Entreaty












 はっはっはっと犬のような荒い息がケロロの口から漏れる。

 大きな目には涙が浮かび、体を大きくひくつかせたとたんに、涙が一粒零れ落ちる。

 頬を伝い、喉へ滴った涙を、タママの舌がついと舐め取った。

「ま……だ、ダ……メ?」

 涙目になったケロロが、荒い息を吐いてタママに懇願する口調で言う。

「軍曹さん、まだ、まだですよぉ」

 精神の限界にきているケロロとは違って、余裕たっぷりの声でタママが言う。

 タママの舌が、ちろりとケロロの首筋を舐めた。ウウ……とケロロの声が漏れ、快感に耐えるようにぎゅっと目を閉じる。

「あそこも、ここも、触るだけでそんなに感じちゃうんですねぇ。えっちな軍曹さん」

 タママが楽しそうに言い、ぎゅっととじたケロロの瞼をペロンと舐める。

 タママは、大好きな軍曹さんの体をもう何時間も舌で責めつづけているのだ。もちろん、体が刺激に慣れてしまわないよう休憩を置きながら。

 執拗に舌で舐め上げ、指で擽る。

 ケロロの足の間にあるいやらしいピンク色にはぜったいに触れない。

「イかせて……」

 そう言って、ケロロの手が自分のものを扱こうとする。それを察したタママが、その手を素早く捻り上げた。

「つっ、痛い、タママ、痛い!」

「だあめっ! 悪い事するから痛い目にあうんですよぅ! 悪い事する手は縛っちゃいますぅ」

 タオルで両手首を頭の上で縛られ、ケロロはますます無防備になる。

「うぁ、う……、ううっ……」

「泣いたって、イかせてあげない」

 優しい声で残酷な言葉を囁いて、タママはケロロにキスをした。半開きの口に舌を入れ、口の中を舐めまわす。綺麗なキスではないが、けだものじみたキスは二人をよけいに興奮させた。

「イく時はボクの中でじゃないとダメですぅ」

 先ほどから何度も囁いた言葉を、また囁く。そうやってケロロの心を縛っているのだ。

「タ……ママ。も、限界であります。イかせて、タママの中に挿れさせて……っ」

「そんなにボクの中に挿れたいんですかぁ、軍曹さん? うふふ。嬉しいですぅ」

 懇願するケロロをうっとりとした目でタママが眺め、軍曹さんはボクのものだという満足感に浸る。

 でも、もっともっと欲しいですぅ。もっとえっちな軍曹さんが見たいですぅ。

「でもまぁだだめですぅ」

 意地悪くそう言い、軽くキスをした。

 唇から、舌でつつっとケロロの体を舐めて下る。ケロロの目を見ながら、タママの舌はケロロの足の間までたどり着いた。あとほんの数センチで、ケロロが触って欲しくてたまらない所へ触れる。

