探求者 |
誰かを愛すると、際限が利かなくなる。 その人の全てが欲しくなる。 血も肉も全て自分のものにしたくなる。 そのくせ全てが手に入れば、愛したのは自分なのに、どうでもよくなって放り出した。 何度となく詰られ、恨まれても、それを改めようなんて思いもしなかった。 それが当たり前で、そうでない状況など一度もなかった。 自分だけを愛してくれ、なんて言われても、愛なんてものを知らないロキに一体どうしろと言うのだ。 「くだらないよねぇ…、ほんと、くだらない」 ふと思い出す。 「だって真実の愛なんて、見たこともないもの」 長い長い年月、ロキは人と共に在った。 「…ククッ、まあ時間はまだまだあるんだ。そう、永久とも言える時間が僕にはある」 そして、おそらくベルの王となり、万魔を従えるようになる彼にも、時間はたっぷりとある。 「ねぇ?愛しい僕の魔王様。…フフ、今はまだ、未来の、かな……」 口先だけの薄っぺらな愛を望んだ馬鹿な生き物たち。けれど、彼はそんなもの望まないし、彼にはそんなもの通用しない。
拍手。2009/11/25〜2009/12/25までのもの。 探求者はロキの異名のうちのひとつ。
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