色素の薄い髪がシーツに広がる。
見上げる紅い瞳。
カイの顔の両側に手をつき、至近距離でカイを見おろしてタカオは。
「うわ・・・なんか緊張するな〜・・・・。」
「ならやめておけ。」
「イヤだ!やっと念願が叶うんだ!」
頑固に言い張るタカオ。
やれやれ・・・・・。どうやら観念するしかなさそうだ。
カイはふっ・・・・と目を閉じた。
閉じられた瞳、色が白く整った顔立ち。薄く開いた唇。
カイは・・・どこか儚げで、どこまでも綺麗だった。
うわっ・・・!やべ・・!
そんなカイを組み敷いて、タカオは体がガチガチに固くなるほど緊張してくるのを感じた。
き・・・綺麗だ・・・・・・。
カッコイイとは思ってたけど・・・・カイってこんなに綺麗だったのか!?
・・・・・・・・・・。
・・・・眠りの森の美女って・・・・きっとこんな感じだよな・・・・・。
そして・・・・タカオは・・・・
フィリップ王子さながら、吸い寄せられるようにカイの唇へ自らの震える唇を重ねた。
おずおずと舌を差し入れてカイの舌を探してみるが、緊張してしまってなんだか良く分からない。
逆にカイに舌を絡めとられてしまった。
カイの舌がゆっくりとタカオの舌を捉え、なぞる。
「ん・・・・・っふ・・・!!・・・あ・・・・・!」
銀色の糸を引いて唇がはなれる頃には
タカオはすっかり朦朧としてしまい、甘い吐息を漏らした。
これではいつもとあまり変わらない。
「ふふっ・・・。どうした?今日はお前がするんじゃなかったのか?」
ニヤリと笑う。
お前には無理だと言わんばかりだ。
「・・・・・・っ!!・・・・っのヤロー・・!これからだってーの!」
タカオは負けず嫌いである。
煽られると俄然ヤル気が出てくる。
やれやれ・・・・・。
内心溜息をつくカイ。
「見てろよ?」
タカオは今度こそ!とカイの首筋に舌を這わせた。
つーーーーーーーっ・・・・・。ぺろっ・・・。
「くっ・・・くくく・・・・!っ!・・・・・!!」
だがカイは。必死に笑いを堪えていた。
カイが笑いを堪える姿など滅多にお目にかかれるものではない。
でも、今は笑わせたいのではなかった。
「・・・・・・。くすぐったいだけか?」
タカオはしゅん・・と、項垂れた子犬のようにカイに問うた。
「す・・・すまん、つい・・・・。」
カイは余裕である。
よ〜し!今度こそ!
と拳でも握っていそうなタカオの様子を見て、カイは苦笑を漏らした。
タカオはそのまま鎖骨へと唇を這わせ、ゆっくりと・・・胸の飾りに向かった。
ようやくたどり着いた飾りをぺロッ・・・と舐めてみる。
「・・・・・!」
カイが初めて、ちょっとだけ耐えるような表情をした。
もしかして・・・・感じてくれたのだろうか?
だとしたら、うれしい・・・・・。
今度はチュッ・・・と吸ってみた。
「・・!・・・・・・!!」
少しだけ眉間に皺が寄り、体がぴく・・と動いた。
やっぱり、感じてくれている・・・・・。
タカオは嬉しくて夢中になって、胸の飾りをペロペロと舐め舌で転がし、時に吸い
もう一方の飾りは指で嬲った。
そして今度は・・・カイの中心へと手を伸ばした。
硬くなリ始めているそれを触れるか触れないかの微妙な手つきでゆっくりと擦り上げる。
「・・・・・っ!」
さすがのカイも、そろそろ余裕がなくなってきた。
舌で乳首を転がされ、手で中心を撫で上げられて。
どんなに耐えようとしても
男性の生理なので、どうしようもない。
カイのそれは硬さを増し、甘い蜜を漏らし始めた。
だが、カイは必死に声を耐えていた。
感じている事は、その様子を見れば一目瞭然なのに。
「カイ・・・・声、聞かせてくれよ。俺、カイの声、聞きたい。」
「・・・っ!だっ・・・誰がっ・・・!」
どこまでも意地を張るカイ。
タカオは苦笑しつつ、カイのそれを愛しげに見つめた。
いつもはタカオの中で縦横無尽に暴れまわり
タカオを快楽の頂点へと導いてくれる、カイの・・・・モノ。
今はタカオの手の中で、震えながら蜜をこぼしていた。
なんだかそれが可愛くて愛しくて。
まるで何かに導かれるように無意識のうちに、タカオはカイのそれを口に含んでいた。
こぼれる蜜をちゅっ・・・・と吸い・・・・。
「っ・・・!・・・・〜〜!!」
今度は口いっぱいに頬張り舌を這わせながら、唇で吸い上げた。
