・・・・大好き・・・・。
俺・・・にい・・ちゃ・・・だけ・・・!だい・・す・・・・あっ・・ああぁっ・・・!!」
「俺もだ・・・・タカオっ・・・!!」
「んっ・・・!!もっ・・・だめ・・・っ・・!ひと・・し・・・にい・・ちゃ・・・・!!」
もう限界というその時、仁はタカオに口付けた。
激しく打ち付ける腰の動きとは対照的に、優しく緩やかに・・・・。
ちゅく・・・・。
ゆったりと絡み合う舌。乱暴に打ち付ける腰。
全て、貴方のために・・・・・・・。
「あっ!!あぁっ・・!あああああっ・・・・!!!」
「っ・・・・!」
愛してる・・・・・・・・・。
後始末をして床についたら、ものの1秒で眠ってしまった・・・・タカオ。
仁はその寝顔を満ち足りた想いで見つめていた。
まさかこんな日がこようとは、夢にも思ってなかった。
俺の・・・タカオ・・・・。
だが・・・・・・・・次第に表情は硬くなっていく。
男同士で・・・・・兄弟で・・・・・・・・。
大問題・・・だよな〜・・・・・。
だがどうしろと言うんだ?
これほどまでに愛しいと思える人を・・・・。
俺たちは・・・・禁断の果実に手を出してしまった。
もう、後戻りはできない・・・・・・・・・・・・。
神の怒りに触れようが、エデンの園を追い出されようが・・・知った事か。
きっとこれが・・・その神様とやらが俺たち兄弟に与えた定め・・・。
何があろうと・・・・お前は俺が守るから・・・・。
気を失ったように眠るタカオをそっと抱きしめながら
仁も意識を手放した。
************
それから。
タカオはちょうど夏休み中だったこともあり、暫く留まり仁の仕事を手伝うこととなった。
タカオには考古学への興味は全くなかったが
考古学の仕事に夢中になっている仁の姿には興味があった。
大好きな兄が大好きな仕事をしている姿。
そんな姿は今まで見た事がなく、タカオにとってとても貴重な有意義な時間だった。
昼間は仲の良い兄弟として、夜は愛し合う恋人同士として。
今までの空白を埋め尽くすかのように濃厚な時間を過ごし
仁もタカオも・・・・・この上もなく幸せだった。
だが、幸せな時間と言うのは過ぎ去るのも早い。
今日はもう、タカオが日本に帰らなければならない日。
仁は車でタカオを空港まで送って行き・・・・。
「その・・・・タカオ、体は大丈夫か?」
「・・・・・・大丈夫な訳ね〜だろ〜?毎日毎日何度も何度もヤりまくりやがって!
特に昨日なんて「最後の夜だから・・・。」って7回も・・・・・う!?・・・が・・・・!!」
空港のロビーで大きな声で恥ずかしい事を言い出すタカオの口を仁が慌てて塞ぎ
注目してきた人々に引き攣り笑いを振りまいて、とりあえずその場を逃走した。
「でもさ。俺、やっぱり来てよかった。」
「タカオ・・・・。」
「早く帰ってこいよ?あんまり帰りが遅いと俺、浮気すんぞ〜?」
「なに!?」
タカオの浮気の相手・・・・心当たりが多すぎる!
あのクソガキどもが勝ち誇ったように笑う姿が見えるようだ〜〜!
「帰る!!仕事のケリがついたら飛んで帰る!!だから御曹司や中国人の口車になんか乗るなよ??」
「はははは!やだな〜、兄ちゃん、本気にすんなよ〜。冗談に決まってんだろ?
そんなに簡単に浮気するくらいなら、中国の山奥まで追いかけて行かないって。」
仁は心の底から安堵の溜息をついた。
そんな仁に、タカオは・・・ふわりと・・・風のように一瞬だけ・・・唇で仁のそれに触れた。
「・・・・・・。」
真っ赤になって呆然としている仁に
「じゃあ・・・俺、そろそろ行くな?
仁兄ちゃんのお陰で俺・・・・日本で一人でも、元気でいられそうだ。ありがとう・・・・。」
幸せそうに笑うタカオが愛しくて・・・・仁は思わず力の限り抱きしめた。
「タカオ・・・・・愛している・・・・。」
「俺もだぜ?兄ちゃん・・・・。」
そうしてタカオは笑いながら大きく手を振って・・・・行ってしまった。
また、日常が戻ってくる。
タカオは祖父と二人の生活で。
学校に、剣道にベイブレードに。
BBAに通ってはカイやレイ、マックスや大地とバトル三昧。
寂しくないと言えば嘘になるが
そんな時は、仁と過ごしたあの夏を思い出す。
そしてまた元気が漲ってくるのを感じるのだった。
仁はあれから父と合流し、遺跡を追い求めながら・・・・・。
会えない日々は続いたが、幸福だった。
決して報われない想いを封じ込めるために日々忙しくしていた頃とは全く違う。
目の前で仕事する父と既に亡き母に、心の中でそっと謝ったりはしたが・・・・。
離れていても
この空で繋がっているから・・・・。
元気でいられる。
頑張っていける。
この世でたった一人の・・・・最愛の人と・・・・・・。
end
やっちゃいましたv。初仁タカにして初エッチvv。
一晩で7回って・・・可能なんでしょうかねぇ??まあタカオはともかく仁なんて体力の塊だろうから・・・(汗)。
仁を追いかけてきたタカオ!遺跡の中で気持ち良さそうに眠る仁をたたき起こす・・・
というシーンが突如頭に浮かんでそのまま爆走しちゃいました。
Gレボ後設定のつもりですが仁が原作寄りになっちゃったな・・・・。なかなか難しいです。
タカオもGレボ仕様なのに瞳は蒼かったり。タカオの瞳は蒼。これはなかなか譲れません。
そして・・・そういえば・・・!
ブルックリンにタカオは勝ったと書いちゃいましたが・・・(滝汗)
タカオvsブルックリンって結局どっちが勝ったのか分からなかったんですよね!
す・・・すいません・・・!
まあ、この話に限り・・というか、ブルックリンを目覚めさせたのはタカオ・・・ということで勘弁して下さい!
いつもの事ですが長々とすいせん。
ここまで読んで下さりありがとうございました!
(2006.2.4)