乙女マ子タソねた
「ふふふ、男の子からラブレターを貰ったわ」
「妬けますね」
「私もラブレターを書こうかしら? そうすれば、あの人も少しは私を見てくれるかもしれない」
「…恋をしているんですか?」
「そう」
「誰に…です?」
「残念ながら貴方にではないわ。いやだ、フフフ、そんな顔をしないで」
「貴女は意地悪だ。とても。神様から罰を与えられるといいんだ」
「罰ならもう、十分与えられているわ。神様に背きたくなるほどにね」
「とても綺麗な人なのよ、とても冷たくて、とても遠くにいる人。私の手の届かない人」
「泣かないで、貴女」
「胸が、甘くて苦しいの。窒息しそう。ラブレターにはそう書くわ。それで、引出しの奥に出さずにずっとしまっておくの。時々取り出しては、またあの人を想って少しだけ泣くのよ」
「私がもし死んでしまって、あの人が引出しから私の手紙を見つけたら、少しは後悔してくれるのかしら? 蝋燭の火ですっかり手紙が灰になる頃、少しは泣いてくれるのかしら?」
「冷たい私の唇に口付けてくれるのなら、私は死んでも構わないわ」