あなたが泣くから。
いつもいつも死と隣り合わせ。
いつもあなたは泣いていて。
いつも私は笑っている。

「そんな心配しないでください、大丈夫ですから」

笑って、なんでもないことのように言えば、あなたは眉間に皺を寄せて、搾り出すように、気をつけて、と言った。
マフィアは死と隣り合わせ。
それを一番嫌がったあなたは、それでもマフィアのボスとなり、私はあなたの右腕となった。
銃を使わなかった10年前。今はダイナマイトと併用して銃を持つ。
私があなたの為に何かを成す為に必要なもの。

「油断は命取りになる。勝手に死ぬことは許さないから」

その言葉に笑顔と共に頷いて、あなたの隠した悲しみを置き去りにして私は歩く。
血生臭い抗争は、やはり死と隣り合わせで、すぐ間近に死があった。
忍び寄る死を蹴り飛ばし、ダイナマイトで攪乱し、銃で打ち抜く。
あなたの為に私はまだ死ねない。
私は私の為に、あなたの傍にいたいから。
無闇に戦うことを望まない心優しいあなたは、私が軽々しく戦いに赴くことを望まない。
けれどあなたの手足となることを望み、利益に繋がることを望む私は、同時に戦いも望む。

「オレが笑ってる理由を知らないでしょう」

あなたが私を守りたいが為悲しみに顔を曇らせる度、私は私の存在価値を量った。
私は私の生きる目的をあなたに求めた。
あなたは寸分の狂いなくそれを満たしてくれる。その為に縮まった死との距離など怖くない。

「あなたが泣くから、オレは笑えるんですよ」

小さく呟いた言葉は足音に紛れて消えた。

             


拍手。2009/010/7〜2009/11/25までのもの。
屈折した獄寺と割とホワイト(おそらく)な10代目。

               

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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