G襲来
「先輩、先輩、せんぱーい!」

だんだんだん!

「だー!お前は夜中に男の部屋叩くな!」
「先輩大変!大変なの!助けて!」
「…何がだ、とりあえず落ち着け」

影時間数十分前、突然勢い良く扉が叩かれた。
嫁入り前の娘が男ばかりの2階にこんな夜中にやってくるなんてお前はどういう教育を受けてきたんだ、と痛む頭を押さえながら扉を開けると、途端に唯がガバっと抱きついてきた。
何事だと思いながらよく見てみると、どうやら唯は泣いているらしい。

「おい、どうした?」
「……ご、」
「ご?」
「Gが出たあああああ!うああああん!!」
「……は?」

えぐえぐ泣きながらしがみついてくるものだから、無下にも出来ず、仕方なく頭を撫でてやる。
Gとは何だろう。ご、で始まって、唯がこんなにも泣き喚いて助けを求めるようなもの……。

「ゴキブリ、か?」
「正式名称言わないでくださいぃいいい!」

この際ゴキブリが正式名称なのかどうかはともかくとして。
シャドウ相手にフルボッコかますような唯がゴキブリが苦手というのもどこかおかしい気もするが、辛抱強く宥めて話を聞いてみると、やはり部屋にゴキブリが出たらしい。
部屋もこまめに掃除しているようだし、食べ物も部屋には持ち込んでいないはずだ。だって夕食は大抵自分が作ってラウンジで食べているのだから。ではなぜゴキブリが出たのだろうか。
疑問はあったけれども、原因を突き止めるより、とりあえずこの状況をどうにかした方がいいと思い立つ。
唯が泣き喚く所為で順平やら明彦やらが顔を出して、その視線が痛い。
新聞紙を丸めて対ゴキブリ用兵器を手にし、荒垣はG殲滅に取り掛かった。

   

「おい、もう大丈夫だぞ」
「ありがとうございます!あ、先輩手洗ってくださいね!?G菌が残っちゃいます!」
「へいへい」

言われるまま丁寧に手を洗い終え、部屋に戻ろうとすると、唯がひょこひょこ付いてくる。
まだ何かあるのか、と訊ねると、満面の笑みで眩暈のする台詞が返ってきた。

「部屋、まるごと全部清掃するまで、先輩の部屋で寝ます!」
「はあ!?」
「だって怖いじゃないですか。1匹いたら30匹いると思えって言うんですよ?唯の部屋にもまだいるかもしれないし…、部屋全部きれいにするまで、あの部屋で1人で寝るとか無理です!」
「お前な…」
「ってことで、お邪魔しますよー」

そう言うと、唯は勝手に荒垣の部屋に入り、ちょこんとベッドに座る。
これはあれか。床で寝ろってことか。そんなことを思いながら扉を閉めた。
部屋が同じ3階というだけで美鶴やゆかりたちの部屋では安心出来ないのだろう。下手に放り出して順平や明彦の部屋に行かれても困る。

「先輩、せんぱーい、一緒に寝ましょー」
「1人で寝ろ」

唯にしてみれば部屋に押しかけた挙句部屋の主を床に寝せる訳にはいかないという配慮なのだろうが、これが自分相手以外にも言っていたのだろうか。自分の部屋に招き入れておいてよかった、と荒垣は胸を撫で下ろした。

      


2009/11/25〜2009/12/25までのもの。

G襲来とかしたらその部屋で寝るのすら怖ろしいのはハム子ではなく佐倉さんだ。

               

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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