 ケロロの目が期待に満ち、体にほんのすこし力が入った。

 タママはそんなケロロを見て微かに笑い、目の前にそそり立つピンク色のものにふうっと息をかける。

「ああっ、い、息じゃなくてっ」

 息だけでも感じるくらいにケロロの体は敏感になっているのだが、その快感はケロロをじわじわと苛むだけで射精には導いてくれない。

 ケロロの吐き出したい欲望を逆なでするような刺激に身悶えた。

「なんですぅ?」

「な、舐めて」

 我慢しきれずに、ケロロが愛撫をねだる。ケロロが完全に自分に屈服したのを知り、タママが嬉しそうに笑った。

「いいですよぉ。ただし、先っぽだけですけどねぇ」

 開放を求めたその懇願がさらなる地獄の入り口と知らず、タママの赤い舌がちろりとピンク色の肉の先に絡みつくのを、ケロロが口を半開きにして見ている。

「あ、あ、あ、あ」

 タママの舌がつるりとした肉を舐め上げる。口に含み、口のの中を真空状態にしたまま舌で先の方を舐め上げると、ケロロが悲鳴を上げた。

舌先を固くして、とろりとした透明な体液を分泌する穴を突付く。一番感じるそこを重点的に責められ、ケロロの体がガクガク痙攣し、声にならない声が漏れる。

「辛いですかぁ? 止めます? 軍曹さん」

 タママの責めている所では、快感は感じるが射精はできない。いくら責めても、射精寸前の快感が永遠に続く。

 たまにポイントをずらしてしまっても、ケロロが射精しそうになるとさっと口や手を離し、徹底的にイかせない。

「あ……、止めないで、止めないで欲しいであります」

 タママも快感に貪欲だが、ケロロの方も欲望に忠実な方だ。

 涙と涎にまみれた顔をタママのほうへ向けて懇願する。

「すっごい汗と涎ですねぇ。こーんなはしたない軍曹さんにご褒美はあげられませんよぉ」

「わ、我輩いい子でしょ! 聞いてるじゃないタママの言う事っ! 我慢してるじゃない!」

 ケロロの目からぼろぼろと涙がこぼれ、駄々をこねる子供のように叫ぶ。

「軍曹さん、ボクのために我慢してくれてるんですねぇ……」

 幸せに浸った声でタママがそう言い、にこっと笑った。

「んじゃご褒美ですぅ。軍曹さん、良く頑張りましたねぇ〜」

 タママが、ベッドに横たわったケロロの体の上に四つんばいになり、耳元に顔を近づけて囁いた。

「ボクとの約束守ってくれたご褒美ですぅ。ボクの中でいっぱい出してくださいねぇ」

 ケロロの上にまたがりながらそう言って、ケロロの生殖器を手に取り、そっと自分の後ろにあてがう。

「あ……」

 つぷ……とケロロの先端がなかへ進入してくるその感触に、タママが思わず甘い吐息を漏らした。その顔の艶っぽさに、ケロロが息を呑む。

「ンっ、ふわ、あ、んん……っ」

 腰を落とすと、自重でずずずっとケロロの限界まで怒張したものが挿入ってくる。その感触に、背を反らせ、ぶるぶるぶるっとタママが体を震わせた。

「うわ、タママッ!」

 暖かいタママの体の中で擦りあげられ、ケロロが悲鳴を上げた。ぎゅぅっとタママのなかがケロロを締め上げる。体を鍛えているせいか、タママの仲は奥までよくケロロを締め付け、ケロロはたまらず盛大に射精した。

「はぁ……っ、出……っ。っあ!」

 自分でも判るほどに大量の精液を、どぷどぷとタママの中に注ぎ込む。恥ずかしさと射精の快感、満足感がない交ぜになり、ケロロをいっぱいにした。

「あ……っ。軍曹さん……っ。凄い……っ」

 ケロロを搾り取るような締め付けにたまらず、一瞬膨れ上がったような感覚の後、快感に体をひくひくと痙攣させながら、射精の快感に酔うケロロの顔を満足そうにタママが見る。熱いものが自分の体内で迸る感触を、タママがうっとりと味わう。

 軍曹さんの熱いのが、当たってるですぅ……。

 軍曹さん、いっぱい、いっぱい出てるですぅ……。

 体の奥でケロロを感じ、射精の勢いで、どれほどケロロが気持ちよかったのかを知り、タママが喜びを感じる。

「あれぇ、軍曹さんてば、ボクに瞬殺されちゃったんですねぇ〜。一擦りでイっちゃうなんて早すぎですよぉ」

 意地悪い口調で、ケロロを苛めて言うタママにケロロが真っ赤になった。

「だ、だってしょうがないでしょ、凄い我慢してたんだから!」

「びゅるびゅるって当たって凄かったですぅ。軽くイっちゃいましたぁ」

 ケロロの精液が迸る勢いを感じるだけで、タママもイってしまった。うっとりとした顔でタママがそう言って、うふふ……と笑う。

「まだ出し足りないんだからね、我輩! もうすっごいガマンさせられたんでありますから!」

 射精するだけでも気持ちいいのに、さらにそれをタママに強制的に搾り取られ、頭がおかしくなりそうなほどだった。思わず理性を捨ててその快感に狂ってしまったのが恥ずかしくて、ケロロは声を張り上げた。

「えへへ、軍曹さんとっても可愛かったですぅ」

「煩いであります!」

 ケロロがようやく手を自由にしてもらい、拳を振り上げて身じろぎすると、そのかすかな動きでタママの体がびくっと震えた。目を閉じて、ん〜〜と快感に耐えると、恥ずかしそうに目を開いてケロロを見る。

「軍曹さんがなかにいるだけで気持ちいいですぅ」

 小さな声で恥じらいながら呟いたタママの声に、ケロロが間髪いれず言った。

「見せてよ」

「え?」

 唐突に言われ、タママの丸い目が見開かれる。

「タママのなかに我輩が入ってるとこ、見せて」

「ええ、嫌ですぅ!」

「いーから!」

 ケロロの言葉に、タママがおずおずと両膝を立て、体を心持後ろに引き、ケロロを受け入れた自分を見えるようにする。

「へぇ〜」

 自分の腹の上で、Mの形に足を開き、体内にケロロをを深々と受け入れているタママの姿をまじまじと見る。おまけにタママの足の間には、ピンク色をしたタママの生殖器が反り返っている。

 ケロロをくわえ込んで離さないはしたない自分をまじまじと見られ、真っ赤になってケロロの顔が見られないタママに気がついているが、ケロロはわざと気がつかないふりをする。

