自由の意味すら知らない
僕たちは、何かを求めていた。
それが何かなんてわからないまま、ただただ何かを求めて生きていた。

シャニが死んだ。
シャニの名を叫んだすぐ後、オルガも死んだ。
撃墜された機体から煙が上がる。
クロトはシャニの名を呼ぶことも、オルガの名を呼ぶこともしなかった。
禁断症状さえ出ていなければ、オルガと同じように二人の名を呼んだかもしれないけれど、その時のクロトは薬切れの所為でまともな思考回路など持ってはいなかった。

ただ生きる為に薬が欲しかった。
その為には目の前の機体を墜として、ドミニオンまで戻らなければならない。
だから、戦わなければいけない。

それは、予備のアンプルさえ渡されていれば避けられた悲劇
アンプルでの生体CPU維持にも金がかかることくらいはわかる。けれど、本当にクロトたちに命令を遂行させたいのなら、持たせるべきだったのだ。
薬が切れたから、エネルギーが切れたから、そんな理由で帰還出来るほど戦場は甘くない。
戦場に残された、クロトの本当の意味での味方は、もう誰もいない。
禁断症状による苦しみも、アンプル無しで生きられない身体への苛立ちも、それによって得られる高揚感も、それを失う恐怖も、誰も、この戦場では理解できるものはいない。
そういう意味で、オルガやシャニはクロトの仲間であり、絆があった。
そういう意味で、クロトは孤独な戦いの中にいた。
悪態をついても、武器を向けても、それがたとえ同じ穴の狢だという程度の感情でも、彼らはクロトにとって唯一の仲間だった。

もう動けない。
機体がアラートを出すより早く、終わりだと認識した。
レイダーも、クロトも、どちらも限界だった。

「僕は、」

「僕はね、」

望んだのは自由。
薬にも、アズラエルにも支配されず、自分のあるがまま生きる自由。
ずっと遠い昔、持っていたはずの自由。
求めていた何かは、ただ自由であることだったのだと、初めて気づく。ただその意味を知らなすぎた。
シャニは精神を侵されすぎた。彼は昔、今よりももっと感情が豊かで少年らしいところがあったはずなのに。
オルガはステージが低いゆえに人を構いすぎた。斜に構えた仮面の裏にあった優しさを尊くも愚かだと思う。
クロトは生に貪欲すぎた。もうそれしか残されていなかった。
それが一番自由を縛っていた。
仕留めるように言われた機体は自由と正義。
正義はどこにあるのか。クロトたちは生きる為だけに戦って、人を殺してきた。そこに正義なんてものはない。
縛られて鎖に繋がれたクロトたちには程遠い自由。一番求めていたものの名を冠す機体に、最後まで勝てないまま、お払い箱。

          

さようなら。戦場よ。高揚もスリルもそこに置き去りにして、暗転した世界に辿りつけば、そこには自由ではなく孤独があった。

                  


僕は、僕はね、…の後、自由が欲しかった、と続くのだと聞いて、悲しくなった。
雁字搦めに絡めとられて、Gに乗ることで生き永らえて、必死に毎日を生きていた彼ら。
死こそがようやく与えられた自由というのなら、なんて悲しい子たちだろう。
でもそんな自由、ただの孤独だ。本当の自由なんてどこにもない。どこまでも悲しい彼らがとても愛しい(かなしい)と思う。
てゆか、コックピットは狙わないと言ったキラとアスランの、コックピット目掛けての連携攻撃に腑に落ちないものを感じたのはあたしだけだろうか。

2010/10/27 改訂

                             

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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