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「アルテイシアか、どうした？」 不意に執務室に現れた金髪の美少女にキシリアが声をかけた。アルテイシアと呼ばれたその少女は、何か言いたそうな顔をしながらキシリアに近づいてくる。 「いえ、別に用は無いのだけれど……。キシリア姉様に会いに来ただけ」 そう言いながら、椅子に腰掛けているキシリアの膝の上に横座りに座った。甘えるような目でキシリアを見る。キシリアも咎めずに、アルテイシアの細い腰に手を回す。キシリアが自分を甘やかせてくれるつもりなのを敏感に感じてアルテイシアが一瞬嬉しそうに笑った。笑いながら細い手を伸ばすと、キシリアの結い上げた髪を止めているピンを外していく。 「アルテイシア、髪が乱れるからやめなさい」 キシリアがそう言ったが、アルテイシアは手を止めない。折角綺麗に結い上げた髪はぱさっという軽い音と共に解かれる。顔にかかった髪にキシリアが煩そうに小さく頭を振ると、さらっと髪が揺れて甘い匂いがアルテイシアの鼻腔をくすぐった。 「乱れさせてるんだもの。長い方が好き」 軽くウェーブのかかった長い髪を手で梳き、指先に絡めて弄ぶ。髪を下ろすと、キシリアの印象が鉄の女将軍から匂うような色香漂う美女に変わった。その瞬間が好きなのだ。空いた方の手でキシリアがアルテイシアの美しい金髪を撫でると、アルテイシアが甘えるようにキシリアの豊かな胸に顔をうずめた。 「うふふ、いい匂いで気持ちいいわ」 薄い生地ごしの柔らかい感触にうっとりするようにアルテイシアが言った。少し横に顔をずらして、片方の胸を感触を楽しむように手で持ち上げ、手の中に優しく包み込んだ。ずっしりとした重さの、アルテイシアの手に少し余る乳房を優しく揉みしだき、アルテイシアの手を押し返す弾けるような弾力と柔らかさを味わう。 「……しょうがない娘だな」 呆れたようにそう口に出しながら、キシリアが、あ……という甘い吐息と共にびくっと身を震わせ、一瞬切ない表情をしたのをアルテイシアは見逃さなかった。本当は軍服も下着もたくし上げて、露になった白い乳にむしゃぶりつきたい。桜色の尖った乳首を口に含み、舌で転がしたい。 冷たく整ったキシリアの顔を快楽で歪めさせたいという欲望に、体が熱くなる。 暫くその欲望と戦っていたが、思い切って身を起こす。キシリアの顔を見上げると、優しく笑ってくれた。 私、あんな事考えていたのに……。とアルテイシアが少し後ろめたいような気持ちになった。同時に、キシリアの笑顔にもっと付けこみたい気にもなる。 「綺麗な口紅ね」 キシリアの顎に手をかけ、そう言った。唇のすぐ下にある親指を少し引き、かすかに唇を開かせた。綺麗な赤い唇の奥の白い歯、赤い舌や口腔の桜色にまたぞくっとした。下腹の辺りが疼くようにじんじんとしてくる。 「この色が好きなら、やろうか？」 そう言いながら、キシリアがたまたま側にあったその口紅をアルテイシアに差し出した。 もしかしたら、貰ったばかりの誰かからのプレゼントだったのかもしれない。 「ううん、いいわ」 そう思うとなんとなく面白くなくて、悪戯したい気分になった。キシリアの手から口紅を取ると、蓋を開け、丁寧にキシリアの薄い唇に塗っていく。伸ばした口紅の尖った先がキシリアの唇に触れるのを見て、連想される性的な想像にまた少し興奮する。 「ここから、貰うから」 そう言うと、いきなりキシリアの首に両手を回し、口付けた。清楚な外見からは想像もつかないほど、飢えた獣のようにキシリアの唇を貪る。少し乱暴にキシリアの柔らかな唇を舌でこじ開け、舌を捕まえ、絡ませる。くちゅ……という音が静かな執務室に響く。伸ばした舌でぺろぺろと猫のようにキシリアの唇や口腔を舐めまわし、啄ばむように口付けては、その次の瞬間には深く舌を絡ませる。キスしながら、片手でキシリアの豊かな乳房を弄って鷲掴みにした。 アルテイシアが唇を離そうとすると、今度はキシリアの手がアルテイシアを押さえた。 「んっ、んっ……」 キシリアの巧みなディープキスに責められて、甘えるような声が唇の間から漏れる。ぴちゃ、くちゅ……といった無骨な軍施設に相応しくない音が卑猥に響いた。唇が甘く痺れ、その痺れが優しく膨らんだ胸や、下腹へと伝染していく。下唇を甘噛みされ、粘膜同士がこすれあうあまりの心地よさに力が抜ける。唇の端から唾液がこぼれているのにも気が付かない。 