指を3本まとめて舐める。
自分で後ろを解すのは、何度やっても慣れるものではないが、キースさんに僕で感じてほしい一心でこんなことをする。
唾液でべとべとになった指を、窄まりへ充てる。
まず、中指で。少しずつ、奥まで入れた。
あまり時間をかけてもしかたないので、ぐるりと入り口を拡げるように乱暴に動かした。
早く、キースさんが欲しい。
「ふ、…んぁ……ァ」
後ろを解しながら、腰も揺れる。彼のものと自分のものがこすれて気持ちが良くて、止まらなくなる。
「ふっ、イワン君はかわいくていやらしいね…私に乗りながらオナニーをするなんて」
「や、そんな…あぁっ……」
はやく、はやく。
「もう、いいので、…挿れますっ」
キースさんを受け入れるにはまだ充分に解れたとはいえなかったが、欲しくてたまらない。一瞬でも待てる気がしなくて、急いで指を引き抜いた。
「きつかったらすいません!」
早口でまくしたて、彼の中心を握った。用意してあったローションを少し垂らしてしごいてから、後ろの窄まりへあてがう。
詰めた息を吐き出すと同時に、ぐと腰を落とす。
「あぁっ…い、た……」
「う…」
無理をしたから切れてしまったかもしれない。
「……キース、さ…だいじょうぶ、…です、か?」
僕がこれだけ痛いのだから、彼もきっとキツいだろう。
動きを止め、ふうと息を吐いた。
「いや、私は大丈夫だ。それより…」
放置されていた僕の性器をキースさんが握る。
「つづきは、まだかな?」
にこりと笑うと、尿道口に爪を立てた。
「うああっ…!」
衝撃でまた少し彼が深く入った。そこからは、重力も手伝って、ぐ、ぐと腰が落ちていく。
キースさんの手は相変わらず僕をいじめている。
「…やぁ……い、たい、キ…スさ……」
ぼろぼろと涙があふれていた。痛くて、温かい。体の奥で、自分ではない熱と鼓動を感じる。
「動くよ」
その言葉の意味を理解する前に下から突き上げられ、口からは嬌声がこぼれた。
痛い、痛い、気持ちいい。
「…アァン、いい、…すき、そこ……はぁっ」
汗が胸を伝う。散々弄られた乳首が、ランニングシャツとすれてヒリヒリする。
突き上げられるたびに二人の狭間で擦られている性器をもっと追い詰めたくて、無意識にそこへ手を伸ばした。
「イワン、まだ、だめだよ」
喉を噛まれた。
食い千切られるかと思って背筋が凍った。
「私がイッたら、いじめてあげるから、もう少し」
手は引っ込めざるを得なかったが、いじめてあげる、その言葉に本能が歓喜し後孔が収縮した。
「…っ、そのまま」
そして、激しく抽挿が繰り返される。
ぐらぐらと揺れる体を安定させるために、キースさんの肩を支えにする。
「ァ、…ぁんっ、ん、あ…」
結合部からは卑猥な水音がひっきりなしに溢れている。
少し余裕がでてきたので、自分からも腰を揺らす。
痛みは既に快感にとってかわっていた。
ガツガツと乱暴に打ち付けられているのに、めまいがするほどのいとおしさを感じる。
「…っ、……出すよっ」
とっさに、後孔に力を入れた。絞るようにゆっくり上下する。
「…ふ、うっ」
どくり、と奥で染み渡る熱を感じた。
イくときのキースさんの表情が好きだ。掻き揚げられた髪の乱れ方も、眉が寄せられ、目を閉じ、汗を流して何かに耐えるような表情も。
「ぁあん、キースさんの、熱いよぉ…」
まだお預けを食らっている僕は、許しがなければ達することができなくて、でも体の奥で感じるキースさんの精液がうれしくて、何かが溢れてしまいそうだった。
「…もっと、シて、…キース、さん…はぁっ、たりなっ…」
壊してもいいから、あなたを、ください。
我慢も限界で、涙も溢れてきた。
「やだよ…キー…さ、…いたい、の、ほし………はああっ!」
ガリっと乳首が噛まれた。
同時に尿道口を強く押され、僕は射精した。
体中がズキズキ痛い。
キースさんが濡れタオルで身体を拭いてくれているのだが、いかんせん生傷が多すぎて慎重にならざるを得ないようで、なかなかきれいにならない。
最後に噛まれた乳首からは血が出てしまっていた。
「痛いかい?」
「少し…でも、大丈夫です」
痛みよりも何より感じるのは、所有欲。
この傷は彼が僕を必要としている証であって。
温められたタオルが優しく身体をなぞる。
もっと傷めてしまってもいいのに、あなたから与えられるものでいらないものなんて何もないから。
「イワン君の身体、きれいだよ」
肩に唇を落とされた。
思わずキースさんに抱きついた。
「いつでも、壊して、いいですからね」
僕とあなたしかいない世界に行けるなら。
lovely wounds
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