「タママも、ここ、辛そうだねぇ」

 つんと張り詰めたピンクの肉を緑色の指先でつつくと、タママの体がびくっと震えた。

「軍曹さぁん」

「甘えた声出したってダ〜ミ。さっき我輩に何したか忘れたでありますか?」

「お願いですぅ〜」

 ケロロの言葉に、タママが上目使いでケロロに触ってくれとお願いするが、ケロロは首を横に振った。

「自分でしなさい」

「やだ……。恥ずかしいですぅ……」

「じゃいつまで経ってもそのままでありますな。我輩しないよ? つらくないの、タママ」

「辛いですぅ!」

「じゃ、したら?」

 突き放したケロロに、泣きそうになりながら、それでも欲望には逆らえずに手を伸ばし、自分をそっと手の中に収める。

「ん……」

 甘い吐息をもらし、軽く握った手を上下する。ケロロの視線が気になってしょうがないらしく、ケロロををちらりと見ては目をそらし、また見ては真っ赤になって目を反らす。

 遠慮がちにそっと手を滑らせたタママの手の上に、ケロロが手を重ねた。

「遠慮しないでほら出すであります!」

 タママの手越しに、タママを力強くしごく。

「あっ、だめ、軍曹さん、出ちゃうですぅ!」

 くちゅくちゅと粘液の音が響き、タママの顔が上気する。ぎゅっと目を閉じ、息を荒くするタママを、もっと乱れさせたいと思う。

 追い上げられるタママの体が、堪え切れずに痙攣する。

「やぁ〜〜〜〜〜」

 びゅっと勢いよくタママの生殖器から精液が飛び出し、自分の手を、ケロロの手を白く汚す。

「んあ、はあっ、あ……、んくっ」

「よくできましたであります」

 タママの頭をよしよしと撫でると、涙ぐんだ目でじっとケロロがタママを見つめた、

「ごめんなさい軍曹さん、手が汚れちゃったですぅ」

「ん」

 上半身を起こし、済まなさそうに呟いたタママの手を引き寄せ、タママの黒い手についた白い精液をぺろりと舐め取る。

「あン……」

 ぞく……とタママの体に快感が走る。

 落ち着かなさそうにもじもじとして、ケロロを見る。 

「また……硬くなるんですかぁ……」

 自分の体内で感じるケロロの変化に、甘えたような困ったような声でタママは言った。

「だってタママまだちゃんとイってないじゃない? 我輩もまだタママとちゃんとしてないでありますし」

 ケロロの手がタママの腰を掴み、からかうように軽く揺らしただけで悲鳴を上げる。

「あ……、ああっ、あっ。ゆ、揺らしちゃダメですぅ!」

「タママ可愛いんだもん。すごくえっちぃし」

 ぐいぐいと腰を突き上げると、タママが息を乱し、ケロロを切なそうに見て背をそらす。

「軍曹さ……ん」

 目を潤ませ、堪えきれずに熱い吐息をもらすタママが可愛くて、もっともっと乱れさせたくなる。

「ボクの中、軍曹さんで……いっぱい。嬉しいですぅ。もっともっと軍曹さん感じたいですぅ」

 タママが嬉しそうに言って、ケロロのものが自分の中をえぐるように前後に動いた。

「凄く気持ちよさそうな顔してるであります」

「気持ちいいですぅ。あっ、軍曹さん、前も、触ってぇ!」

 騎上位で自分の気持ちいいところにケロロが当たるように動きながら、ケロロに更なる愛撫をねだる。

「や、あ、気持ちよくてとまらないですぅ」

 貪欲に快楽をむさぼる自分を浅ましいと思いながら、更なる快楽を求めて腰を振ってしまう自分に、涙を流す。

「えっちだねぇ、タママは。我輩以外の人にこんなエッチなとこ見せちゃダミだよ?」

「ほかの人となんか、しないですぅ!」

「ほんとかなぁ?」

「本当ですぅ!」

「誓う?」

「ああっ、ち、誓いますぅ」

 快感に息も絶え絶えになりながら、それでもケロロに必死に言う。そのけなげでいやらしい姿がたまらなく愛しい。

「ボクは、軍曹さんのものですぅ!」

 心のそこからそう叫ぶタママに満足し、ケロロが上半身を起こしタママと向き合い、タママの唇に軽くキスをした。

「うん、知ってるであります」

「ほかの人となんて意地悪、言わないで……」

 ぽろぽろと涙をこぼすタママの頭を優しく撫でる。

「ごめんね。可愛いから苛めたくなっちゃっただけであります。かわいい顔も、えっちな体も、お調子のりな所も、全部まとめて好きだからね」

「やだ〜〜」

「今度は何でありますか!」

 再び駄々をこねるように泣き出したタママに、ケロロが問いかける。

「ボクの方が軍曹さん好きなんですぅ〜〜。もっともっともっと好きなんですぅ」

 じん……と愛しさが染み渡る。幸せに包まれる。

「うん、知ってる……」

 ありがとね。と耳元で聞こえるか聞こえないかの大きさで囁く。何度でも言うけど、我輩も好きであります。と付け加える。

 不意に、ケロロが動いているタママの腰を両手で掴み、ぐいと突き上げた。自分でコントロールできない快感に、タママが翻弄される。


「我輩、今日はタママの中でしかイかないつもりだから、覚悟しててね」

  ケロロが言うと、頬をほんのり桃色に染め、タママが恥らいながら頷いた。


ENDE




20071102 UP

初出 20050812発行 「KERON ATTACK!」

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