あれは、たまたま気まぐれに見たバトル。
ただの時間つぶし。
局長が、「見ておけ」と静かに言い張るから観戦しただけに過ぎない。
だって、そうだろ?
BBAのバトルなど、どこに見る価値がある?
その筈、だったんだが──────。
「死のメロディは貴様が聞けぇーッ!」
・・・・・。
瞼に焼き付いて離れない。
一瞬のうちに相手をねじ伏せる、圧倒的なパワー。
「誰だ?あいつは。」
「珍しいわね。マイケルが他の選手に興味を示すなんて。」
エミリーが驚いていた。
そりゃ、そうだろう。
口をついて思わず出た言葉に、俺自身が一番驚いたんだから。
データなら、既に頭にインプットされているが
それを改めて、かいつまんで話してくれるのを面倒気に聞いた後
エミリーは言っていた。
あれは、どうやら俺達に見せつける為だけのバトルだったようだ。
ふ、ふふ・・・。
可愛い事、してくれるじゃないか。
さてと・・・・。
今度は俺の番、・・・・かな。
ショーは可能な限り、派手に!
お前の瞼にも、強烈に焼き付けるがいいぜ。
カイ・ヒワタリ・・・・。
夜の街。
カイは一人、歩いていた。
ヒュー♪と口笛の音がしたので瞳をそちらへ向けると
驚いたことに、PPBのエース、マイケル・ソマーズが壁にもたれ、そこにいた。
溢れる自信を隠そうともしない不敵な笑みを浮かべ、カイを見据えている。
先程の口笛といい、明らかにカイを待っていたかのようなマイケルだが
カイは何も見なかったかのごとく、そのまま通り過ぎようとした。
すると、すれ違ざまに。
「楽しんでくれたかい?俺のショーは。」
「・・・。なんのことだ。」
「何って・・・見てただろ?昼間のバトル。」
昼間のバトルとは言うまでもなく
飛行機からのダイビングという、ド派手な登場の後
圧倒的な強さで一瞬のうちに相手のベイを粉砕した・・・・あのバトルの事だ。
その事をマイケルは、野球のボールを弄びながら楽しそうに言う。
マイケルの真意を測るように、カイは無言でいると。
「まあ、あれはバトルとは言えないかもな。」
と、マイケルは一人、ケラケラと笑った。
「なかなか、楽しめただろ?カイ・ヒワタリ。」
弄んでいたボールは、器用にもマイケルの空を指さした左人差し指の上で回転している。
ボールでは遊びながら、目は挑発的にカイを睨み付けていた。
「俺に、何の用だ。」
受けて立つ、と言わんばかりに
カイも、鋭い紅い瞳でマイケルを睨み付ける。
対峙する二人。
すると、マイケルはもう一度、口笛を鳴らしてみせた。
「ヒュ〜♪いいね〜、その瞳!ゾクゾクするぜ。」
「・・・・。」
マイケルが茶化すような態度を取るので、これ以上相手をするのが馬鹿馬鹿しくなった。
カイは溜息をつくと、そのまま歩き出す。
「待てよ。」
すると、背後から低い声。
「俺は貴様らのジョークに付き合っている暇などない。」
「ジョークなんかじゃないさ。」
マイケルの声に凄味が増した。
「瞼に焼き付いて離れなくなっただろ。俺のバトルが。」
「・・・・!」
カイが振り向く。
「俺も、お前のバトルが瞼の奥から離れなくなったのさ。」
「・・・・。」
「なんでBBAなんかにいるんだ?」
「さっさと用件を言ったらどうだ。」
「用件ね〜。さて、どうしようか・・・。」
対面すると、途端にまた茶化す。
(こいつ・・・!)
「俺とバトルしたいのなら、さっさとそう言ったらどうだ。」
カイはドランザーを構えた。
漂う殺気。
カイを取り巻く空気までが震えるようだ。
しかし。
「バトル?それこそジョークだろ?こんな街の片隅で!
俺とお前がヤるなら、もっとドデカイ舞台でなきゃ、勿体ないだろ?ファンだって悲しむぜ?」
「茶化すな!俺はどこだっていい。貴様とヤれるならな。」
マイケルはチラリとカイを伺い見て、少し考え込むと。
「そっか・・・。それもいいかもな。」
カイがニヤリと笑んだ。
「構えろ。」
「おいおい、いくらなんでもここじゃ、場所が悪すぎるぜ!ついてきな。」
マイケルは歩き始めた。
「チッ・・!」
そんなマイケルに、カイは忌々しそうに舌打ちする。
カイがついてくるのを横目で確認すると、マイケルは密かにほくそ笑むのだった。
(さてと・・・・どこがいいかな・・・・。)
「前、ウチに見学に来た時、禁止区域に忍び込んだんだって?やるね〜!」
「・・・・。」
「Level 5の直前で、スティーブ達に叩きのめされて、追い返されたとか。」
「・・・・。」
「気になるか?Level 5。」
「・・・・!」
マイケルは振り向きカイの様子を伺い見て、口角を釣り上げた。
──ポーカーフェイスのようで、なかなか素直だな。
面白い・・・。
・・・・。
BBAにいながら、あの強さ。
燃えるような瞳。
そしてこの必死さ。
なんだろうな〜・・・こう・・・・
蹂躙してやりたくなる・・・・・・!
