| 生きてね。 「ペットショップの動物ってさ、買われなかったらどうなるか知ってる?」
ホームセンター、熱心にペットコーナーにいる子猫を見ているアスカに、引きずられて同行させられたカヲルがさして興味もないように言う。
アスカはことりと首を傾げ、知らない、と返した。
「この間ネットで調べたんだけど、処分されるんだってね。大抵の場合」
「…処分って」
「殺されるってこと」
事も無げに言い放ったカヲルの表情から感情は読み取れない。
ショーケースの中の子猫はただただ愛くるしく、ガラスをカリカリとかいていた。
確かにペットコーナーの動物は定期的にいなくなっている。それをアスカは飼い主が見つかったのだと思っていた。
いや、大半はそうなのだろうと思う。
でも、では、それ以外の動物は?
「なんでそんな話するのよ」
可愛らしい猫を見る為だけにペットコーナーに来たというのに、普段なら癒されるはずの心はぎしぎしと音を立てた。愛らしい子猫が急に可哀想に見える。
「さっき、子猫を買った人がいたんだ。その人に店員が諸注意を説明していてね。何日かまでは聞こえなかったけど、その猫が死んだりワクチンで予防できるはずの病気を持ってたら新しい同じ種類の猫と交換するんだって」
「命なのに?」
「そう。同じ命なんてどこにもないのにね」
「……」
「リリンのやることはたまに理解に苦しむよ」
「そんなの、あたしだって理解に苦しむわ」
「うん、アスカは嫌がるだろうと思った」
もちろんカヲルだってそんな命の扱い方は好かない。
生きていても苦しいだろう、これ以上延命しても、ただ苦しいだけだろうと思えば、殺すことも仕方がないのかもしれない。実際そんな子猫を手にかけてシンジに気味悪がられたこともある。
けれど、ここにいる動物はどうだろう。
重大な病気を抱えているか?命に支障を来たす怪我を負っているか?死を選ばなければならない疾患を持っているか?
見た目だけは可愛らしい動物たち。彼らはどのようにしてここに連れてこられたのだろう。
生き物なので返品交換出来ませんと言いながら、不良品(品なのか?)は代替品を用意するという。
底冷えのする話だ。
「…なんか吐き気がしてきた」
「どうして?」
「だって、気持ち悪い、そういうの。可哀想だわ、動物が」
心底嫌そうに顔を歪めてそう言い、それから憐憫の眼差しでアスカは先ほど熱心に見ていた子猫に語りかける。
「…あんた、死なないで、幸せになんのよ」
そう小さく呟いたアスカの手を取って頭を撫でる。
「アスカがそれを哀しいと思える人でよかったよ」
拍手。2009/7/12〜2009/08/23までのもの。
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