夢の中の君よりも
紅茶色の髪を風になびかせて、少女が笑う。
屈託のない笑顔で笑いかけられて、心臓が鳴ったと同時に、それが夢であると気づく。
彼女は一度だって、自分にそんな風に笑いかけてくれたことなどない。
そしてまた、笑った顔を自分に向けて欲しいと思ったこともなかった。

はずなのに。

夢の中だと理解しながら夢を見続けるのは、どこか滑稽で、どことなく淋しい。
つくりものの彼女は、自分の想像の域を出ない笑顔で、それでも可愛らしく微笑んでいる。
現実では有り得ない。
これが現実であったなら、こんな淋しさは感じなかっただろうと思って、それからようやく気づいた。

彼女のことが好きなのかもしれない、と。

笑っていて欲しいと思うほど彼女と自分の距離は近しくないし、仲がいいとも言えない。
同年代の男を馬鹿にした態度に、苛立たしいと思ったことも一度や二度じゃない。
けれど、その気の強さを疎ましく思ったことはなかった。
友達と笑いあう彼女を見て、あんな顔も出来るんだ、と思った。
ひょっとしたら、自分は彼女の友達を羨んでいたのかもしれない。

「でも、現実のアスカの方がいいなあ」

手酷く痛めつけられても、ばっかじゃないの?と見下されても、それでこそ彼女だと思うし、こんな風に優しく笑いかける彼女を見ていると、なんだか自分が惨めになる。
夢の中でしか自分に笑いかけてもらえないなんて、切なすぎるじゃないか。

「ばっかねえ」

最後まで優しく微笑んだまま、彼女は消えた。
彼女らしからぬ笑みで、彼女らしく言った、馬鹿ね、の一言で、自分は目を覚ました。

ぱちりと目を開けて何度か瞬きをする。光の加減からいって、まだ夜中だということはすぐに察することが出来た。
見慣れた天井に、何故かひどくほっとする。

それは彼女への好意を自覚した日。

(まあ、だからって何も変わらないんだろうけど)

         


拍手。2009/10/7〜2009/11/25までのもの。
アスカさんとケンスケ。ウッカリ。

               

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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