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「どういうこと?」

久しぶりに家に帰ってきたミサトが我が家で見たものは、シンジの呆然とした表情と、一枚の置手紙だった。
やけに可愛らしい便箋に、やはり未だ慣れていなかったのか、崩れた日本語が書かれている。

エヴァを降ります。
探さないでください。
アスカ

便箋を手に取り、内容を読んで、ミサトはもう一度、どういうこと?と呟いた。
シンジ曰く、自分が家に帰ってきたときにはすでにこの手紙が置いてあって、アスカの部屋の荷物が少し少なくなっていたらしい。
入るな!と張り紙のされた襖を開けて見てみると、確かに荷物が減っている気がする。やけに目立つところに制服がかけてあったから、ひょっとしたら学校さえも行かないつもりなのかもしれない。

「まさかアスカがこんなことするなんて…」

シンジには監視がついていた。と言っても逃げ出すとわかっていた時につけただけで普段の行動までいちいち監視していた訳でもない。レイやカヲルはもちろん、アスカにそんなものはつけていなかった。
あくまでもミサトには、だが、アスカが何より大事にしていたエヴァに搭乗している自分を放棄するとは思えなかった。だから必要がないと思っていた。
けれど確かに最近アスカはシンクロ率も低下していたし、話しかけても無視されるばかりだった気もする。監視をつけておけばよかったと思っても後の祭りだ。
保護者失格ね、とため息を吐くミサトとは対照的に、シンジは呆然としながらも、どこかでこれを予期していたように目を伏せた。
ミサトはアスカが倒れたことを知らない。誰がそれを病院に連れて行き、誰がアスカを家に連れて帰ってきたのかも知らない。誰がその傍にいたのかを、ミサトは知らない。シンジは知っている。その違いだ。
知らないミサトはどこか縋るような面持ちでシンジに訊ねる。

「ねえシンちゃん、アスカの行きそうなところ…心当たりない?」
「いえ、知りません…僕、そんなにアスカのこと知らないし…」

この時、シンジは嘘を吐いた。
ミサトもそれが嘘だとわかった。
けれどそれをあえて言及することをせずに、そう、とまた一つため息を吐いて、それからシンジに背を向けた。

「ミサトさん、どこ行くんですか」
「戻るのよ。報告しなきゃ」
「探すんですか、アスカのこと」
「命令ならね」
「そっとしておいてあげることは出来ないんですか」
「命令があればそうするわ」
「ミサトさん!」

探したい気持ちはある。どこかに逃げだしたなら、ほとぼりが冷めるまでそっとしておいてあげたい気持ちもある。けれどそれはすべてミサト個人の気持ちだ。ネルフの人間であるミサトは碇ゲンドウの指示を仰ぐ義務がある。彼がアスカをまだパイロットとして必要と言うのならそれに従うし、不要と言うのなら、ミサトもそうするだけだ。いや、正しくは、そうするしかないのだ。

      

ミサトが部屋を出て行き、完全に気配が消えた頃、シンジは携帯を取り出した。
電話帳から探し出し、コールをする。
十数回コールして、留守番電話に接続されると通話終了ボタンを押した。

(カヲルくんも出ない。アスカも出なかった。ってことは、)

当事者より、ミサトより、シンジは逸早く状況を理解していた。
把握する為のカードをより多く持っていた、と言っていい。シンジは人に踏み込むことを恐れるけれど、人を客観視することには長けていた。
開け放された、普段はほとんど入らないアスカの部屋に、お邪魔します、と誰に言うでもなく口にして入る。
ドレッサーに所狭しと置いてある香水やらスキンケア用品だかの隙間に、紙切れのようなものが置いてあった。
なんとなく手にとって見てみると、それはプリクラの切れ端で。ヒカリとアスカのそれに混じって、カヲルと映っているアスカのプリクラもあった。
ミサトがこれを発見していれば、アスカの行き先も、多少は心当たりが出来たかもしれない。ということは、これが見つからなければ少しの間くらいは時間が稼げるかもしれないということだ。
シンジはカヲルとアスカが映っているプリクラだけを取ってそれを元の位置に戻し、手に持ったプリクラを自室の引き出しの中に押し込んだ。
けれど、この行為にどれほどの意味があるだろうか。
アスカがいなくなったことはもう知られているし、よくて数日、悪ければすぐにでも、カヲルの不在も知られるだろう。
同時期にいなくなるなんて都合がよすぎるから、一緒にいることもすぐに知られてしまう。
いっそ自分もどこかに行こうかな、などと考えて、さすがにそれは無理だ、と一人で笑った。

「使徒、いつ来るかわかんないし」

まだ、シンジはカヲルが使徒であることを知らない。
ポケットに仕舞った携帯をもう一度取り出し、メールを打つ。

カヲルくんへ
今、アスカと一緒にいるのかな
もし一緒にいるなら、

続きを打ちかけて止まる。
打った文章を少しだけ消して、アスカはわがままだから大変かもしれないけど、よろしくね。と打った。
(もし一緒にいるなら、アスカを守ってあげて)
あの日カヲルが病院からアスカを連れて帰ってきた時、なんとなく感じた二人の間の親密感。
人に慣れない猫が、珍しく人に懐いている様を見たような、どこか微笑ましい感じ。
何故出て行ったのかまではシンジにはわからなかったが、もしも一緒にいるのなら、どこにもいけない自分の代わりに、どこか好きなところで心を休めてほしいと思った。

「僕はすぐ見つかっちゃったけど」

君たちにはもう少し、時間が与えられますように。

         


カヲアスなのに二人とも出てこねえ。ミサトとシンジだけで終わってしまった…。
とりあえず友達といっそ駆け落ちさせちゃえよと盛り上がってたことを思い出し、駆け落ち(えええ)
いや駆け落ちなのか?よくわかんない。
突っ込みどころ満載ですが、筆頭なのはいつお前らプリクラ撮ったんだっていう。

               

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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