Don't tease me, please!


「おはよーございまーす」
「おはようございます、虎徹さん」
「お、バニー、おはよ。昨日はちゃんと帰れた?」
「おかげさまで」
 今日は久しぶりに朝からの取材がない為、たまった書類を片付けようとパソコンに向かう。
 ふと視線を感じそちらを見やれば、虎徹が何か考えるように眉を寄せこちらを見ていた。
「なんですか?そんな物欲しそうにしても、食べ物は何も持っていませんよ」
 虎徹は、ちょいちょいと耳を貸せというようなジェスチャーをして、二人の間にある机に身体を乗せる。
 何をそんな秘密にしたいことがあるのか疑問だったが、やはり気になったのでそちらに身体を傾ける。
「バニー、昨日俺と電話してるときオナニーしてただろ」
 耳をくすぐるやさしいこえを感じた次の瞬間、血の気が引いた。
 素早くと身を退けばニヤニヤしている虎徹の顔が目に入る。
「???っ!」
「いやー、バニーでもそんなことするんだなー」
「っしてません!!!」
 身体中暑くて、きっと顔も真っ赤になっているだろうことが自分でもわかる。バーナビーは、逃げ出すように、席を立った。
「あっ、待てって!」
小走りで洗面所へ向かう。火照った顔をどうにかして冷やしたかった。
これからきっとこのネタでからかわれ続けるんだと思うと立ち直れない。何故あんなことをしてしまったのか。そもそも虎徹が自分をほったらかしにするからいけないのであって!
ふつふつと虎徹への怒りがわいてくる。
八つ当たりであることはバーナビー自身もわかってはいたが、どこかへ転嫁しなければやっていけそうもなくて、洗った顔の水分をふき取り、虎徹のもとへ向かう。

そして直後に再び打ちのめされる。
いつか反撃のチャンスをつかむまで。



Don't tease me, please!(からかわないでください!)


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