「・・・!!・・・・っ!・・・・・っ・・・・!!」
カイに悦んでほしくて、感じてもらいたくて。
カイがいつもしてくれているように。
ちゅる・・・ちゅく・・・・・。
濡れた音が響いてゆく。
それでもカイは歯を食いしばって声を耐えた。
耐えようと決めていた。
タカオの前で醜態を晒したくはなかった。
これはただ一度だけ。
タカオがあんまりねだるから、応じてみただけの事。
ここでカイが乱れてしまっては・・・メンツ丸つぶれだ・・・・と思い込んでいた。
だが、タカオのたどたどしい手つき、舌づかいが
少しづつ、カイを昂ぶらせていく。
本番はこれから。まだまだ序の口だというのに・・・・・。
タカオは一旦、カイのそれから口を離し、足を胸に付きそうな所まで持ち上げた。
そして蕾の端を指で押さえながら舌を這わせ、唾液を送り込む。
初めてのとき、カイがしてくれたように。
傷つけてしまわないように。
ぴちゃ・・・・ぴちゃ・・・。
ただ、タカオは唾液を送り込むだけの作業をしているだけなのだが
タカオの舌が動くたび、カイはじんわりと痺れるように甘く追い詰められていった。
ナカが十分潤ったと思われる頃。
タカオは指を一本、挿入してみた。
つ・・・・ぷっ・・・・・・・。
「うっ・・・・・あ・・・・!!」
初めて体験する体中からの刺激に、カイは思わず声を漏らした。
「やっと・・・・声を聞かせてくれた・・・・。」
タカオは嬉しそうに呟いた。
「う・・・・うるさい・・・・はっ・・ん!!」
一度箍が外れてしまうと、もう声を耐えることなど出来なかった。
タカオはゆっくりと中を辿りながら襞を掻き分けていく。
ぐるりと回してみたり、抜き差ししてみたり。
カイの様子を観察しながら内のポイントを探した。
「・・・っ!・・・は・・・・・っつ!・・・・・・あ・・・ああ・・・・!!!!」
ある場所を擦った時、カイの声が大きくあがりタカオの指を締め付けた。
「見つけた・・・・・。」
タカオはソコばかりを攻め始めた。
空いたほうの手はカイの中心に添えて嬲りながら、中を弄る指の本数を増やしていく。
ちゅくちゅく・・・・。
快楽のポイントを内と外から攻められても尚、
カイは理性を保とうと必死に抵抗していた。
快楽に流されないように・・・・・・ギリギリの狭間で。
くっそ・・・・・!
タカオの稚拙な指の動きが・・・・余計に・・・・・!
この・・・・俺が・・・・・!
タカオは妙な感覚に襲われていた。
いつもカイの下で悶えているのは自分。
カイに組み敷かれ、カイの指や舌に翻弄されているのは自分。
でも今は。
カイが感じてくれている。
俺の・・・・手で・・・・・・・。
それがこんなに嬉しいなんて・・・・・・・知らなかった・・・・・・・・。
タカオはカイの内をかき回していた指を
ズルリと3本とも引き抜いた。
そして代わりに自身をあてがう。
「カイ、挿れるぜ?」
カイは荒い息の中、微かに瞼を開けた。
そして確固たる声で
「ああ、来い。」
先端を押し付け、ゆっくりと腰を進める。
ぐ・・・ぐぐぐ・・・・・・。
「ん・・・・はぁっ・・・!!」
指とは比べようもない質量に顔をしかめる。
そしてようやく
「入った・・・・。」
タカオはホッと一息ついた。
「カイの中・・・・あったかくて・・・・なんかこう・・・・たまんね〜・・・・・・・。」
恍惚の表情で呟く。
「カイは・・・・どんな感じがする?」
だがカイは、それどころではなかった。
「ん・・・・・・・!!」
「少しは・・・気持ちイイか?」
タカオは小刻みに動かしながら問うた。
「・・っ!・・・あ・・・っ・・・・!!」
タカオはそれをカイの返事と受け取った。
腰を進めるほどに押し寄せる快楽。
いつもとは違った悦びに、タカオは次第に我を忘れていく。
ぐちゅ・・・・ぐちゅ・・・・・・。
「く〜〜っ!!」
あまりに気持ちヨくて、歓喜の声を上げるタカオ。
腰の動きは更に激しさを増して
先程見つけたカイの内なるポイントをめがけて突き上げた。
「はぁっ!!・・・・あ!・・っ・・・・・っく・・・・・〜〜〜〜!!」
的確に捉えられ突かれ擦り上げられて。
カイはもう、何がなんだか分からない程にタカオを感じていた。
・・・・・タカオ・・・・・!
