肩凝り。
こきり。
固まった筋肉をほぐすついでに首を曲げると関節が悲鳴を上げるように音が鳴った。
肩の辺りがだるいから、これは肩凝りかもしれない。
キィ、と椅子の背もたれに身体を預けてパソコンのディスプレイから距離を取る。目の粘膜が乾いたように引きつって、瞬きをした瞬間痛みが走った。
少し根を詰めすぎたかもしれないと思って首を反対の方向へ傾げるとまた音が鳴って少しばかりげんなりとした。

魔王城のセキュリティは悪魔たちの力だけでなく人間の作り出した機器をも使って整えられている。専らそれを調整するのはナオヤの役目で、同じくそういった知識に精通しているはずのアツロウさえも手出し出来ないほどの領域になっている。腐っても天才プログラマーと呼ばれただけはあるといったところか。
もちろん天使たちにこの機械は意味を成さない。これは稀にやってくる人間たちの為のものだ。
レンは人が傷つくことを望まない。けれど悪魔やその安寧を侵害するものを許さない。レンが傷つかない為には、謂わばあってしかるべきシステムだった。

ふう、と小さく息を吐くと、相も変わらず部屋に入り浸ってソファで雑誌を読んでいたはずのレンの気配をほんの間近に感じた。

「どうした?」

振り返らず訊ねてもレンは驚きはしない。彼が魔王となり自分が彼の側近となってからも、彼が人であり自分も仮初めに人の真似事をしていた頃からも、余りに長い時間傍にいた所為だ。
レンはナオヤが何をしても何を言っても驚かない。そういうものだと思っているのかもしれなかった。
そっと華奢な手がナオヤの肩に触れる。指先が確かめるように凝り固まった肩のラインを押しなぞった。

「かっちかち…」
「職業病だ」
「ふうん」

それだけの短い会話をして、レンはナオヤの肩に両手を置き揉み解すように指を動かしていく。
ごく稀に彼はこうやってナオヤを労わるように触れることがある。レンのこういった行動は大抵が気まぐれによるもので今回も意味はないのだろう。
肩揉みというのは決して楽なものではない。けれど献身的なまでに彼はナオヤの疲れを癒そうとする。おそらくこれがナオヤでなくてもレンは同じことをするのだろうけれど。
指先が余りに優しく身体を癒すものだから、特別大切にされているようでどこか面映い気持ちになった。

「ありがとう」

常になく素直にそう感謝を伝えると、一瞬驚いたように指の動きが止まって、照れくさそうな笑い声が返ってきた。

              


拍手。2010/11/18〜2011/04/01までのもの。

たまにはナオヤさんに優しいレンで。
そんなことを書いている佐倉さんは極度の肩凝りと腰痛持ち。

              

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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