赤い 赤い 俺の指先 拭っても 拭っても 決して消える事の無い 罪の色 Special thanks: ゆう様 『Red』 毎日が戦いの連続。 一つの終わりは新なものの始まりに過ぎない。 …そんな毎日を送っているせいか…時折俺は酷く後味の悪い夢を見る…。 夢の始まりは赤 赤く染まった大地に一人、立っている ぐるり360度、見渡すかぎり…どこまでも続く赤い砂が覆う大地 他には何もない ただ延々と続く薄汚れたような青と剥き出しの赤茶けた大地だけ 俺は当てもなく進む 有る筈の太陽もなく、やがて来る筈の夜もない 右も左も解らぬままで…ただ足を交互に前へ出して進んでいた どのくらい進んだのかもわからねぇ ここはどこだ? 問い掛けに答える声もない ここに居るのは、俺だけだった …何日も何日も…たった一人でどこまでも続く何もない大地を歩く 初めは退屈 次に不安 そして苦痛 …やがてそれさえも乗り越えると人というものは理性を無くすらしい どこからともなく血の臭いがしていた それになにかが焼け焦げるような、胸糞が悪くなるような臭いも だが俺は走っていた 最後の力を振り絞るように、全力で たどり着いた臭いの元は…見慣れたガーデン 俺が育った場所 蒼い山脈をバックに白く美しいラインで聳えていた筈のその建物はみるも無残なまでに破壊され、 あちこちからまだ火の手が上がっている 正門だった場所からハイペリオンを手に中へと進むと、あちこちで生徒が倒れていた まだ生きていて呻いている奴も居る それを横目にさらに踏み込めばカードリーダーは失われ 絶えず流れていた水のないホール 訓練施設から逃げ出してきたのか…数頭のアルケオダイノスがその口元を赤に染め その中には幼い手をぶら下げて歩いているヤツも居た 炎がちらちらとその赤い舌先で逃げ惑う人影を弄っている 「サイファー!」 怒りのような、悲しみのような叫びが正面で上がって…俺は笑った この阿鼻叫喚の光景の中で笑う俺は自分であって自分では無いような、不自然な形でそこに有る 真っ直ぐ垂直に構えた黒いガンブレード その切っ先に佇んで見慣れたほの白いガンブレードを構えているのはスコール その表情はまるで俺を怨んでいるかのような冷めた眼差しを携えて真っ直ぐに俺を見ていた ドンッと一際激しい爆発音が鳴り響いたのが合図 俺達はもう互いしか見えてないような勢いで真っ直ぐに走った 打ち合わせた刃が辺りに鋭い金属音を響かせて 俺は振り向き様に スコールは一度軽く後ろに下がって再び踏み込みながら 互いに躊躇う事なくトリガーを引いた 腕といわず肩の辺りまで痺れるほどの衝撃 だが俺達は剣を翳す事を止めなかった 何度も何度も…そうして繰り返し やがて近距離で炸裂する爆音に耳をやられ 爆発と同時に網膜を射る閃光に視界を奪われ 伝わって来る衝撃に腕の感覚を失い …それでも俺達は戦うことを止めなかった 弾かれるように互いに後ろに下がって…また再び踏み込まんと走り出した時 不意に視界の中に飛び込んで来た、小さな黒い塊 その瞬間の俺達の行動はこれから先の未来を予測させるものだった それが何なのかという事も確認することをしなかったのは俺 それが年少の生徒だと気付いて、咄嗟に庇ったのはスコール 赤い 赤い 俺の指先 子供の泣き声と 轟く爆発音と 焼け落ちるガーデンと 一面に撒き散らされた赤の色彩 見渡す限り一面の赤… 足元に累々と積み上げられた屍の上で俺は空を見ていた どこまでも続く、遠い空 眩しくて翳した手は血に塗れて赤かった …そんな夢を見る。 目覚めた瞬間はその後味の悪さとじっとりとかいた汗に寒気さえ覚えるほどだ。 幾度も繰り返した “アレは夢だ” という言葉。 だがいつも思う。 本当にアレは夢なのだろうか…? 赤い 赤い 俺の指先 拭っても 拭っても 決して消える事の無い 罪の色 はい、またもやらかしております。 『人様のイラストに勝手に挿文』 という、ある意味シリーズのような状態(違 というか本当にこれはイラストを見せて頂いた瞬間に ポポポン!と湧き出してきたものなので、 正直自分でもこの仕上がりの速さに驚いてます。 いつもこのくらい早く仕上がると良いんですけどねぇ…(へら ※ゆうさんのお宅がジャンル変更に伴い、イラストなどを撤去されたのでこちらの方でイラスト付きでUPさせて頂いております。 Special thanks:ゆう様 |