匂いフェチ
荒垣の部屋。相変わらず唯は何が楽しいのか、この部屋にやってきてはこの日もごろごろと時間を過ごしていた。
が、突然何を思ったのかちょこんと膝の上に乗ってしがみついてきた。
唯のこういった突飛な行動は今に始まったことではない。荒垣も特に驚くことなく唯の腰を支えて抱えてやった。

「…先輩ってなんか、いつもいい匂いがしますよね」
「は?」
「傍にいるとすごい落ち着くっていうか、とけちゃいそう」
「とけるって何だ」

なんとなく流れで唯の頭を撫でてやる。鼻を擦り付けるように首元に顔を埋める唯がまるで犬や猫のようで微笑ましい。
柄ではないと笑われるかもしれないが、仕草ひとつひとつが可愛らしく見えて荒垣はそっと笑みを浮かべた。

「なんだろう…香水とかじゃなくて…」
「俺が香水なんかつけるように見えるか?」
「つけてたらつけてたでカッコいいですよ?」
「アホか」
「うーん…」

くんくんとしばらく匂いを嗅いでいたが、少しすると顔を上げて、ほにゃ、と柔らかく微笑んだ。
そうして今度は荒垣の頬に音を立てて口付ける。

「きっと荒垣先輩自身の匂いですね」
「俺の匂い?」
「お風呂上りでもタルタロスでも近くにいるとおんなじ匂いがするんだもん。おかげで唯はいつでもメロメロです!」

………。

「先輩?」

頭痛がする。元気いっぱいで答えた唯は荒垣の沈黙にきょとんとしている。返す言葉を見つけられずに荒垣は溜息を吐いた。
ふと思い立って、脇の下に手を差し込み、犬猫を持ち上げるようにして唯を持ち上げる。そのまま抱きしめて深く息を吸った。
(自分だって菓子みたいな匂いがするくせに)
唯の傍に行くと砂糖菓子みたいな匂いがする。普段よく甘いものを食べている所為か香水やコロンを使っている訳でもないのに甘い香りがする。
存在同様、ほっと心を落ち着かせる匂いだが、それとは逆の気持ちにもさせる、唯特有の匂い。

「俺も好きだな」
「え?」
「お前の匂い」

      


2009/12/25〜2010/2/23までのもの。

匂いフェチなハム子と荒垣さんのお話。

               

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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