魔王軍の強さ
闇の伴侶である魔王は何にも縛られてはならない。
大切なものが出来ればそれは弱みになり、それを使って万魔の王の存在を脅かさんとするものが現れる。
だから決して、特別な存在を作ってはならない。
ベルの王とは、万魔を統べる存在でありながら、絶対の孤独有し、闇に全てを捧げ、ただ一人で頂点に立つ者だった。
少なくとも今までのベルの王は。

けれど今回の魔王は違った。

弱き悪魔にも出来る仕事を探し、強き悪魔の戦場の功を労い、元人間であった時からの魔王軍の幹部にも優しく、彼は魔界を愛していた。
決して特別な存在を作ってはならないはずの魔王であるレンは自分の周りにあるすべてのものを愛していた。
いつだったか、誰かが聞いた。
特別な存在も大切な何かも、王にとって弱みとなるのではないか。
けれどその誰かにレンは笑って応えた。

「弱みになんてならないよ。オレにとってそれはパワーの源だもの」

そういった意味で彼はとても異質な魔王だった。
それは彼が元人間だからか、愛された神の子だからか。否、彼が彼という存在だからだ。
そして彼が万魔の王となってから、魔界はその様相を変えた。
東京封鎖が行われた際に荒れ果てた地区は彼が創造した城に合わせて花や木が生い茂る花園のような空間になった。
もちろん、それは魔界のごく一部だ。レンの城を取り囲むようにそれは作られている。それも先ほど言った力弱き悪魔が創り上げたものだ。
一朝一夕に創られたのではない。長い歳月をかけて魔王軍が力を蓄えるのと同じように時間をかけ、疲れ果てた悪魔が帰ってきた時、心安らげるようにとレンが願い、弱き悪魔がそれに応えた結果だ。
周りはそのまま荒れ果てた大地を晒していたが、それより先に踏み込めば、まるで神々がそこで暮らしているかのような美しい場所。
それを知る者は魔界の住人だけだった。

「オレは孤独じゃないよ」

笑って言う魔王のその笑顔に影はない。
彼は大切なものに囲まれて、特別な存在を多数その腕に抱き、それこそが魔王を強くする。
争いごとの嫌いな魔王ではあったが、彼は決して弱くは無かった。
天使の大軍が攻めてきた時も勇猛果敢に立ち向かい蹴散らした。弱き悪魔が傷を負えばその力を以って傷を癒した。
そして必ず、彼は最後に微笑んだ。

「大丈夫?」

天使の返り血を浴びて尚、無垢な少年の笑顔で、否、聖母にも近い微笑みで彼は振り返り悪魔に言った。
神側についた者でさえも、その中に唯一神を見たほど、それは余りに人離れし、尚且つ闇に身を落した者とは思えない笑みだった。
それからか。
彼の周りで堕天した天使の姿を見られるようになったのは。

花々の咲き乱れる魔界で妖精と戯れる姿は、それが魔王だとは誰も思うまい。
けれどバベルの試練を乗り越え、数多のベルを取り込み、万魔の頂点に立つ、紛れも無い魔王だ。
たとえ外見が幼く華奢であろうとも屈強な悪魔も天使も彼の前では赤子同然だった。
だと言うのに彼はひどく淋しがりやで、ベルの王は孤独であるものだという理念を真っ向から否定した。
だから彼の傍には必ず誰かが控えている。ロキであったりクーフーリンであったり、とにかく魔王軍でも強き力を持つ者が彼の傍にいた。身体のみでなく、心を守る従者として。
魔王軍は強く、未だ無敗を誇る。そしてその頂点に立つレンもまた強く強い。
けれど多くの天使と人はその強さの源を履き違えている。
レンは殺戮の限りを尽くす破壊神でも闇に飲まれた愚者でもない。ただ優しかっただけだ。
優しさが強さとなり、魔王となった。そして魔王軍は類稀なる王を冠し、今も戦い続けている。

             


なんとなく魔王軍について書いてみたくなった。
CP系書こうと思ってたんだけどなー…あれ?(あれ?って)

2010/10/26 改訂

           

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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