暗闇の中でゆらゆらと揺らめくろうそくの炎の上。 翳した花火の火薬が シュッという音と共に火花を上げた。 まるで噴出すかのように上がる火花は、始めは赤。 次に青、黄色…と次々に色を変え…やがて唐突にその眩しいほどの明かりを落とす。 そうしてまた次に灯された花火は、その短い一生をこの暗闇に焼き付けんとばかりに華々しく燃え上がり、幾筋もの火花を散らした。 「おい、お前は見てるだけかよ」 その儚い一生をぼんやりと見ていた俺に、サイファーはこちらを見もせずにそう問いかけてくる。 「ああ」 他愛のない、いつもと同じその言葉に僅かに振り返った横顔を花火が照らし出した。 「…ったく、テメェはいつもそうだな。こんなに面白ぇのに」 どこか笑っているかのような、優しげな声色。 手にした花火をグルグルと振り回すその後姿はまるで大きな子供のようだ。 なぁ…知ってるか? どうして俺がアンタが提案する事に対して…いつも乗り気じゃないのか、を。 暗闇の中で弾ける火花が幾筋もの跡を残して消えていく。 振り回される花火が残す輝く軌跡が映し出すのは、闇に書かれた光のメッセージ。 意図して書かれるのか、それとも手慰みのようなものなのか。 手馴れたスピードで描かれた彼の名は、瞬く間に闇に飲まれて儚く消える。 それを笑うその横顔が。 儚いものを儚いなどと思いもせずに、一心不乱に楽しむその姿が… 横に並んでいては、見えないものが見える事が有るから。 共に並んで駆け抜けるどこかの施設や、戦場の景色はもう十分過ぎるほどにある。 だからこんな風に穏やかな一時くらいは…アンタの姿を見ていよう、なんて…そんな事。 (夏が終わるからかもな…) 目の前で花火を振り回している彼のようなロマンチズム。 夜空には瞬く星も数えるくらいしかない、そんな晩夏の夜の一コマ。 …残暑お見舞い申し上げます。 ビックリするほど長期間放置し続けた当サイトの残暑見舞いで有りました。 本当にもう何というか…“残暑どこ?” と思うくらいには長々と置いてましたね; はっきり言って 忘 れ て た !!(やっぱり ダメダメですね…これからの行く末が危ぶまれます…orz |