一時間後。
「貴様ッ、どういうつもりだ・・・ッ!」
「どういうって・・・Level 5に興味があるんだろ?PPBのLevel 5・・・それは俺自身さ。」
「・・・ッ、・・・!!」
「それを見せてやってるんじゃないか。礼を言って欲しいくらいだ。」
「ふざけるな・・ッ!・・これの・・・、どこが・・・っ!!」
鳴かされ貫かれながら、カイは違和感を覚えていた。
とっさの愛撫が・・・その後も、何か・・・・・。
──サウスポー・・・ではないのか?
「フフ・・・最高の眺めだぜ。カイ・ヒワタリ。」
「・・・!!」
「見せてやるさ、全て。」
「そんなモノ、見たく・・・ない・・・!!俺が、見たい・・のは・・・ッ!」
「へえ・・・。何が見たいんだ?」
マイケルは打ち込みはそのままに、カイのソレを握り込んだ。
「・・・っつ、・・ぁ・・・ッ!」
眉根を寄せ耐えるが、たまらず洩れるハスキーヴォイス。
「言ってみろよ。」
低く掠れたマイケルの声。
そして有無は言わせない、とばかりに最奥にグッ・・と怒張を押しつける。
マイケルの手は、カイの中心を摩り続け・・・・。
「・・・っ、・・・っつ、あ・・・!
・・・PPB・・・世界最高レベル、の・・・研究の成果・・・トップシークレット・・・・・・!!」
「だから、それはオレだって言ってるだろ?」
マイケルはカイのソレを一旦、手放し
一度ギリギリまで自身を引き抜き、そして力の限り突き上げた。
「違・・・ッ、あ・・・・ッ!!・・・貴様の・・・・・聖獣・・・・・っ!!」
「ま、それは・・・おいおい・・・・・。」
「やッ・・・やめろ・・・・!・・ッ・・ぁ・・、・・・は・・・・・・ッ!!」
「やめていいのか?こんなになってるぜ?」
揶揄するように言いながら、マイケルはもう一度、カイ自身を握り込む。
「・・っく、・・〜〜〜〜ッ・・!!」
──間違いない。マイケルの利き腕は・・・・右。
・・・こいつ・・・!!
利き腕を使わずに、あの強さ・・・・!!
打ち込まれ、突き上げられ、縫いとめられ、握られ、摩られて
荒い息、喘ぎ、ソコからの甘い痺れるような疼き・・・
何もかもが最高潮にまで達した中
カイは、マイケルを睨み付けた。
射抜くように光る、紅い瞳で。
──マイケル・・・ソマーズ・・・・・・!!
「ほう・・・。いい目だ。ゾクゾクするぜ。」
明らかにマイケルが優位なこの状態、体勢で尚
輝きを失ってしまうどころか
更に美しく鋭い光を放つ、紅い瞳に
その眼光の迫力に
マイケルは身震いするような高揚を感じた。
そしてマイケルも負けじとカイを睨み付ける。
今まさに獲物に襲いかかろうとする瞬間の、鷹の瞳で。
対峙する瞳と瞳。
これは戦いだ。
どちらともなく、思った。
──この野郎・・・ふざけやがって・・・・・!!!
しかし、一体どうすれば?
どうすれば勝てる?この男に。
利き腕を温存して、あの強さ・・・・・・。
──カイ・ヒワタリ・・・・。
素材は間違いなく一級品。
フフ・・・BBAか。面白い。
本気でバトルしたい、と思える相手に会ったのは、久しぶりだぜ。
「でも、今この場では、俺の勝ち〜〜!だな。」
茶化すように言いながら、マイケルが突き上げた。
「ふッ、・・ざ、・・けるな・・・ッ!!こ、んな・・・事、くらいで・・・ッ・・誰が・・・っ!!」
「お!いいね〜、この締め付け!」
「・・・っく、・・・・ッツ、・・・あぁ・・ッ・・・・・!!」
二人のバトルは、いつまで続く?
end
元は日記に書いた小ネタです。
小ネタに上げるにしては長いので、真面目に上げる事にしました。
さて・・・無印の見直しをスローペースで続けています。
アニメではマイケルとカイは、殆ど接点がありませんでしたが
「死のメロディは貴様が聞けぇー!」
「馬鹿め・・・。ドランザーのデータが、そう簡単に計測できるものか。」
のバトルで
カイが圧倒的な強さを見せつると
マイケル
「確かにカイは侮れないが・・・・。」
侮れないが・・・侮れないが・・・・!!
カイの強さを認めた〜!マイケルが!!!
とか
飛行機からダイブ、瞬殺のマイケルに
カイが不敵な笑みを浮かべ・・・この顔!!いいですよね!!
互いの強さを見せつけ合っちゃって、まあ・・・!
でもって、決勝では
「やはり、ヤツの利き腕は右か。」とか!!
凄い観察眼。
というか・・・ナニかあった??
こんな感じで、妄想が止まらなくなってしまったんです。
アメリカ編では、カイは邪悪顔連発で、なかなか・・・血沸き肉躍るというか・・・!!
誰かに組み敷かせたくて!喘がせたくて!!
「最重要機密施設か・・・まあ、お楽しみは後に取っておくさ。」
とか危険な発言を・・・お楽しみって・・・一体ナニ??
結局カイはマイケルとバトルしてませんし、完全に捏造妄想ですが
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
(2015.12.25)