匂いフェチ |
荒垣の部屋。相変わらず唯は何が楽しいのか、この部屋にやってきてはこの日もごろごろと時間を過ごしていた。 が、突然何を思ったのかちょこんと膝の上に乗ってしがみついてきた。 唯のこういった突飛な行動は今に始まったことではない。荒垣も特に驚くことなく唯の腰を支えて抱えてやった。 「…先輩ってなんか、いつもいい匂いがしますよね」 なんとなく流れで唯の頭を撫でてやる。鼻を擦り付けるように首元に顔を埋める唯がまるで犬や猫のようで微笑ましい。 「なんだろう…香水とかじゃなくて…」 くんくんとしばらく匂いを嗅いでいたが、少しすると顔を上げて、ほにゃ、と柔らかく微笑んだ。 「きっと荒垣先輩自身の匂いですね」 ………。 「先輩?」 頭痛がする。元気いっぱいで答えた唯は荒垣の沈黙にきょとんとしている。返す言葉を見つけられずに荒垣は溜息を吐いた。 「俺も好きだな」
2009/12/25〜2010/2/23までのもの。 匂いフェチなハム子と荒垣さんのお話。
|