探求者
誰かを愛すると、際限が利かなくなる。
その人の全てが欲しくなる。
血も肉も全て自分のものにしたくなる。
そのくせ全てが手に入れば、愛したのは自分なのに、どうでもよくなって放り出した。
何度となく詰られ、恨まれても、それを改めようなんて思いもしなかった。
それが当たり前で、そうでない状況など一度もなかった。
自分だけを愛してくれ、なんて言われても、愛なんてものを知らないロキに一体どうしろと言うのだ。

「くだらないよねぇ…、ほんと、くだらない」

ふと思い出す。
浅葱の髪と瞳を持ち、弱弱しい生き物のくせに凛と背筋を伸ばす、ベルの王候補。まだ何にも染まっていない、神魔どちらにもなれる、まっさらな魂を持つ神の子。
彼に会うたび、彼を欲しいと思う衝動が募った。
血も肉も細胞すべてに及ぶまで、自分のものにしてしまいたいと。
どうせまた、飽きたら放り出すおもちゃのようにしか思っていないのに、まるで人間のような勘違いをしてしまいそうになる。
そう、これは勘違いだ。人に余りに長く触れすぎたから、その所為で起こった勘違いだ。

「だって真実の愛なんて、見たこともないもの」

長い長い年月、ロキは人と共に在った。
口先だけの愛の言葉、偽りの愛情、そんなものばかりで一度として真実愛と呼べるようなものは見たことがない。
そのくせ、そんな有り得ないものを求める人間は滑稽で、ロキにとっては体のいいおもちゃ以外何ものでもなかった。
けれど、心のどこかで、その真実の愛とやらを得たいと思っている。そんなものを抱いてみたいと思っている。
それは、あの子供相手になら、出来るかも知れないとも思っている。

「…ククッ、まあ時間はまだまだあるんだ。そう、永久とも言える時間が僕にはある」

そして、おそらくベルの王となり、万魔を従えるようになる彼にも、時間はたっぷりとある。
何百、何千、何万の時をかけて、それを探求してみるのも面白いかもしれない。

「ねぇ?愛しい僕の魔王様。…フフ、今はまだ、未来の、かな……」

口先だけの薄っぺらな愛を望んだ馬鹿な生き物たち。けれど、彼はそんなもの望まないし、彼にはそんなもの通用しない。
どうやったら、彼の眼鏡に適う感情に辿り着けるのだろうか。

              


拍手。2009/11/25〜2009/12/25までのもの。

探求者はロキの異名のうちのひとつ。

              

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル