ひとつ、ふたつ、魂が還る。
みっつ、よっつ、空へ還る。
いつつ、むっつ、ななつ。どこまで数えたら君はもう一度生まれてくるのでしょう。廻る廻る輪廻の螺旋。いつか生まれてくると信じ、いつかまた会えると信じ。空へ還る魂を見つけてはその数を数えた。
数を数えるのにも飽きが来て、億も兆も京も飛び越えて、いくつまで数えたかわからなくなって、再会を諦めかけていた時、彼は現れた。
宝石よりも美しい色をした、意志の強そうな瞳。月の光を閉じ込めたような銀糸の髪。
会いたかった。生まれてくることを、それこそ気の遠くなるほどの年月待ち続けた。
こちらを睨みつけてくる鋭い視線、血塗れの飢えた獣のような。
ああ、そんな君を僕は待っていた。
「こんにちは、はじめまして」
現世の君。まだ幼い君。まだ何も知らない君。
生気に溢れ、気高い獣の瞳を持つ、かつての僕が何より愛し、現存する僕が何より求めていた君。
地べたを這い蹲らせて傷だらけにして絶望をプレゼントしてあげる。
君の死は僕によってしか許さない。僕の死は君によってしか許さない。
「今度の君を殺すのは僕かな。それとも君が僕を殺してくれるのかな」
堪えきれない笑みを口の端に乗せると、気味悪そうに顔を歪める君。
ああ、そんな君を愛しているよ。
ひとつ、ふたつ、魂が還る。
みっつ、よっつ、空へ還る。
いつつ、むっつ、ななつ。その次に還る魂は僕か君か。
拍手。2009/11/25〜2009/12/25までのもの。
前世の記憶を持ち続けている骸さんと骸さんと獄寺。黒耀戦のとき。
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