「ふ……。あっ、ああああんっ」 アルテイシアの甘く高い声と共にキシリアの乳房を掴む手がぎゅっと握られた。ぴんと背を反らせてびくびくと体を震わせ、絶頂を迎える。漣のように寄せては返す優しい快感の波にしばし身をゆだね、大きな波が来たのか、時折あ……と甲高い声を出しては身を震わせる。 キシリアはそんなアルテイシアの体を優しく抱きしめている。あやすように髪に触れ、とんとんと背中を叩く。優しいキシリアの仕草に、アルテイシアが一層強くキシリアにしがみついた。そのまま目を閉じてキシリアの体の柔らかさと体温を楽しむ。 「ねぇ？ どう、似合って？」 乱された荒い呼吸をようやく整えると、身を起こし、そう言ってキシリアとのキスで自分の唇に付いた口紅を指差した。アルテイシアの口の周りには、激しいキスの名残のようにまだらになった赤い口紅が付いている。アルテイシアの清楚な顔と白い肌に獣じみたそれは酷く淫猥だった。 「呆れた。それで判るものか」 キシリアが呆れてそう言う。肘掛にもたれ、膝の上にアルテイシアを乗せている姿は、可憐で清楚なお姫様と冷たく美しい女王様の組み合わせといった所だ。 「フフフ、いいの。キシリア姉様から貰ったものだから」 ぽふっとまたキシリアの胸に顔をうずめ、満足そうにそう言う。 「それで、私は満足よ」 アルテイシアがそう言うと、キシリアが肩をすくめた。困った娘だと言いながら、キシリアの方もアルテイシアが可愛くてたまらないのだ。つい甘やかしてしまう。 「ねえ、今日もキシリア姉様のお部屋に行っても良いでしょう？」 甘えた声でアルテイシアがそう言った。キスだけじゃなくて、もっとキシリアに可愛がって欲しい。あそこも、ここも触れて欲しい。キシリアの白くて大きな乳房にむしゃぶりついて舐めまわしたい。滑らかな太股に歯を立て、熱い蜜をすすって、下腹の熱い疼きを満足させたい。 「私としては、ガルマの部屋に行って欲しいものだが」 苦笑しながらキシリアがそう言った。本心としては、アルテイシアに仄かな恋心を抱いているらしいガルマを応援したい所なのだが、当のアルテイシアがキシリアにご執心なのだから上手くいかない。 「嫌よ！ キシリア姉様の方がいいの」 案の定、キシリアが言ったとたんにアルテイシアがむきになって言い返す。 「ほう……。何故？」 あんまりむきになって言い返すものだから、可笑しくて笑いながら聞き返す。 「だってキシリア姉様が一番強くて優しいもの」 当然。といった顔でそう言うと。ぎゅーっとキシリアを抱きしめる。真顔でそう言ったアルテイシアに一瞬ぽかんとした顔をしたキシリアが、次の瞬間弾かれたように笑い出した。まさか並み居る男を差し置いて、自分が一番強くて優しいと言われるとは思わなかった。 それに、綺麗だし、良い匂いだし、柔らかいわ。とアルテイシアが付け足す 「キャスバルが聞いたら反論するだろうな」 苦笑しながらキシリアがそう言った。「優しい」なんて、軍でキシリアに扱かれてばかりのキャスバルが聞いたらさぞ納得できないだろう。 「いいのよ！ キシリア姉様は私だけに優しくしてくれればいいの」 キシリアに笑われた事が気に入らなかったのか、キャスバルの名前を出したのが気に入らなかったのか、拗ねたようにアルテイシアがそう言った。 「ねえ？ いいでしょう？ 駄目だって言うのなら、私、ここでしてもらうわ」 拗ねて意地になったように、上着のボタンを外し、胸をはだけさせる。かすかに膨らんだ胸の谷間がはだけた胸元から覗いた。 「判りました。いらっしゃい。アルテイシアの望み通り可愛がってあげます」 根負けしたようにキシリアがそう言い、はしたなくはだけたアルテイシアの胸元のボタンをかけ直し、綺麗に整える。キシリアの言葉と、キシリアの優しさにアルテイシアの顔が嬉しさで輝いた。 「姉様、約束よ。破ったらひどくってよ」 キシリアの目を覗き込みながら、念を押すようにそう言う。 「判っています。ほら、こっちを向いて」 アルテイシアの言葉に答えながら、今度はアルテイシアの口元の口紅を拭き取る。くすぐったそうにアルテイシアが目を細めた。 キシリアの手が離れるや否やまた飛びつくようにアルテイシアがキシリアに口付けた。折角拭いたのに……という気にはなったが、そのままアルテイシアの望むまま唇を合わせた。 「大好きよ、姉様」 先ほどよりも甘く、優しいキスに、アルテイシアが幸せそうに微笑んでそう言った。 終 |