ぶち込んでくる度に・・・熱い・・・・・!!
これでもか!という程に・・・タカオを・・・・感じる・・・・・。
タカオは・・いつも・・・・こんなふうに感じて・・・いたのか?
ああ・・・・・!タカオ・・・・・・・・・・・・・・・・!!
そこを締め付け乱れるカイが、あまりに扇情的で
我を忘れて背中にしがみついてくるカイが可愛くて
タカオの中の何かが・・・・プツッと切れたような気がした。
「カイ・・・ちょっと・・締めすぎ・・・・・。俺・・・・もう・・・!」
ああ・・・・!ダメだ・・・・・!
もう・・・・・。
カイが好きすぎておかしくなりそう・・・・・。
気持ちヨくて気持ちヨくて・・・・・
カイが愛しくて大好きで・・・・・・・・・・。
好きな気持ちは・・・・・・気持ちイイ気持ちと・・・・・・・きっと同じ・・・・・なんだ・・・・。
カイ・・・・・好き・・・・・大好き・・・・・・・。
俺の気持ち、受け取ってくれよな・・・・?
いく・・・・ぜ・・・・?
「カイ・・・・カイ・・・・・・・カっ!・・・・・・イ・・・・・・・・・・・・。」
「ああっ!・・・・・タカ・・・・・オ・・・・・・・・!!」
共にお互いの名を呼んで熱い飛沫を放ち
きつく抱きしめ合いながら・・・・共に崩れ落ちた。
「ありがとな?カイ。すっげー気持ちヨかった。」
だがカイは複雑な表情で、憮然としていた。
勿論カイもヨかったのであるが・・・・先程の自分の痴態・・・・できることなら忘れてしまいたかった。
「なあ、カイ。時々は・・・・また俺がシてもいいか?
いつもとはまた違った趣があっていいんじゃないか・・・・って・・痛って〜〜〜〜!!何すんだよ!!」
カイはタカオを殴りつけていた。
勿論本気ではない。
カイが本気で殴れば即、病院送りだろう。
だが。
拳を握り締めて真っ赤な顔でプルプル震えながら、タカオを睨みつけるカイ。
これは相当・・・・・。
「一度だけだと言ったろう!!」
カイが半分裏返った声で叫んだ。
先程の余韻か、その瞳はまだ涙で潤んでいる。
必死な眼差しで真っ赤になって怒って・・・・・・。
か・・・・可愛い・・・・・・・・・。
こんなになって怒るカイが・・・・・可愛くて可愛くて・・・・たまらない!!
「カイ〜〜〜〜〜!大好き〜〜〜〜!!!」
タカオはカイに抱きついた。
すっかり上機嫌で頬擦りしてくる。
カイはなんだかバカバカしくなってしまった。
それに、こんなにタカオが喜んでいるんだから
・・・・まあ、いいか・・・とどこかで思っているカイがいた。
だが。
このままでは示しがつかない。
するりとタカオの腕をすり抜けると、素早くタカオを組み敷き
ニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。
「この代償は高くつくぞ?」
何時になく迫力満点のカイ。
あれ?なんかいつもの状態に戻ってないか?
「な・・・・・何のことだ?」
冷や汗を流しつつ逃げ出そうともがいてみるが
ガッシリと押さえ込まれてしまってビクとも動けない。
さらに不穏な笑みを深めるカイ。
「今夜は眠れると思うな。」
引き攣り笑いをするしかないタカオ。
二人の夜は
まだ、はじまったばかり・・・・?
end
どうも・・お騒がせ致しました。何とか書き直しました。
全く同じものを再現するのは不可能ですが出来るだけ近いものを・・・と頑張ってみました。
如何でしょうか?
削除前も読まれた方、感想をお聞かせ頂けたら嬉しいです(切実)!
勿論初めて読まれた方も感想いただけたら泣いて喜びます!
前回「タカオのお願い」を書いていた時は、「はじめての・・・」を書いて間もない頃だったこともあり、
「『お願いv』のエロはサラッといこう!」と思った記憶があります・・・が・・・。
なんだかねちっこくなりましたね・・・・。
そしてカイの受け度が上がったような・・・・・・・。
こんなモノでも私にとっては大事な宝なので、やっぱり書き直してよかったと思っています。
ホント、削除した瞬間は「しまった〜〜〜〜!!!」そしてしばらくショックで呆然・・・・・(笑)。
どんなに頑張ってみても同じものは二度と出来ないです。
ある意味、一期一会なんですね。それを今回身をもって知りました。
でも何よりも・・・・。もっとマメにバックアップとらなきゃいけませんね・・・反省・・・・。
それでは、お騒がせして申し訳ありませんでした。
ここまで読んで下さりありがとうございました!
(2005.12.6 誤ってファイル削除してしまった後、書き直したものです。)