魔王ご一行のとある日の出来事。〜主人公の猫耳について〜
なあなあ、もしレンのヘッドフォンがほんとに猫耳だったらどうしたらいい?

先ほどからちらちらと我らが魔王の方を見てはため息を吐いていた同僚(というのか?)に、さすがに鬱陶しくなって、仕方なく声をかけてやる。
うだうだしてられてもカイドーだって気分がよくない。けれど話しかけて、返ってきたのは至極真面目な顔と裏腹にもうこれ以上ないんじゃないかというくらいくだらないことだった。

「おめーいっぺん死んでみっか?ああ?」
「うわ、タンマ、ちょ、だって想像してみ!?」
「てめ、マジオタクだな…!」

確かに変わった形のヘッドフォンだ。見ようによっては猫の耳にも見える。だからと言って直結して猫耳をつけたレンなんて、

…レンなんて、………。

「あ、カイドー、今ちょっといいかもって思っただろ」
「思ってねえよパソコンオタクヤロー!」

ぎゃいぎゃいと騒がしくしているアツロウとカイドーにも慣れてしまったレンは会話の内容など気にも留めず、お気に入りの仲魔にもたれかかって夢の世界と現実の世界の境目でうつらうつらとしていた。
騒がしくても眠れる。静かでも眠れる。それくらいのタフさがなければ、魔王ご一行の中心人物としてはやっていけないからだ。

「ぜーってえ思った!」
「思ってねえ!」
「素直になれよ、顔が赤いぜカイドー」
「誰がだ、てめ、パソコンの中身全部あいつにバラすぞ!」

う、と言葉に詰まったアツロウに、カイドーは容赦なく続ける。

「あいつが知ったらどう思うかなー?むしろ従兄様に教えてやろーかなー?」

なんてことを言っているアツロウとカイドーの間をすり抜けるようにして、ひゅん、と一陣の風が吹いた。
趣味の悪いスーツを着た顎鬚の男。さすがに気配で気付いたのか、レンが、うわ、ロキ、と嫌そうな顔をした。枕代わりにされていたケルベロスも吼えはしないがじっと睨むように見つめている。

「やあやあ、元気にしてたかい?」
「うん、今さっきあんたが来た所為で最悪になった」
「今日はプレゼントを持ってきたんだよ。似合うと思うんだけどねぇ?」

差し出されたのは、耳あてだかカチューシャだかなんだかわからない物体だった。
…ただ、耳に当てる部分にスピーカーがあることと、レンが普段しているヘッドフォンのコードと同じ形でもふもふとした毛があることで、ああ、どいつも考えることは同じだ、とアツロウはため息をついた。
大体アツロウが先ほどのようなことを言い出したのだって、ナオヤが作り変えるかとかネコマタあたりの力を吸収すれば耳でも生えてくるんじゃないかとか言い出したからだ。断じてアツロウ一人の責任ではない。
無言のままのカイドーが気になってちらりと様子を見て見ると、先ほど以上に顔を赤くしていた。免疫なさそうだからな、と人事のように思って、それから魔力を一気に溜め込んで今まさに放出させんとしている友人に眼をやった。
いつの間にか彼の頭にはロキの持ってきた猫耳が取り付けられている。
とりあえず盾の名は伊達じゃないぜ、とシールドを張り(ついでにカイドーも入れてやり)、破壊された後の城の修理はロキ一人にやらせよう、と心に決めた。
…それより、一応魔王対魔王の戦いなのだ、どこまでこの城保つんだろうか。ロキは完全に面白がってるだけだから、余計に後が怖い。怒りが沸点に到達すること自体少ないレンだからこそ、そうなった時の恐ろしさはナオヤを凌駕する。
どうか無事に済みますように!とシールドを自分の周りを囲むように張り巡らせながら思った。

              


拍手。2009/03/24から2009/04/07までのもの。

              

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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